ポルノグラフィティ、被曝80年ソングから『ヒロアカ』OPまで――“ルーツ”と“今”が交差した特別な1年を振り返る

ポルノグラフィティにとっての2025年。それは、1999年のデビューから約26年の月日をかけて積み上げてきたバンドとしてのアイデンティティとシーンにおける信頼をあらためて世に提示し、その存在、立ち位置をより確固たるものとした1年だったように思う。本稿ではその充実した活動と、それがもたらした意味を振り返っていきたい。
故郷・広島と築き上げた信頼関係
さまざまなトピックが届けられたなかで、今後も続いていく彼らの歩みにおいても非常に重要なピースとなるであろう出来事が、4月の「言伝 ―ことづて―」配信リリースだ。この楽曲は、NHK広島「被爆80年プロジェクト わたしが、つなぐ。」のテーマソングとして、作詞を新藤晴一、作曲を岡野昭仁が手がけた1曲。広島県出身のポルノグラフィティに白羽の矢が立てられるのは至極納得のいくところではあるが、25年以上にもわたって真摯に活動を続け、世代を超えたたくさんの人たちに愛され続けている彼らだからこそ与えられたテーマでもあったはずだ。
さかのぼれば、2023年5月に配信リリースされたG7広島サミット応援ソング「アビが鳴く」や、同年9月に広島県の嚴島神社で行われた奉納演奏『TikTok LIVE at 嚴島神社』を通して広島県とのコラボレーションを積極的に重ね、揺るぎない信頼を得たことも大きく関係しているのだろう。
“戦争”や“平和”といったテーマに対し真正面から向き合い、それを楽曲に落とし込む作業は非常に困難で試行錯誤をともなうものであることは想像に難くない。しかし、原爆投下の3日後に広島の街中を走ったという“一番電車”をモチーフとすることで、未来に向けた平和への願いと希望を丁寧に紡いだ晴一のリリシストとしての手腕と、聴き手の胸に沁み込むメロディと情感に満ちたボーカリゼーションで忘れてはならないメッセージを届ける昭仁の想いが融合し、果たして「言伝 ―ことづてー」は未来へと歌い継がれていくべき至極の1曲へと仕上がった。
この出来事はポルノグラフィティの存在をいちアーティスト以上の解像度で世に広めることとなったのと同時に、昭仁と晴一に新たな、大きな自信を与えることにもなったのではないだろうか。
“今のポルノグラフィティ”を形成した楽曲たちに当たった光
8月から9月にかけては、『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2025 in EZO』『音楽と髭達2025 -ONE NIGHT Rock’n Roll SHOW-』『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025』という3つの夏フェスでパフォーマンスしたポルノグラフィティ。ここ数年は夏フェス出演が恒例になっているが、デビュー以降長らくフェスに出演していなかったのは有名な話だ。
ではなぜ今、ポルノグラフィティが夏フェスに求められているのか。フェス出演者の多様性が盛んになった背景もあるはずだが、それ以上に彼らが生粋のロックバンドであることが以前にも増して周知され、さらには数万人規模のオーディエンスを問答無用に高揚させられる無敵のライヴアーティストであることが伝播し続けていることが最大の理由だろう。誰もが知る大ヒットナンバーを持っていることも強力な武器となり、かつてポルノグラフィティ楽曲に触れていた世代があらためてその魅力を再認識するのはもちろん、若い世代の心もしっかりとキャッチして新たなファンとして呼び込んでいく。その渦が年々大きなものとなっていることを、今年はより強く実感したような気がする。
その流れでもうひとつおもしろいトピックもあった。先日まで放送されていたドラマ『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)の主題歌として、ポルノグラフィティが2001年にリリースし、ストリーミングにおける累計再生回数が1億を超える大ヒットナンバー「アゲハ蝶」が起用されたのだ。楽曲を知っている人からすれば「なぜ今!?」という疑問が湧くのは当然だとも思うが、ドラマの世界とのマッチングも含め、主題歌としてのインパクトと吸引力は有無を言わせぬものがあった。ドラマをきっかけに楽曲、ひいてはポルノグラフィティの存在を知り、ファンになった人も多いと聞く。それはつまり、彼らが生み出してきた楽曲には、時代を経ても色褪せない、常に新鮮な魅力を放つパワーがあるということの証左。だからこそ「アゲハ蝶」はリリースから約24年を経た今年、あらためて大きく羽ばたいたのだ。
2018年から2019年にかけてポルノグラフィティは“UNFADED(=色褪せない、新鮮な)”というタイトルを掲げたツアーを周ったことがあったが、それこそがバンドを動かし続ける意味であり、原動力でもあるのだろう。それを物語るように今年9月から10月にかけ、約9年ぶりに開催されたファンクラブツアー『FANCLUB UNDERWORLD 6』では、彼らが2001年にリリースした2ndアルバム『foo?』の再現ライヴが行われた。コアなファンに向けた感謝の想いを注ぎつつ、過去の自分たちが生み出してきた楽曲群を今のスキルで披露していく。そこで彼らは変わらずに放たれる楽曲の魅力に新たな手ごたえを感じたはずだし、時を経たことで手に入れた自分たちの成長も実感したはず。過去の自分たちにしっかりと向き合い、今を見つめ、その先に未来を見出す。そうやってポルノグラフィティはここまでやってきたのだ。
『ヒロアカ』との2度目の邂逅――止まらぬロックバンドの姿
流れゆく時を、繋ぐ。2025年の活動を振り返ると、そんなテーマが浮かんできそうだ。もうひとつ、9年という時間の流れを繋いだ出来事もあった。それが、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』(読売テレビ/日本テレビ系)との2度目の邂逅だ。2016年に放送をスタートした同作第1期のオープニングテーマとして「THE DAY」を提供したポルノグラフィティが、今年放送されたFINAL SEASONに向けて「THE REVO」なる楽曲を書き下ろしたのだ。壮大な物語のはじまりと終わりを飾る楽曲を同一アーティストが担うというエモーショナルな展開にアニメファンはもとより、ポルノグラフィティファンも大きく歓喜した。クライマックスを迎える作品に対し、徹底的に向き合うことで生まれた重厚な熱量。9年分の革命的な進化を注いだ楽曲は、アニメの盛り上がりとともに海外へも飛び火。ポルノの存在はまたひとつ大きな飛躍を遂げたのである。
ポルノグラフィティは現在、『みなとみらいロマンスポルノ’25 ~THE OVEЯ~』を開催中。特筆すべきは12月31日に約7年ぶりのカウントダウン公演を開催することだろう。充実した2025年の活動を噛みしめながら、2026年の第一歩をもオーディエンスの目の前で踏み出す意志。そこには来るべき未来への輝かしいビジョンが広がっている。2026年2月にEP『種』を配信リリース、同月からは全35公演を巡るツアー『20thライヴサーキット“水”』がスタート、そして秋には約4年ぶりのリリースとなる13thアルバム『果実』が届けられる予定だ。連綿と続くポルノグラフィティのストーリー。さまざまな形で過去とも向き合った2025年を経て、彼らが次にどんな種を蒔き、水をどのように与えて、どんな果実を実らせるのか。これまで以上に多くの人がその果実を口にし、その味の虜になることだろう。
■公演情報
『みなとみらいロマンスポルノ’25 ~THE OVEЯ~』
2025年12月28日(日)16:00開場 / 17:00開演
2025年12月29日(月)17:00開場 / 18:00開演
2025年12月31日(水)21:00開場 / 22:30開演(カウントダウン公演 ※love up! 会員限定)
会場:ぴあアリーナMM
『20thライヴサーキット“水”』
2026年2月27日(金) 千葉・市原市市民会館 大ホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年3月3日(火) 兵庫・神戸国際会館 こくさいホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年3月5日(木) 鳥取・米子コンベンションセンター 多目的ホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年3月6日(金) 島根・島根県芸術文化センター 「グラントワ」大ホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年3月19日(木) 静岡・アクトシティ浜松 大ホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年3月23日(月) 大阪・フェスティバルホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年3月24日(火) 大阪・フェスティバルホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年3月27日(金) 新潟・新潟県民会館 17:30開場 / 18:30開演
2026年4月2日(木) 京都・ロームシアター京都 メインホール17:30開場 / 18:30開演
2026年4月4日(土) 福井・フェニックス・プラザ エルピス大ホール 16:30開場 / 17:30開演
2026年4月6日(月) 石川・金沢歌劇座 17:30開場 / 18:30開演
2026年4月10日(金) 香川・レグザムホール 大ホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年4月13日(月) 愛媛・松山市民会館 大ホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年4月18日(土) 北海道・帯広市民文化ホール 大ホール 16:30開場 / 17:30開演
2026年4月20日(月) 北海道・札幌文化芸術劇場hitaru 17:30開場 / 18:30開演
2026年4月21日(火) 北海道・札幌文化芸術劇場hitaru 17:30開場 / 18:30開演
2026年4月24日(金) 東京・府中の森芸術劇場 どりーむホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年4月26日(日) 茨城・ザ・ヒロサワ・シティ会館 大ホール 16:30開場 / 17:30開演
2026年5月6日(水) 東京・SGCホール有明 16:30開場 / 17:30開演
2026年5月8日(金) 広島・広島文化学園HBGホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年5月9日(土) 広島・広島文化学園HBGホール 16:30開場 / 17:30開演
2026年5月15日(金) 秋田・あきた芸術劇場ミルハス 大ホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年5月17日(日) 岩手・トーサイクラシックホール岩手 大ホール 16:30開場 / 17:30開演
2026年5月19日(火) 宮城・仙台サンプラザホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年5月20日(水) 宮城・仙台サンプラザホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年5月29日(金) 三重・三重県文化会館 大ホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年5月30日(土) 岐阜・長良川国際会議場 メインホール 16:30開場 / 17:30開演
2026年6月9日(火) 愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年6月10日(水) 愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年6月14日(日) 長崎・アルカスSASEBO 大ホール 16:30開場 / 17:30開演
2026年6月16日(火) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年6月17日(水) 福岡・福岡サンパレス ホテル&ホール 17:30開場 / 18:30開演
2026年6月20日(土) 沖縄・沖縄コンベンションセンター 劇場棟 16:30開場 / 17:30開演
2026年7月7日(火) 東京・東京ガーデンシアター 17:30開場 / 18:30開演
2026年7月8日(水) 東京・東京ガーデンシアター 17:30開場 / 18:30開演
※開場・開演時間は変更になる場合がございます
<チケット料金>
指定席:¥11,000(税込)
<love up! チケット先行受付(抽選)エントリー期間>
~12月22日(月)23:59
■リリース情報
EP『種』2026年2月配信リリース予定
13thアルバム『果実』2026年秋頃リリース予定
特設サイト:https://sp.pornograffitti.jp/13thal-20thlc/
■関連リンク
公式サイト:https://www.pornograffitti.jp/
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