映秀。が2026年最初のライブで示した新たなモード 音楽で孤独に寄り添い、一人ひとりに届けるメッセージ

いい音楽や映画に触れたあとは、見慣れた景色がまた違った表情を見せてくれる。映秀。が1月15日に新代田FEVERで開催したワンマンライブ『新年FEVERしまSHOWTIME!!』は、2026年一発目のライブとして新曲の「Fly You to the Moon」だけでなく、未発表曲も披露する、彼の新たなモードを示す公演となった。

映秀。が新代田FEVERでライブを行うのは今回が初めてだ。「音楽とともに新年をみんなで祝おう」をテーマに、映秀。が2時間余りのセットリストに詰め込んだのは22曲+@。前半は「残響」「砂時計」といったミッドテンポの楽曲を中心とした、MCでの言葉を借りれば「緊張感あるセトリ」で、後半は声、身体を動かして“フィーバー”する「喝采」「東京散歩」といったアップテンポな楽曲が中心に並んだ。そして、「+@」というのはライブタイトルの「新年FEVERしまSHOWTIME!!」からインスピレーションしたと思われるグルーヴィーな短いバンドセッションで、〈ハッピハッピニューイヤー〉〈おめでとサンキュー〉といったこの日限定(もしかしたら来年も?)のリリックに、そのまま1曲目の「脱せ」へと繋げる、言わば0曲目に位置付けられる楽曲だ。2025年から“脱する”という意味を込めた選曲なのではと思わせるほどに、〈今日から脱せ〉というストレートなメッセージがライブハウスを突き抜けていく。

印象的だったのは、22曲中11曲という半数が3rdアルバム『音の雨、言葉は傘、今から君と会う。』からの披露だったことだ。映秀。としてありのままの思いを歌にしたアルバムは、昨年1月のリリースからちょうど1年が経ち、“君”=ファンの歌になっていることを感じさせる。ファンキーなリズムに会場が横ノリする「ほどほどにぎゅっとして」や〈生きてるだけでさ 丸儲け〉というお馴染みのコールが飛び交う「幸せの果てに」もそうだが、筆者が忘れられないのは「youme」が終わった後の会場を包み込む静寂。バーカウンターからの氷がぶつかる音もまるで許されないような、そんな張り詰めた空気に思わず息を呑んだ。それは映秀。の歌声が作り出す世界観に会場全体が魅了されていた証拠。映秀。はクラップや声を出すだけでなく、「見てるだけでも一緒になって音楽してくれると嬉しいです」とMCで話していたが、まさにそれを体現していたのが一人ひとりの孤独へと寄り添う「youme」だったように思う。

特筆すべきは、1月7日に配信リリースされたばかりの新曲「Fly You to the Moon」の披露だ。「Fly You to the Moon」についてはSNSで公開されているマンガ、MVを通して物語が紡がれ、最終的にはメディアを飛び出し今回のライブへと繋がる新しい音楽の楽しみ方を提示した。「はじめましての人に届いてる感触があって嬉しいです」とその手応えに笑みを浮かべる映秀。は、この楽曲を誰かの心に寄り添うために書いた。けれど、それは気づけば自分が言われたい言葉でもあった。笑っているようで心の中は泣いていたり、怒っているようで苦しんでいたりと、人は日々悩みを抱え込んだまま生きている。そんな自分でも気づいていないような心の揺れ、言葉では表せない心情に手を伸ばすように映秀。は、「Fly You to the Moon」を書いたと語る。

〈それでも君の声が聞きたいんだよ〉という歌詞にちなみ会場にファンの声による美しいハーモニーを作り出した間奏パートも忘れられないが、筆者が驚いたのは終演後、会場に流れていた「Fly You to the Moon」に乗せて自然発生的にファンによる合唱が起きたことだ。ダブルアンコールを求めるようなそんな空気でもあったが、映秀。が話していたように一人ひとりに「Fly You to the Moon」が届いていることを実感させる瞬間でもあったように思う。
またこの日は、未発表曲として「寄り道」「beautiful life」の2曲も初披露されている。「Fly You to the Moon」と一緒にレコーディングしていたという「寄り道」は、意味のない、価値のないものや時間にこそ、自分にとっての大切なものが詰まっているというメッセージを込めた楽曲。頑張ることばかりに縛られていては大切な何かを忘れてしまうこともある。一つ前の駅で降りてみる。猫を追いかけてみる。キラキラしているものをボーッと眺めてみる。そういった意味のないことを通じて、また新たな自分が見えてくる――そんな楽曲だ。そして、ライブでは大々的には触れられなかった「beautiful life」は、「寄り道」とメッセージ性が通ずる部分がある、優しく背中を押してくれるようなポジティブソング。ベースが唸るR&Bの曲調に、映秀。の伸びやかな歌声が乗ったノリのいい楽曲だ。
5月からの東名阪ツアー『Fly You to the Moon Tour』も発表された。今回のライブはエレキギターが炸裂する映秀。としては激しめの公演だったが、ツアーでは「熱量がありながらも、お母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃんも連れてきても大丈夫なライブをやります!」と話していた。もしかするとさらなる未発表曲も聴けるかもしれない。

映秀。のライブの魅力は、抜群の歌唱力はもちろんのこと、会場の一人ひとりの目を見て届けようとする真っ直ぐな姿勢と湧き出る素直な言葉だ。終演後、筆者は会場から環七通り沿いに帰路へと着いた。いつもであれば排気ガスの匂いが立ち込めるどんよりとした環七の景色が、不思議と煌めいて見える。残念ながら月は出てはいなかったが、東京の夜空を見上げたのはいつぶりだっただろうとハッとした自分がいた。
映秀。『新年FEVERしまSHOWTIME!!』
2026年1月15日(木) 新代田FEVER
■セットリスト
脱せ
ほどほどにぎゅっとして
Boys & Girls
砂時計
youme
笑い話
beautiful life
My Friend
寄り道
涙のキセキ
まほうのことば
残響
音ノ葉
喝采
ハ茶メ茶オ茶メ
星の国から
全部しようぜ
幸せの果てに
Fly You to the Moon
東京散歩
- encore -
瞳に吸い込まれて
よるおきてあさねむる
■リリース情報
「Fly You to the Moon」
配信はこちら:https://eisyu.lnk.to/FYM
MVはこちら:https://www.youtube.com/watch?v=k0k9WCyBAjE
■ライブ情報
映秀。"Fly You to the Moon Tour"
5月8日(金) 大阪・梅田 Shangri-La 開場 18:15/開演 19:00
5月9日(土) 愛知・ell.FITS ALL 開場 16:15/開演 17:00
5月23日(土) 東京・代官山 UNIT 開場 16:15/開演 17:00
【チケット】 5,500 円(オールスタンディング)
※未就学児入場不可 ※別途ドリンク代必要
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