2025.12.18 12:00

BAND-MAID、圧倒的技量で熱狂の一夜に――ロングツアーの集大成で示した“最強のお給仕”とロックの真髄

約2時間半にわたる圧巻のステージを披露、終演後にはワールドツアーの発表も

　そうしたシリアスかつハイレベルなショーマンシップとは対照的な、極度にリラックスしたダラダラトークも彼女たちの重要な魅力のひとつだ。小鳩がメインボーカルを務めた「Brightest star」を経てミディアム〜スローナンバーで固められた中盤パートののちに挟まれたMCタイムでは、小鳩とSAIKIが息の合った漫談を延々と交わし続け、その後ろでほかの3名が手持ち無沙汰気味にステージをうろうろしたり1カ所に固まって客席には聞こえない私語に興じたりするひと幕がしばし繰り広げられた。こうしたサウナと水風呂のような極端な温度差が、クセになるダイナミズムをBAND-MAIDのライブにもたらしている。

　そしてMISAがツアーを通して習得してきた、ステージドリンクとしているビールの缶を開ける音を口で真似る「開封の儀」の集大成を披露するなど、5人のほがらかな人柄とフレンドリーな関係性を存分にアピールしたのち、バンドは「Lock and Load」「without holding back」のインストゥルメンタルナンバー2連発で急激に場を引き締め直す。初の試みとして、SAIKIがキーボードでインスト曲に参加。これは「Ready to Rock」がオープニングを飾ったTVアニメ『ロックは淑女の嗜みでして』（TBS系）の原作マンガに「without holding back」の演奏シーンが登場したことで、「ティナ（劇中バンドのキーボーディスト・院瀬見ティナ）のパートをちゃんと作らなければ」となったことがきっかけだそう。SAIKIも「そのおかげでBAND-MAIDの新しい魅力が広がった」と満足げだ。

　その後ステージはクライマックスへ。5面屛風スクリーンが横一列に並び、光り輝く檻に5人を閉じ込めたかのようなビジュアル演出で“監獄ロック”として届けられた「Toi et moi」、SAIKIの「みんなでこの曲作ろうぜー！」の掛け声で盛大なシンガロングを巻き起こした「Dilly-Dally」、ドラッギーな万華鏡ビジュアルが会場をサイケデリック空間へといざなう「Magie」などが次々に畳みかけられていく。そしてAKANEによる「もう二度と痩せるとは言いません！」なる切実な決意表明も飛び出したMCという名のクールダウンタイムを再度経たのち、ライブは怒濤のラストスパートに突入した。

　KANAMIとMISAのアグレッシブなソロバトルをフィーチャーしたメタルナンバー「HATE?」、会場を揺るがすほどの大歓声に迎えられた「DOMINATION」、泣きのギターが炸裂するメロディアスなラウド歌謡「Choose me」、強靱な音の塊で客席を殴りつける「Present Perfect」でフロアのボルテージをこれでもかと上昇させた5人は、小鳩の決めゼリフ「それでは行ってらっしゃいませ、ご主人様お嬢様！」で約2時間半にわたるショーをフィニッシュ。終演後には場内スクリーンにてアジア、ヨーロッパ、北米を回るワールドツアー『BAND-MAID WORLD TOUR 2026』の開催が発表され、会場は怒号のような歓喜の叫声で包まれた。

■セットリスト
『BAND-MAID TOUR 2025』
12月7日＠東京・東京ガーデンシアター

01. Ready to Rock
02. SUPER SUNSHINE
03. Protect You
04. alone
05. Zen
06. What is justice?
07. Shambles
08. you.
09. Brightest star
10. The one
11. SION
12. Forbidden tale
13. endless Story
14. Lock and Load
15. without holding back
16. Toi et moi
17. Dilly-Dally
18. Unleash!!!!!
19. NO GOD
20. Magie
21. HATE?
22. DOMINATION
23. Choose me
24. Present Perfect