ゆず、『GET BACK』で示した“国民的アーティスト”の矜持 『ポケモン』『ドラえもん』……世代を超える作品を手がけ続ける凄み
ゆずからCDシングル『GET BACK』が届けられた。
TVアニメ『ポケットモンスター』メガボルテージ編（テレビ東京系）オープニングテーマとして話題を集めている表題曲「GET BACK」、カップリング曲「尤」（読み：ユウ／10月に特別編として3話限定で放送されるTVアニメ『ポケットモンスター エピソード：メガシンカ』主題歌）を収めた本作は、2018年の『マスカット』以来、ゆずにとって約7年ぶりのCDシングルで、“アニポケ”とのスペシャルコラボパッケージによる完全生産限定盤でのリリースとなる。2025年後半のゆずの大きなポイントとなる本作をじっくりと紐解いてみたい。
まずはタイトル曲「GET BACK」（作詞：北川悠仁・岩沢厚治／作曲：北川悠仁・TeddyLoid）。ゆずのデビュー年と同じ1997年に放送が始まったTVアニメ『ポケットモンスター』のために書き下ろされたこの曲は、ポケモンとの親和性の高さはもちろん、現在のゆずの状況とも強くリンクした楽曲に仕上がっている。
最初に特筆すべきは、北川悠仁、岩沢厚治が歌詞を共作していること。じつは岩沢は、大のポケモンファン。アニメはもちろんゲームもかなりプレイしているらしく、「GET BACK」の歌詞にある〈ほのおのうたごえ〉〈げきりゅう〉といった平仮名のフレーズは明らかにポケモンの世界観を意識したものだろう。また、アニメ『ポケットモンスター』の主人公（リコ、ロイ）を自分たち（北川、岩沢）に見立てているような部分もあり、深堀りしがいがある歌詞に仕上がっている。
楽曲の軸になるテーマは、タイトル通り“GET BACK”、つまり“取り戻す”という意思だ。
年齢を重ねるとともに、やり残したこと、諦めたことが増えていく。それは人という存在の避けることができない現象だが、そのことを見据えながらゆずの二人は〈さぁ 君と取り戻すのさ そう僕らの理想郷（ユートピア）〉というフレーズを高らかに響かせてみせる。ポケモンの世界観と強くリンクしながら、ゆずとしての現在進行形の想い、そして子どもだけでなく大人にも響くメッセージをしっかりと込める。この構造もまた、「GET BACK」の求心力の源なんだと思う。
歴代のアニソンの特長を反映したというメロディライン、“アニメのオープニングの約90秒のなかに2コーラス分を注ぎ込む”という意図のもとで制作されたアレンジメント、「恋、弾けました。」「ビューティフル」「flowers」などでもタッグを組んだTeddyLoidの手腕など、語るべき要素がこれでもかと込められた「GET BACK」。これまでにも「またあえる日まで」（映画『ドラえもん のび太とふしぎ風使い』主題歌）、「表裏一体」（TVアニメ『HUNTER×HUNTER』日本テレビ系／エンディングテーマ）、「マスカット」（TVアニメ『クレヨンしんちゃん』テレビ朝日系／オープニングテーマ）などアニメーションとのコラボによる名曲を生み出してきたゆず。作品に寄り添いつつ、自分たちがやりたいことをピュアに取り込みながら、老若男女が素直に楽しめる楽曲へと導く。その最新版が「GET BACK」であり、この曲を聴けば、彼らが“国民的アーティスト”と呼ばれることの理由をあらためて感じ取ってもらえるはずだ。
カップリング曲「尤」（作詞：北川悠仁／作曲：北川悠仁・TeddyLoid・中しまりん）は、ゆずの奔放な音楽的トライアルが込められた楽曲だ。
モチーフになっているのは、箏奏者・中しまりんの楽曲「爛漫」。箏の音色に象徴される和のテイスト、現代的なデジタルサウンドがナチュラルに一体化したアレンジメントは斬新にして強烈。北川、岩沢の掛け合いをふんだんに取り入れたメロディラインを含めて、刺激に溢れたポップネスを体現している。〈U…You & I 愛こそだって？ 言い訳にすんな〉という挑発的なリリックも魅力的。この曲から伝わるアグレッシブな姿勢を感じ取り、ゆずのターニングポイントとなった2000年の3rdアルバム『トビラ』を思い出すリスナーもいるだろう。
“取り戻す”をテーマにした「GET BACK」、サウンド／歌詞の両面でアグレッシブなスタンスを示した「尤」を収めたCDシングルは、10月23、25、26日に東京・有明アリーナで開催される『トビラ』のリバイバルライブ『ゆずの輪 Presents YUZU LIVE 2025 GET BACK トビラ』にもつながっている。誰もが楽しめるポップネスを維持したまま、自らの表現を突き詰めている北川と岩沢。ゆずはいま、キャリア史上もっとも刺激的なタームに飛び込もうとしているのかもしれない。
■リリース情報
CDシングル『GET BACK』
発売中
価格：￥1,025（税込）
＜収録内容＞
1. GET BACK
2. 尤
■公演情報
『ゆずの輪 Presents YUZU LIVE 2025 GET BACK トビラ』
日程：2025年10月23日（木）・25日（土）・26日（日）
会場：東京・有明アリーナ
特設サイト：https://yuzu-official.com/pages/getback-tobira2025/
『YUZU ASIA TOUR 2025 GET BACK Supported by ITOCHU』
日程：
2025年12月3日（水） 香港・AXA Dreamland
2025年12月6日（土） 上海・Shanghai Music Park
2025年12月8日（月） 台北・Zepp New Taipei
特設サイト：https://yuzu-official.com/pages/asiatour_GETBACK/
『YUZU JAPAN LIVE 2025 GET BACK Supported by Japanet』
日程：2025年12月13日（土）・14 日（日）
会場：長崎・長崎スタジアムシティ HAPPINESS ARENA
特設サイト：https://yuzu-official.com/pages/japanlive_GETBACK/
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