anoの“絶対聖域”を物語る凄まじく濃厚な時間 魂を震わすシャウト響かせた『BONE BORN BOMB TOUR』ファイナル

anoが、7月4日にZepp Haneda(TOKYO)で開催した『BONE BORN BOMB TOUR』ファイナル公演。そのタイトルが示す通りに2ndアルバム『BONE BORN BOMB』の収録楽曲を中心にしたセットリストでありながら、音楽に誠実で、自分に嘘をつかないanoがファンにとっての絶対的な存在であり、ライブという場所が絶対聖域であるということを物語る、凄まじく濃厚な1時間30分だった。
セットリストはアンコールを含めた全20曲のうち、『BONE BORN BOMB』の12曲、つまりはアルバムの全曲を披露している。いわゆる新旧を織り交ぜた曲順だ。印象的だったのは、anoがファンに話していた新曲が初見(初聴き)だったとしても気にせず自分なりのスタイルで楽しんでほしいということ。ライブの1曲目を飾った「許婚っきゅん」をはじめ、タイアップ曲の多いアルバムを、ましてやリリースツアーに足を運ぶほどのファンが聴いてないとは考えづらいが、それでも――という、anoの心遣いが垣間見える。そんなanoの思いに呼応してか、フロアの盛り上がりは終始、爆発(BOMB)しっぱなし! 骨(BONE)の髄までライブを楽しむファンの姿が見ていて気持ちのいいくらいだ。



序盤ブロックの「社会の窓」「愛してる、なんてね。」の流れは曲調こそ大きく違うが、前者はクリープハイプのトリビュートアルバムに収録されたカバー、後者は尾崎世界観(クリープハイプ)との共作という共通点がある。すっかりano自身の持ち曲として定着しつつある「社会の窓」は、少し前のめりになるサビの歌い方やアウトロでのシャウトが音源とは異なるライブアレンジとなっていた。さらに、「愛してる、なんてね。」からは同じダンスミュージックである「涙くん、今日もおはようっ」へと移っていく。ライブ定番曲としてファンにはお馴染みの「涙くん、今日もおはようっ」だが、この日はラスサビ〈らららららん らんらんららん〉のフレーズでanoがフロアにマイクを預け、会場全体が合唱となる演出があった。anoの楽曲の中でもとびきり明るい曲調ではあるが、歌詞は他人とは分かり合えない、それでも音楽だけが唯一の味方になってくれるといった内容。そんな楽曲をフロア全体で合唱する様子、さらにその後の〈涙が今日も流れてく〉という歌詞も相まって、どこか切なさを纏ったアンビバレントな時間だったように筆者は感じた。



リスナーの愛の詰まったコールが響き渡る「スマイルあげない」からはじまる後半戦は、怒涛の盛り上がりを見せていく。anoがメガホンを持ち、メロイックサインを決める「ロりロっきゅんロぼ♡」のライブ映え(スクリーンに映し出されるジャンケン要素も楽しい)に目を見張りながら、「猫吐極楽音頭」から「骨バキ☆ゆうぐれダイアリー」、さらに「F Wonderful World」から「Bubble Me Face」へのカオスな流れは、今後のライブにおいても活かされそうな、盤石な組み合わせになっていた。それぞれ後者が『BONE BORN BOMB』からの楽曲であり、特に「Bubble Me Face」は「F Wonderful World」の最新版として制作された楽曲ということもあり、シームレスに繋がれていった印象だ。その間に「普変」「ちゅ、多様性。」もパフォーマンスされていることも特筆すべきことだが、本編ラストを飾ったのは「絶絶絶絶対聖域」。「Bubble Me Face」からほぼ間髪入れずでの歌唱ということで、フィジカルとしても、ボーカルとしても少しつらそうではあったが、そのことが逆に死力を尽くし、ano自身の限界点を突破していく様を目の当たりにできたような気がした。
























