SHO-SENSEI!!の音楽はなぜ心の拠り所になるのか リスナーを魅了する、ありのままを曝け出した言葉の強さ

 衝撃的な光景だった。ティーンエイジャーたちの熱狂が渦巻いていた場。大人が気づいていない、現代を生きる彼らの寂しさや人生の困惑、そして欲望が共鳴を起こし、音楽の悦びへと変わっていた。2月に渋谷CLUB QUATTROで観た、SHO-SENSEI!!のライブのこと。

 SHO-SENSEI!!とは、2019年より本格的に活動開始した兵庫県出身のアーティスト。高校の3年間は毎日1曲作ってSoundCloudにアップし、卒業後には「世界で活躍するアーティストになる」という夢を掲げてカナダへと渡って音楽や英語を学びながらステージに立った経験を持つ。20歳の頃から活動拠点を東京へ移し、ヒップホップや英語の本場で生まれ育った人たちの真似事をやるのではなく、日本で生まれ育った自分だからこそできる表現とは何かを突き詰めている。

SHO-SENSEI!! 「サザン」LIVE at WWW X

 そのユニークな名前の由来は、学校の先生が持つ「先生としての顔」と「生活者としての顔」の二面性に不思議な魅力を感じたからだという。「二面性」はSHO-SENSEI!!の音楽の核になっている要素だ。〈僕はすぐ東京ドームで歌う〉(「サテライト」)と大きな野望を堂々と口にする強さも、〈夢を持つのは 怖いこと〉(「LEGO」)といった弱音や繊細な心も、曲の中で大っぴらにする。どれも偽りやパフォーマンスではない。そのすべてがSHO-SENSEI!!の本心であり、心の揺れ動きをありのまま音楽にすることこそ彼のリリックの強さだ。小学生の頃から小説家・星新一を好み、ノートにオリジナル小説を書き留めていく中で、気づけば歌詞を書くようになっていたことがソングライティングの始まりだというが、今もSHO-SENSEI!!のリリックは彼自身が考えたことや内省することで浮かび上がった心情がまるで日記のように綴られている。

SHO-SENSEI!!「サテライト」Official Music Video

 さらにいえば、SHO-SENSEI!!は「消えゆく儚いもの」を「音楽にして残す」という二面性も表現の核に置いているように思う。大人になることへの希望と絶望を抱きながら、「夏休み」「終業式」「卒業式」など一つひとつの行事が終わっていくことを受け入れていた10代の頃。もらったはずの「愛してる」の言葉、夕日に照らされた横顔、夜中の電話で聞いたあの声。二度と訪れない瞬間が過ぎ去っていくことへの刹那。あの感覚を、SHO-SENSEI!!は曲の中に封じ込めている。

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