BAND-MAID、圧倒的技量で熱狂の一夜に――ロングツアーの集大成で示した“最強のお給仕”とロックの真髄

『BAND-MAID TOUR 2025』ツアー最終日レポ

 BAND-MAIDの全国ワンマンライブツアー『BAND-MAID TOUR 2025』が、12月7日に東京・東京ガーデンシアターでファイナルを迎えた。俗に“メイドの日”とされる5月10日の東京・LINE CUBE SHIBUYA公演を皮切りに、『FIRST ROUND』『SECOND ROUND』『FINAL ROUND』の3フェーズに分けて全国12都市を半年以上にわたって巡ってきた本ツアー。17公演目にあたるこの日のツアーファイナルは、そんなロングツアーの集大成にふさわしい過剰なほどに充実した内容で届けられ、会場へ駆けつけた約8000人のオーディエンスを終始圧倒した。

『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)

 開演を控える場内にBGMとしてロックバンド・Museの耽美なヘヴィロックナンバーが流され続ける中、大人しく着席しつつも高まる興奮を抑えきれない様子の聴衆らで次々に座席が埋まっていく。定刻を回ったあたりでちょうどBGMが「Time Is Running Out」に差しかかり、まるで時が迫っていることを暗に忠告するかのよう。にわかに緊張感が増す中、ふいにぱたりと音がやんで場内が暗転し、暗闇のステージで青や赤の光が明滅し始めた。

 沸き上がる大歓声を切り裂くように、ディストーションギターとデジタルビートからなるオープニングSE「Searing」が響きわたる。すると舞台上に横一列に5面並んだ屛風状のスクリーンに新聞風のツアービジュアルを用いた鮮烈な映像が映し出され、ややあってそのスクリーンが緞帳のごとくゆっくりと上昇。その奥にはバンドセットが鎮座しており、ゴシックな衣装に身を包んだ5つの人影がそこに待ち構えていた。

『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)

『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)

 彼女たちの姿を確認した聴衆からひときわ大きな歓声が届けられると、問答無用とばかりにKANAMI(Gt)のPRSがスピーディかつテクニカルな高速リックを轟かせ始め、AKANE(Dr)の高密度フィルがこれに追従。瞬時に場の空気を支配する性急なイントロに導かれ、攻撃的に歪んだMISA(Ba)の5弦ジャズマスターベース、ワイルドにかき鳴らされる小鳩ミク(Gt/Vo)のZEMAITISメタルフロント、そしてSAIKI(Vo)の重厚で妖艶なシルキーボイスが〈疼く 指先/脳内 熱く〉と続く。

『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)
SAIKI(Vo)
『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)
小鳩ミク(Gt/Vo)

 これまでラストに演奏されることの多かった「Ready to Rock」でライブの口火を切ってファンの度肝を抜いたBAND-MAIDは、その勢いのままに「SUPER SUNSHINE」「Protect You」といったヘヴィチューンを畳みかけ、みるみるうちに東京ガーデンシアターの広大な空間を熱狂一色に塗り替えた。

『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)
KANAMI(Gt)
『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)
AKANE(Dr)
『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)
MISA(Ba)

 アニメタイアップ曲を惜しみなく盛り込みつつノンストップで冒頭5曲をお見舞いしたのち、小鳩が愛嬌たっぷりに「お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様」と最初の挨拶。本ツアーで全公演ソールドアウトを達成したことを喜びとともに告げ、「ご主人様、お嬢様がこうしてご帰宅してくださったからこそ。ありがとうございますっぽ!」と感謝の言葉が伝えられる。そして「ようこそ、BAND-MAIDのお給仕(ライブ)へー!」の決めゼリフとともに、再びハードかつヘヴィな濃密パフォーマンスに突入した。

『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)

 SAIKIが透明感とタフネスを兼ね備えたロングトーンを響かせれば、それとは対照的な小鳩のキャンディボイスシャウトが華やかに彩りを添える。KANAMIがメカニカルなバッキングや長尺ソロで開放弦リックやタッピング、スウィープなどの多彩なテクニックを披露すれば、MISAとAKANEも負けじとブルータルピッキングやスラップ、高速ツインペダルなどでアンサンブルを拡張。各人にスポットを当てたソロパートやセッションパートも交えるヴァーチュオシックなパフォーマンスに加え、計算し尽くされた照明効果やスクリーン映像、ダイナミックにフォーメーションを変化させる可動スクリーンによる舞台演出なども総動員することで、多角的・総合的に聴衆を魅了していった。

『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)

『BAND-MAID TOUR 2025』(撮影=伊東実咲)

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