The BONEZ、JUBEE、NOISEMAKER……“コラボの名手”としてのKj 今もなお挑戦を続けるチャレンジャーとしての姿
Dragon AshのKj(Vo/Gt)は、圧倒的な存在感を誇るバンドのフロントマンとしての一面だけでなく、フィーチャリングの名手としての顔も持つ。NOISEMAKERが今年3月に発表した「聲」も、Kjがフィーチャリングで参加している楽曲だ。歌声はもちろん、韻の踏み方やリズムの取り方などによって、聴けばKjだとすぐにわかる個性を持っているが、NOISEMAKERのサウンドと調和した歌唱で、きれいに互いの色が混じり合っている。文句のつけようがない名曲である。
Kjは若手の頃から多くのアーティストとコラボレーションをしており、日本のロックシーンにおけるコラボやフィーチャリングのパイオニアのひとりとも言えるかもしれない。たとえば、Sugar Soul「Garden」(1999年)は、Dragon Ashの代表曲に引けを取らないほどに愛されている楽曲に思う。この楽曲でもKjは自身の個性をラップパートで遺憾なく発揮しつつも、Sugar Soulの魅力を引き立てる役割を担っていた。Kjの歌唱があるからこそ、Sugar Soulのボーカルであるaicoのサビの歌唱が引き立っているのだ。
Kjは交流のある同年代や同時代に飛躍したアーティストとともに楽曲を作ることが多い。RIP SLYMEのILMARIやスケボーキングのSHIGEOも参加したユニット・Steady&Co.もその代表の一つ。活動期間が限られたスペシャルユニットであったものの「Stay Gold」「春夏秋冬」と、ロックシーンやヒップホップシーンを飛び越えたヒット曲を生み出している。スケボーキングとコラボレーションし、交互にリリースを続けていた『EPISODE』シリーズも印象的だ。このようにKjは以前からDragon Ash以外の外部の活動を通じて、シーンの活性化に大きく貢献してきた。
そのコラボレーションの幅は活動を続けるにつれ、さらに拡がっていったように思う。2010年代に入ってからは、リスペクトする先輩アーティストとのコラボレーションも増えてきた。たとえば、ミクスチャーロック界の先駆者である上田剛士が率いるAA=の楽曲「MY SPECIES」(2015年)に参加したり、小林武史やCharaによるYEN TOWN BANDの楽曲「my town」(2016年)でコラボレーション。AA=とのコラボではお互いの最も特徴的な個性をぶつけ合うように歌い、YEN TOWN BANDとのコラボではミドルテンポの心地よい演奏に合わせて語るような歌唱で寄り添っている。それは同年代とコラボレーションするときとはまた違い、先輩とともに作品を作ることでその音楽をさらに進化させようとしているように見えた。この時点でベテランの域に達するほど影響力を持つアーティストになっていたKjだが、まだまだ貪欲に音楽に取り組む姿勢を感じさせる。まさに“シーンのカリスマ”という形容が相応しい存在感と言えるだろう。
とはいえ、同年代の盟友とのコラボレーションもたまらなくグッとくる。The BONEZ「Straight Up feat. Kj」(2024年)でKjがフィーチャリングとして参加しているが、この楽曲でのJESSEとKjの掛け合いのような激しい歌唱が最高なのだ。The BONEZとDragon Ashは交流が長く、その関係性も深い。そんな彼らがコラボレーションしたのだから、当然サウンドの相性も良いのだ。楽曲序盤には〈新時代の為にタッグ行くぞ〉という歌詞がある。ベテランと呼ばれるキャリアになり、若手にリスペクトされるポジションになっても、彼らは新時代を作ろうとしている。それを歌によって示している。Dragon Ashも同名の「Straight Up feat. JESSE」を同時期に発表しており、フィーチャリングゲストとしてJESSEを招いている。こちらの歌詞には〈今もまだ声を枯らして夢物語 掻き鳴らして胸踊る Party〉というフレーズがある。これは、まだまだ2組が音楽で高みを目指すという宣言だろう。
ベテランと呼ばれるポジションになり、リスペクトを表明する後輩がたくさんいても、まだまだKjは貪欲に挑戦している。その姿勢は、Dragon Ashでの活動にももちろん感じるが、コラボレーションでの活動でより強く感じるのだ。
Kjのソロプロジェクトから派生したバンド・The Ravensの最新アルバム収録曲「ミルフィーユ」では、〈生きてやるか 生きてやろうぜ〉と歌っている。「いつか終わりのくる人生を懸命に生きること」を訴えかける本作は、まさに現在に至るまでの活動姿勢とリンクしている。Kjは自身のミュージシャンとしての生き様を音楽に込めている。だから彼の作る音楽は、自身のバンドでもコラボレーションでも、素晴らしいものになるのだろう。
※1:https://realsound.jp/2024/10/post-1818409.html

























