林 和希が誓う、日本武道館・アリーナという舞台への道 メロウな歌声で“大人の魅力”を響かせたツアーファイナル

林 和希、メロウな歌響くツアーファイナル

 約2年振りにリリースした2ndアルバム『to』を掲げ、5都市で開催されたホールツアー『林 和希 LIVE TOUR 2025 "Ⅱ"』が5日、東京・LINE CUBE SHIBUYAでファイナルを迎えた。「you」をはじめとした『to』からの楽曲を中心に、1stアルバム『I』からの楽曲やDOBERMAN INFINITYの「Your Santa Claus」も披露したライブ。ゲストとしてDOBERMAN INFINITYのP-CHO、そしてMC TYSON、KJIが応援に駆けつけてツアーの完走を祝福。和希もこれからの目標として日本武道館やアリーナを挙げ、「ソロもDOBERMAN INFINITYも、思い切り楽しみにしていてください!」と力強く宣言した。

 バンドメンバーやコーラス、ダンサーが集まり自然に始まった演奏。ステージには柔らかい空気が流れ、しばらくすると時が止まる。そこへトレンチコートにサングラス姿の和希が現れパチッと指を鳴らした瞬間、時計の針が再び動きだすようにライブが始まった。実にファンタジックな演出によるオープニングから、1曲目「Trillion」など、色気のあるファルセットとフェイクを交えたクールな歌声を響かせた。

 3曲目にはアルバム『I』から「Wow」を披露した。オルガンの音色、続けてビートと、イントロが軽快に流れると、会場には自然とクラップが響き始め、和希の「Say!」という掛け声に、観客は〈Wow wow wow〉とコーラスを歌う声で応えた。

 MCも無く静かにゆったりと、しかし胸の奥に熱を感じさせる上質な歌声で、彼のなかにあるR&Bの世界を表現した前半。「Lonely」ではエモーショナルに歌い上げる和希を挑発するように女性ダンサーが艶めかしく体を揺らし、80's風のビートが鮮烈な「Plumeria」では、映画『フラッシュダンス』のような迫力あるダンスが観客の目を惹きつけた。また、雨のなかベンチで濡れる女性に和希が傘を差し出すところから「Anniversary」につなぐといった、まるで恋愛ドラマのワンシーンのような演出によって、和希が紡ぎ出す刹那的な大人の恋愛模様が次々と表現されていった。

P-CHO・林 和希

 ストリート系の衣装に着替え、会場に「東京ファイナル!」と声をかけて始まった後半戦では一転熱いステージを展開。『to』に収録のヒップホップナンバー「Show me what you got feat.P-CHO」では、「この人が駆けつけてくれました!」と呼び込まれたP-CHOが、ステージに勢いよく飛び出すと会場が沸き立ち大歓声にあふれた。ステージを縦横無尽に動き回りながら軽快にラップを繰り出すP-CHO、それに対してメロウにボーカルを響かせる和希。向かい合ってそれぞれの武器を交わす、実にクールな二人の様子に歓声が鳴りやまない。

 DOBERMAN INFINITYの楽しいクリスマスソング「Your Santa Claus」と、『to』収録曲で危険な恋を歌った「Honey」では、会場の熱気が冷めるどころか熱狂へと変わった。「ファイナル楽しんでますか? クリスマスの時期は終わっちゃったけど、大きな声で歌ってくれたら良いことあるかも!」と言って、歌いながら客席に降りていった和希。観客は歓声を上げながら手を伸ばし、一緒に歌い、手を左右に揺らして極上のプレゼントを楽しんだ。そして和希は一人の観客の前で足を止め、マイクを向けミニインタビュー。震えながら答えた彼女は、この奇跡のような出来事に大号泣。そんな彼女に、その場でキャップにサインを書いて頭にポンとかぶせてあげた。また、ファンクラブ会員から抽選で選ばれた1名がステージに上げられ、和希が赤いバラを渡すという演出も。ステージの中央に立って待つ彼女に歩み寄り、その瞬間ステージが暗転。会場は黄色い大歓声で包まれた。

 その後も熱狂は止まらない。ゲストにMC TYSONが登場し、KAZUKI from DOBERMAN INFINITYとして参加したMC TYSONの2021年の楽曲「Shawty」を二人で披露。MC TYSONの独特なフロウに重なる和希のハスキーな歌声。手を上下に揺らして、極上のコラボを堪能した観客。拳と拳を合わせて挨拶を交わし、「カズ、ファイナルおめでとう」とMC TYSON。また「この曲は俺一人では歌えない。一緒に夢を叶えてくれた偉大なアーティストが駆けつけてくれた」と紹介されたKJIとは、2020年の楽曲「HOOD LOVE/NATO a.k.a. Fresh Loc feat. KAZUKI(DOBERMAN INFINITY) & KJI」を披露。レゲエのクールなビートに、KJIのラップと和希のボーカルが絶妙に絡み合う。奇跡のような瞬間の連続に、会場は大興奮で歓声を上げ続けた。

 そしてライブはクライマックスへ。ミラーボールが回り、ダンサーがセクシーにレゲエダンスを繰り広げた「Paper Rain」。和希はラップをするかのように、矢継ぎ早に、リズミカルに言葉を紡ぐ。「Forsyth st.」では会場にクラップが響き、コーラス隊の重厚なハーモニーに和希のボーカルが絶妙に交わった。そしてラストの「you」では、男女の切ない別れの情景を、ライブの終わりの寂しさと重ねて歌った。

 スモークが立ちこめるステージで、ピンスポットを浴びながら歌った和希。最初はピアノ一本の演奏で、途中からコーラスやバンドが加わっていくアレンジが、実にドラマチック。忘れられない温もりと終わりの切なさを胸に抱きながら、新しい一歩を踏み出そうとする……そんな情感の機微が表現されたメロディラインを、低音からハイトーンまでレンジの広さを駆使して表現した和希。コンテンポラリーR&Bを標榜する彼の、一生一代といった心意気を感じさせる歌声に贈られた大歓声。それに和希は、深々とお辞儀をして応えた。

 「皆さん、今日はありがとうございました。ツアー全5公演、このファイナルで、無事に完走することができました。それをこんなにたくさんの皆さんに見守ってもらえて、本当に嬉しく思います。ありがとうございました」と、何度もお辞儀をする姿に表れた、彼の感謝の気持ちと人柄。そして最後に力強く放った、「ソロとしてもDOBERMAN INFINITYとしても、また日本武道館やアリーナを必ずやりたいと思っています。これからを、思い切り楽しみにしていてください!」。この言葉に観客は、この日一番の大きな拍手と声援を贈った。

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