King Gnu、米津玄師、ヨルシカ、LiSA……積み上げた信頼と作品への理解 何度もタッグを組むアニメ主題歌の凄み
アニメ作品と主題歌を務めるアーティストは、一度きりではなく、繰り返しタッグが組まれるケースも少なくない。
たとえば、King Gnuと『呪術廻戦』(MBS/TBS系)。King Gnuは『劇場版 呪術廻戦 0』(2021年)にてオープニング主題歌「一途」とエンディング主題歌「逆夢」を手掛け、さまざまな愛の形を描いた物語に寄り添った。さらに、TVアニメ第2期『渋谷事変』編(2023年)ではオープニング主題歌「SPECIALZ」を担当。そして、今年1月に配信リリースされた「AIZO」は、TVアニメ第3期『死滅回游 前編』のオープニング主題歌に起用されている。愛情と憎悪という相反する感情が交錯する世界を表現したような、目まぐるしいロックチューン。一方で、常田大希(Gt/Vo)は作品との繋がりについて「正直、あんまり気にしてないというのが本音」「自分たちにとって必要な曲が、『呪術廻戦』にはありがたいことに自然と親和性がある」(※1)と語っているのも興味深い。あらためて、King Gnuと『呪術廻戦』の相性の良さを感じさせた。
米津玄師は『チェンソーマン』(テレビ東京系)と二度のタッグを組んでいる。一度目は、2022年放送のTVアニメにて手掛けたオープニングテーマ「KICK BACK」。原作の持つ暴力性や虚無感を落とし込んだ楽曲として話題を呼び、日本語詞の楽曲として初めてアメリカレコード協会(RIAA)によるゴールド認定も受けるなど、国内外で高い評価を獲得した。昨年は再び、『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』にて主題歌とエンディングテーマを担当。特に主題歌「IRIS OUT」は、米津曰く「『KICK BACK』がジェットコースターだとするならば『IRIS OUT』はフリーフォール」(※2)と「KICK BACK」との差別化を意識したといい、テイストは異なるものの、どちらも作品と見事に調和する楽曲に仕上がっている。主人公のデンジがレゼに心をかき乱される様子を描いたような「IRIS OUT」が、映画をより盛り上げていた。
TVアニメ『チ。―地球の運動について―』(NHK総合/2024~2025年)では、ヨルシカが二度にわたってエンディングテーマを手掛けた。第1章、第2章で起用されたのは「アポリア」。ピアノやマンドリンが軽やかに鳴り響くトラック、suis(Vo)の芯のある歌声は、知りようのないものを知ろうとする豊かな好奇心を描いているようだった。続く第3章、最終章のエンディングテーマ「へび」は、「へびが春に眠りから目覚め、外に這い出して世界を知る」(※3)という知への欲求が描かれた楽曲。“知”というテーマに向き合った2曲が、『チ。―地球の運動について―』という作品の本質を浮かび上がらせていた。
『鬼滅の刃』とLiSAのタッグは、2019年放送のTVアニメ第1期『竈門炭治郎 立志編』(TOKYO MXほか)オープニングテーマ「紅蓮華」から始まった。楽曲は作品のヒットとともに広く浸透し、以降LiSAは『鬼滅の刃』シリーズを象徴するアーティストとなる。2020年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』では主題歌「炎」を担当し、その後のTVアニメ版『無限列車編』(フジテレビ系)でもオープニングテーマ「明け星」、エンディングテーマ「白銀」を手掛けた。そして、昨年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の主題歌のひとつとして書き下ろされたのが、「残酷な夜に輝け」である。物語が徐々にクライマックスへと向かっていき、過酷な戦いのなかでも力強く進もうとする登場人物たちを鼓舞するような一曲に仕上がった。作品とともに歩んできたLiSAが歌うからこそ、より心に響くものがそこにはある。
同一作品の主題歌を複数回にわたって務めることは、作品への深い理解が欠かせない。同じように作品に寄り添いながらも違う切り口で、そのときの物語、そのときのフェーズを捉えた楽曲制作が求められるためだ。何度もタッグを組むということは、相性の良さだけではない、作品とアーティスト両者の信頼の証でもあるのだろう。そうして生まれたアニメ主題歌の凄みを、これからも味わっていきたい。
※1:https://rockinon.com/interview/detail/214183
※2:https://natalie.mu/music/pp/yonezukenshi31
※3:https://billboard-japan.com/d_news%20/detail/145306/2
























