2025.07.10 12:00

LUNA SEA、BUCK-TICK――リスペクトの先の“個性”　kein、意思と向き合った2nd EP『delusional inflammation』

充実の楽曲で挑むツアーは「僕たちが進む未来への起点」

――そのバランスの良さがkeinのツインギターたる所以なんでしょうね。ちなみに歌詞についてですが、今作は楽曲によってストーリーが繋がっていたりしますか？　たとえば「斧と初恋」と「晴レノチアメ」あたりは猟奇的だったり、歪んだ愛情のような表現が共通しているなと思いまして。

眞呼：多くは語りませんが、この曲とこの曲が繋がっていて、あの曲とあの曲が繋がっているというのはありますね。たとえば、「斧と初恋」と「晴レノチアメ」の歌詞はどちらも殺人鬼目線の歌詞で、登場人物が同じとは限らないですけど、ストーリーや背景やマインドがリンクしていたり。

――なるほど！　殺人鬼の目線だったのですね。

眞呼：だから「晴レノチアメ」っていうタイトルは、“晴れのち雨”と“晴れの血雨”が掛かってるんです。

――意味深なカタカナだとは思っていましたが、種明かしをされて腹落ちしました。では、最後に玲央さん作曲の「幻想」に関してお聞きします。玲央さんは前作で変拍子を用いた「Puppet」を作曲されていましたが、「幻想」はシンプルな疾走感のある楽曲に仕上がっていますね。

玲央：これくらいのBPMをエイトビートで叩いてもらいたいというのがまず大前提にあって。というのも、こういうビート感って先程から話題に上がっている90年代のバンドに多く使われていたし、僕はそれにJ-POPを感じるんです。僕らがやっているのはあくまで邦楽だと思っていますから。

aie：玲央さんが言ってるメジャー感というのはわかるし、俺のなかでこの曲のギターのアプローチはBUCK-TICKをイメージしていて、それがハマったので気持ちいい曲になりましたね。

攸紀：僕は曲の持つ空気感なんかは『EDEN』の頃のLUNA SEAを感じていました。

aie：わかる！

――先ほど玲央さんがビート感のこだわりに関して言及していましたが、そういう意味ではSallyさんに懸かる期待は大きかったのではないですか？

Sally：ビート感がシンプルだからこそ大変でしたね。玲央さんからのオーダーが「八分音符の刻みをとにかく明確に出す」というところだったので、そこを意識しつつスネアも肩すっぽ抜けるくらい叩きました（笑）。

aie：そうだった！　（レコーディングブースから）やつれて帰ってきたもんね！

玲央：この曲はどうしてもハイハットの刻みで、八分音符の2と4がちゃんと聞こえるように叩いてほしくて、そこにはかなりこだわってオーダーしました。

aie：レコーディングのテックの方がドラマーだったこともあって、鬼軍曹のように「もっと！　もっと！！」ってしごくんですよ。求める音が叩けるようになったら「そう、それ！　それを頭から終わりまで！！」って（笑）。

玲央：しんどいですけど、Sallyさんはそれができるドラマーだと思っているし、おかげさまでめちゃくちゃかっこいい音が録れました。

――努力の賜物ということですね。また、この曲は言葉数が少ないAメロからポエトリーリーディング的に言葉を捲し立てるBメロへの緩急のつけ方が独特ですよね。

眞呼：Aメロに関してはわかりやすく耳に残る「かっこいいな」と思う音だけを入れて、それ以外は惰性で入れずに省いたことによって、Bメロのポエトリーリーディング、そこからさらにサビと勢いを感じられるような展開になったと思います。

――ポエトリーリーディングに関しても新たな試みといえますね。

眞呼：誤解があるといけないので前もって言っておくんですけど、ここのパートは私じゃなくて玲央さんが歌っているんです。

――そうだったんですか！？

玲央：やっぱり気づかないんですね！　声質的に僕の声ってわかるからちょっと恥ずかしいなぁと思っていたんですけど。

――てっきり眞呼さんの声だと思っていました。

玲央：こういう感じの語り口調でBメロを進行したいという提案をして、ディレクションをする際にイメージを伝えるために試しに録ったテイクがそのまま採用されたんです。眞呼さんが「あらためて録り直す必要ないですよ」って言ってくださって。

眞呼：あえて私が歌わない方がいいかなって。その方が良く聴こえたので。

――ライブではどのように再現されるのかが楽しみです。では、完成した『delusional inflammation』はどんな音源に仕上がったと思いますか？

aie：何回も聴いてるうちに癖になるというか、中毒性の高い作品になったと思います。ただ、keinがメジャー感出していこうと作ってもここが限界でした（笑）！

一同：（笑）。

――そして、7月にはこの作品を携えたツアーがあります。

攸紀：3カ所だけなんですけど、前作もまだ完全に消化し切れていない感もあるので、それも含めて充実感のあるツアーにできたらと思います。

Sally：どの会場も初めての会場なので、僕ら自身も楽しみですね。

――今回のツアーはわりとコンパクトですが、さらに新曲が加わることでセットリストにも変化が生まれそうですね。

aie：そうですね。前作のツアーから年を跨いでるのでスイッチが切り替わってる感があるんですけど、おっしゃるように前作と今作で合計10曲の新曲があると思うと、セットリストもグッとイメージが変わるし、バランス的に新曲群の方が多い構成になる可能性もある。なので、このツアーを経てkeinが来年以降どうなるのかをライヴをやりながら確かめていきたいと思ってます。

――来年以降という未来のお話が出ましたが、今作やツアーを経て、より一層keinがメジャーシーンにいる意味というものをあらゆる方面に示してもらえることを期待しています。

玲央：来年以降の動きの兆しというか、僕らが進むべき方向／進みたい方向を見せられるツアーになると思いますし、今後僕たちが進む未来への起点になる重要なポイントであることは間違いないので、楽しみにしていてください。

■リリース情報
Major 2nd EP『delusional inflammation』
発売中

配信リンク：https://king-records.lnk.to/delusional

・初回限定盤（KICS-94204）
仕様：CD＋Blu-ray
価格：￥5,500（税込）
購入：https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICS-94204/

・通常盤（KICS-4204）
仕様：CD
価格：￥2,750（税込）
購入：https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICS-4204/

＜CD収録曲＞
01. 斧と初恋
02. 幻想
03. 幾何学模様
04. 晴レノチアメ
05. 波状

＜Blu-ray収録内容＞
01.「波状」Music Video
02.「波状」Music Video Making

■公演情報
『kein TOUR 2025 「delusional inflammation」』

アメリカ村DROP
日程：2025年7月11日（金）
時間：OPEN 18:30／START 19:00

NAGOYA JAMMIN’
日程：2025年7月12日（土）
時間：OPEN 17:00／START 17:30

SUPERNOVA KAWASAKI
日程：2025年7月20日（日）
時間：OPEN 17:00／START 17:30