Kis-My-Ft2 千賀健永はなぜSNS時代に求められるアイドルに? 徹底したプロ意識が生み出す“軽やかさ”
悔しさを笑いに変えるプロ意識とファンへの信頼
当時、華々しいデビューを夢見ていた千賀だったが、現実にはフロントに立つ藤ヶ谷太輔、北山宏光、玉森裕太の3人に比べ、千賀、宮田俊哉、二階堂高嗣、横尾渉の4人は扱いに大きな差があった。歌番組では地味な衣装を着せられ、MVではライティングやスモークの影響で顔がよく映らないなど、辛い状況が続いていたと、8月25日放送の生番組『ぽかぽか』(フジテレビ系)で明かしている。
しかし、その悔しさをネタにして昇華したのが彼らの強さだ。千賀は「どっかで吹っ切れたのもあるよね。それが『おいしい』とか『おもしろい』ってところに気持ちがいった」と回顧。この日、一緒に出演していた宮田、二階堂も「俺らの本業は歌前のトークだ」と笑いを誘い、MCのハライチ・澤部佑も「素晴らしい、プロフェッショナルとして」と絶賛した。かつてKis-My-Ft2のバックを務めていた後輩・Travis Japanの松田元太も「逆にカッコいい」と、その姿勢から多くを学んだと尊敬の眼差しを向けていたほどだ。
ファンにとっては今でも胸が痛む記憶かもしれない。しかし、この日のスタジオに駆けつけたファンが掲げていた手作りのメッセージボードには、単なる応援を超え「まだまだ彼らを世に売り込みたい!」という熱意が書かれていたのが印象的だった。
たくましく成長した本人たちを見つめてきたからこそ、ファンも誇りを持って応援できる。そして苦境をエンタメに変えてきた彼らがプロなら、ファンもまたそれを支えていこうというプロ級の情熱を持っている。逆境はむしろ絆を強めるチャンス。SNSの批判を「助言」と言い切れるのは、そんなファンの存在があったからではないだろうか。
ミーム化した「おまうる」への本音も
千賀とSNSといえば、「おまうる」の画像が広く拡散されたことを思い出す。「おまうる」とは、『キスマイ超BUSAIKU!?』(フジテレビ系)で、騒ぐ子どもに笑顔で「お前さ、うるさいんだよ」と注意した際の表情が怖すぎると話題になったことから名付けられたもの。以降「おまうる」と略されてネタ化し、2024年9月放送の主演ドラマ『愛人転生―サレ妻は死んだ後に復讐するー』(MBS)に抜擢されるきっかけにもなったほどだ。
SNSで拡散され続けた結果、今では様々な場面で「おまうる」をリクエストされる千賀。7月8日放送のレギュラーラジオ『Kis-My-Ft2 キスマイRadio』(文化放送)では、ときに2本撮り収録で2回とも披露を求められることもあると明かした。
「こすり過ぎ! もっと旬なときに振ってくれよって感じ」と率直に語り、笑いを誘う。それでも「まあまあいいんですけどね。今でもそういうふうに好きって言ってくれるのは嬉しいので」と続け、求められる限りは全力で応えていく覚悟をにじませるのだった。
決して思い通りにならない世界に対し、絶望するのではなく、自分ができる範囲で最善を尽くす。そのために体も心も健康でいようと努力する。千賀のSNSとの向き合い方を紐解くと、そんなシンプルで軽やかなマインドに行き着く。SNS時代だからこそ見習いたいアイドル――千賀健永に、今後もますます注目していきたい。


























