SHO-SENSEI!!が歌詞で導く新時代のラブソング 白石聖出演MVでも話題――「エリー」で結実した圧倒的な共感性

7月2日、SHO-SENSEI!!が新曲「エリー」を発表した。
今年1月には全国5カ所をまわるツアー『SHO-SENSEI!! "THE GHOST TOUR"』を開催し、私が目撃したファイナルの東京・渋谷Spotify O-EAST公演でも、1曲目から最後まで大合唱が起きるほどの大熱狂を生んでいた。4月にリリースした「ラブレタ」を経て、今月出した「エリー」は、2026年の大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合)に出演する白石聖がMVに出演していることでも話題を呼んでいる。
ここでは、SHO-SENSEI!!の“歌詞”に着目したい。
そもそもSHO-SENSEI!!は、小学生の頃からUS HIPHOPを愛聴し、高校卒業後はラッパーとして活躍するためにカナダへ渡った過去を持つ。そして現地で活動するなかで、自身の地元である“日本”をレペゼンすることこそがHIPHOPであると気づき、日本に帰国し「SHO-SENSEI!!」としてキャリアをスタートさせた。そうして10代から自身の血肉にしてきたHIPHOPと、中学時代から好きだった忌野清志郎や、20歳の頃に出会った尾崎豊が、SHO-SENSEI!!の音楽を形成する大きな要素になっている。
SHO-SENSEI!!が大切にしていることは、ほかの誰でもなく“自分”が見える音楽にすることだ。以前インタビューでルーツについて聞いた際、こんなことを話してくれていた。
「僕が日本の音楽を好きじゃなかった理由のひとつに、『この歌詞やこの感じだったら、誰が歌っても一緒やん』とちょっと思ってたというのがあるんですよ。僕の好きなUSの人らは自分が生まれた街の話をしたり、リアルな友達の名前を出してたり、『亡くなった親友ジェームズのためのアルバム』があったり。『その人が歌ってるから成り立っている歌』が僕は好きなんですけど、尾崎豊を初めて聴いたとき、それがすごく理解できた」(※1)
自身のストーリーをリアルに歌いながら、それでいてリスナーから高い共感性を呼ぶだけでなく、それぞれの心や人生を救ってもいるのがSHO-SENSEI!!の魅力だ。「エリー」のMVのコメント欄を見ると、最多いいね数を獲得しているのは「先生何人の失恋を救ってるんだよ…」というコメントである。それは多くのファンが同様に思っている証だろう。実際、ライブ会場の“熱狂”とは、ファンがSHO-SENSEI!!の音楽や存在を心のよりどころにしているからこそ生まれているものだった。
「エリー」や「ラブレタ」の歌詞を覗き込んでみると、SHO-SENSEI!!は、人々が日常的に使う言葉や、誰もが理解できる言い回しだけを用いていることがわかる。そもそも詩的な表現を使わずに、幼稚っぽさや下品さを感じさせない歌詞を完成させることは極めて難しい。さらに自身の失恋や後悔を世に伝える作品として表現する時、人に隠したい部分では比喩表現や複数の解釈ができる言い回しを使いたくなるものだが、SHO-SENSEI!!は、一切そういった綴り方に逃げていない。
SHO-SENSEI!!の歌詞は、曲の主人公がいる場所の情景や、登場人物の表情が浮かんでくることも魅力だ。小学生の頃から小説が好きで、自身のノートに書き留めていたことが彼のソングライティングに活きている。「エリー」でいえば、たとえば〈遅くまで時には朝までずっと/僕の声を聞いてくれて/僕が知らない事を知ってるような優しい/目つきで僕を見てた〉というフレーズに突入すると、聴き手それぞれが思う夜の風景や〈優しい目つき〉の想像が膨らむだろう。























