『アニサマ』第1回目から20年 アーティスト主催、地方開催……現在のアニソンフェスに見る多様化と拡張
2005年7月10日に日本最大のアニソンフェス『Animelo Summer Live』(以下、『アニサマ』)の第1回目が開催されてから20年を迎えた。『アニサマ』がスタートした当時はレコード会社を跨ぐようなアニソンフェスは数えるほどしかなかったが、20年が経過した現在では、全国津々浦々、時に海外でも多様なアニソンフェスが行われている。アニソンフェスはほかの音楽フェスと同様、コロナ禍で大きなダメージを負い、特に中小規模のアニソンフェスに関しては存続自体が困難になってしまったものも少なくない。しかし、2023年からのライブでの声出し解禁を経て、現在は名の知れたアニソンフェスだけでなく、令和以降に生まれた新興のアニソンフェスも少なくない。今回は、2025年現在のアニソンフェスの現状を紹介。コロナ禍で一度は更地になってしまったアニソンフェスが現在どのような盛り上がりを見せているのか、詳しく記していけたらと思う。
まず、大型イベントの動きから見ていこう。“3大アニソンフェス”と呼ばれているのが、『Animelo Summer Live』『ANIMAX MUSIX』『リスアニ!LIVE』の3つで、コロナ禍によって縮小されていた公演規模はすでにコロナ禍前まで回復。これらのフェスでは、本公演から派生した新たなライブイベントも散発的に開催されている。
代表的なところでは、『リスアニ!LIVE』と大阪のラジオ番組『802 Palette』(FM802)がタッグを組んで生まれた『リスアニ!×802 Palette リスパレ!LIVE』だろうか。ぼっちぼろまる、無限大みゅーたいぷ、『ユイカ』など、新世代のアーティストが続々と出演しており、関西から新たな風を起こす存在として注目しておきたいフェスとなっている。また、『Animelo Summer Live』は昨年12月にVTuberをフィーチャーしたバーチャルライブ『ANISAMA V神 2024』を配信で開催。VTuberのアニメタイアップも増える中、“アニソン×VTuber”というフォーマットでのフェスが新たな客層の掘り起こしとなるか、こちらも気になる存在だ。
コロナ禍以降に始まり話題を呼んだ、『FLOW THE FESTIVAL』も見逃せない。アニソンとロックの架け橋的存在であるバンド・FLOWが主催する2024年から始まった音楽フェスで、会場は1万人以上収容可能な神奈川・ぴあアリーナMM。本フェスの最大の特徴は、オーイシマサヨシ(大石昌良)やGRANRODEOといったアニソンを中心に活動するアーティストだけでなく、Creepy Nutsやサンボマスターのようなこれまでアニソンフェスにはいなかったアーティストも数多く出演している点だと言えるだろう。このようなアーティストたちが融合したフェスが登場したことは、アニソンを主戦場にしていたアーティスト以外のタイアップも多くなった現在のシーンにおいて、ほかのフェスとの差別化という観点でも大きな意味を持つ。
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そして、各アーティストの持ち時間が40~45分というアニソンフェスとしては比較的長めの設定になっているのもこのフェスの大きな特徴のひとつ。これだけの時間があればアーティスト自身の魅力を最大限伝えることを意識したセットリスト、また複数のアニメ主題歌を持つアーティストも存分にセットリストを工夫できるため、ファンも一見客もどちらも満足するパフォーマンスが可能にもなるだろう。
ほかにも、『Re:ゼロから始める異世界生活』(テレビ東京系/TOKYO MXほか)や現在放送中のアニメ『Summer Pockets』(TOKYO MXほか)など数多くの主題歌を担当しているアニソンシンガー・鈴木このみによる主催フェス『鈴フェス』や、特撮ドラマの主題歌などで有名な高橋秀幸が主宰する『アニソンテンペスト』など、アーティスト主導の音楽フェスも続々と開催され始めている。アニソンフェスの新たな可能性となり得るか、今後も注目したい。
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