神宮寺勇太、Number_iに吹き込ませた新しい風 プロデュース曲1億回再生突破――可能性を広げた一年

10月30日、神宮寺勇太が28歳の誕生日を迎えた。
昨年2024年の10月30日は、Number_iの初の全国ツアー『Number_i LIVE TOUR 2024 No.Ⅰ』の兵庫公演当日だった。会場いっぱいに広がるターコイズブルーのペンライトの光に包まれながら、祝福を受けていた神宮寺。公演後には個人でInstagram Live(インスタライブ)も行い、大勢のファンに見守られて27歳をスタートさせた。
彼の27歳は、自分の持ち味を活かしながら活動の幅を広げた一年だったと思う。ツアーは1stフルアルバム『No.Ⅰ』を携えて開催。アルバムのリードトラック「INZM」のプロデュースを手掛けたのも神宮寺だった。ロックとHIPHOPを融合させたサウンドに、「ズマズマ」というフレーズが中毒性を放つこの曲は、リリース当初から大きく話題に。今年9月には、Billboard JAPANチャートにおけるストリーミングの累計再生回数が1億回を突破し、Number_iとしては「GOAT」「BON」に続く3曲目の快挙となった。
「INZM」はもともと、1990年代から2000年代に流行したミクスチャーロックからインスパイアされたとリリース当時、神宮寺は語っていた。彼がプロデュースする作品は、自身の興味関心が反映されていることが多いのが特徴だろう。たとえば、今年5月リリースの2ndシングル『GOD_i』に収録された「Frisco」は、都会の渋滞をすり抜けて速く走れるように生まれたというバイクの“フリスコ・スタイル”がモチーフになっている。かねてより趣味として公言していた、彼のバイク愛が伝わってくる楽曲だった。
さらに、今年9月にリリースされた2ndアルバム『No.Ⅱ』のソロ楽曲「LOOP」では、tofubeatsとのコラボレーションも果たした。神宮寺はこれまでにも、「SQUARE_ONE」でのPUNPEEや「Bye 24/7」でのKEEN(C&K)など、自身の憧れのアーティストとの楽曲制作を叶えている。お互いの魅力を引き出し合いながら生まれた楽曲たちは、Number_iの作品に新しい風を吹き込んでいた。
今年4月に放送された『スポーツ×ヒューマン』(NHK BS)でも、“誰かの魅力を引き出す”という彼の強みが活かされていた。番組ではスノーボード選手の平野歩夢が取り上げられており、神宮寺は番組でナレーションを担当。当人以外はなかなか想像しづらいアスリートの苦悩を、声を通して伝えた。その声の聴き心地の好さは、相手の気持ちを汲み取りながら臨機応変に立ち振る舞える神宮寺だからこそ、ナレーションという役目を果たせたのではないかと思う。
ほかにも、昨年11月には「ミキモト」とのパートナーシップを締結し、今年2月には「GIVENCHY BEAUTY」のアンバサダーに就任。どちらもNumber_iでのパフォーマンス時とはまた異なる、気品あふれる姿を見せてくれた。
この投稿をInstagramで見る
誕生日の約2週間前、Number_iは結成2周年を迎えた。自身が表紙を飾った『ELLE JAPON』11月号特別版(エル・ジャポン)のインタビューで、「この約2年で初めてのことをやる機会がすごく多かった」と振り返り、「意外とまだ自分は自分のことを知らないんだなと思いました。挑戦することで開花する新たな魅力を、今後も追い求めていきたいです」と語っていた神宮寺。その言葉通り、さまざまなモノ、人と関わることで刺激を受けながら、自身の新たな魅力を開花させた27歳だったと思う。それができるのも、彼が純粋な探求心やリスペクトの気持ちを持って、物事に取り組んでいるからこそだろう。
〈未来の俺に出す手紙〉――「INZM」ではそう歌われている。28歳になって初めて立つステージは、今日11月3日の『MUSIC EXPO LIVE 2025』。会場は、Number_iの始まりの場所でもある東京ドームだ。自分の好きなことや繋がった縁を大切にしながら日々を重ねている神宮寺なら、きっと明るい未来が待っているはず。
ここからの一年も、もっと上へと羽ばたいていく神宮寺の姿を見られるのが楽しみだ。


























