King Gnuが射抜く物語の本質 『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変」×「死滅回游」』から歴代主題歌を“再解釈”
11月7日に封切りとなった『劇場版 呪術廻戦「渋谷事変 特別編集版」×「死滅回游 先行上映」』。本作は2026年1月放送のTVアニメ『呪術廻戦』(MBS/TBS系)の第3期『死滅回游 前編』に先立ち、アニメ第2期『渋谷事変』の特別編集版と併せて第3期の1話、2話を集約したものとなっている。
呪術師の生き様を描く曲としても機能する「SPECIALZ」
本映画の注目ポイントは、『渋谷事変』のストーリーもさることながら、やはり特級呪術師・乙骨憂太の本格参戦だろう。物語の外伝的作品となる『劇場版 呪術廻戦 0』の主人公でありながら、アニメ本編での活躍は未知数だった彼。だが、これまでの歩みやその実力は、『劇場版 呪術廻戦 0』ですでに周知の通りである。
今回の先行上映作品では、TVアニメ第2期オープニング/エンディング主題歌であるKing Gnu「SPECIALZ」と羊文学「more than words」が、それぞれ劇中の印象的なシーンのBGMとして再び使われている。TVアニメ版とは異なった情景で鳴る楽曲から、新たな魅力や解釈も見つかったかもしれない。中でも、先述の乙骨の登場を踏まえると、彼の原点を描いた『劇場版 呪術廻戦 0』で主題歌とエンディングの両方を務めたKing Gnuというバンドが『呪術廻戦』にとって大きな存在だとあらためて感じた者も多いはず。そこで本稿では、今回の先行上映作品を通して、TVアニメ『呪術廻戦』におけるKing Gnuの歴代主題歌が果たす“物語の再定義”的役割に改めて焦点を当てたいと思う。
まず先行上映作品でも使用された「SPECIALZ」。今作の需要なファクターとなるのは、その曲名にも冠されている“SPECIAL”=“特別”という要素。TVアニメ版の放送時や楽曲リリース直後には、主人公の虎杖悠仁と宿敵である両面宿儺、あるいは最強の呪術師・五条悟と最悪の呪詛師・夏油傑など、作中キャラクターにおける“特別な関係性”と歌詞のリンク性が特に話題となっていた。また、TVアニメ第2期41話「霹靂-弐-」では、オープニング主題歌である「SPECIALZ」を終盤に挿入歌としても使用。宿敵と表裏一体である虎杖の“特別”さ、彼が背負う運命の残酷さを、「SPECIALZ」が流れることによって痛烈に感じた者も多かったことだろう。
しかし、今回の先行上映作品では渋谷の街へ呪術師たちが赴く、いわば死地への出陣の情景で本曲が挿入歌として使われた。さらに、『渋谷事変』というエピソードのダイジェスト編集を経たことにより、虎杖が“呪術師としての生き方”を改めて決意し、絶望から復活する心情変化が非常にわかりやすくなっていたため、今回劇中で流れる「SPECIALZ」は、呪術師という“特別”な異能たちの生き様を描く曲としても再定義されているように思うのだ。






















