新着MVランキング:aespa、新曲「Dirty Work」の“異色さ” ミニマルなサウンドに宿る新たな攻めの美学
MV Chart Forcus
毎週更新される「YouTube Music Charts」ウィークリー ミュージック ビデオ ランキングより、ミュージックビデオをはじめとした音楽関連の新着動画から上位10作品/楽曲を取り上げ、ランキング化&レビューしていく連載「MV Chart Focus」。6月27日〜7月3日のウィークリー新着のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:aespa「Dirty Work」
2位:ORANGE RANGE「イケナイ太陽」令和ver.
3位:ピノキオピー「T氏の話を信じるな feat. 初音ミク・重音テト」
4位:乃木坂46「Same numbers」
5位:浜崎あゆみ「INSPIRE / Mirrorcle World / mimosa」スタジオパフォーマンス
6位:BABYMONSTER「HOT SAUCE」
7位:Stray Kids「Hollow / THE FIRST TAKE」
8位:乃木坂46「真夏日よ」明治神宮野球場公演 10thメモリアルムービー
9位:KARMA「Alien Stage」
10位:Suchmos「Eye to Eye」
今回取り上げるのは、aespaの新曲「Dirty Work」だ。現代的なテックハウスのサウンドと、中毒性の高いリフレインからなるフックが注目を集めた昨年の「Whiplash」は、アグレッシブでマキシマルなaespaらしさを残しつつも、そうしたイメージとは反対のミニマルさが強い印象を残す楽曲だった。「Dirty Work」も、ある意味では「Whiplash」の路線を引き継いでいるように思える。というかむしろ、そうした“ミニマルさの徹底”と言うべきかもしれない。
要所要所にヘヴィなドラムとギターのフィルインを挟んで展開にアクセントを作り、単調になりすぎないよう細かくビートのテイストを変える一方で、メロディのトップラインは起伏が少なく、「Whiplash」のようにクライマックスに向けて歌い上げるパートもない。だからと言って楽曲としてこれまでのものと見劣りするかと言えば、そうではない。不規則にもつれるシンセリフに呼応するかのようにモタったリズム感を強調したサビは、これまでのaespaが得意としてきた派手なスペクタクルとは異なるクールさを存分に表現している。
タイトルを文字通り具現化するかのように土埃と泥に塗れる4人がフィーチャーされるMVでは、aespaの売りである荒唐無稽なケレン味とも「Whiplash」的なソリッドさとも違う質感が押し出されている。特に中盤に顕著な、泥、水、汗、肌、あるいは顔のクローズアップで強調されるグロッシーな唇……といったウェットな物質性や身体性にフォーカスした画作りは、「Dirty Work」の“異色さ”を一層強めている。
ところで、「Dirty Work」が正式にリリースされる3週間ほど前となる6月9日、aespaはAppleとのコラボレーションによるこの曲のパフォーマンス動画を公開している。全編をiPhone 16 Proで撮影したその動画では、巨大な倉庫を舞台に4人のパフォーマンスが繰り広げられている。iPhoneの撮影能力や機動力を強調するようなショットが盛り込まれた、いかにも企業とのコラボレーションという内容で、イントロダクションを除けば披露されている実質的な曲尺は1分強程度。しかも、大半はボーカルオフになっていて、NINGNINGの「Work It!」のシャウトとともにラストのサビが入ってくる編集になっている。
実のところ、単純に展開の派手さという意味では、パフォーマンス動画版のほうがインパクトは強い(そしてYouTube上で比較する限り、MVより音もデカい)。けれども、フル尺の「Dirty Work」が放っている妖艶さやクールな力強さからくる魅力とは、やはり比べ物にならない。やはり、グループの新しい側面に光を当てる一曲だと言えそうだ。
※1:https://charts.youtube.com/charts/TopVideos/jp/weekly

























