乃木坂46は前進することを諦めない “最強”を更新し続け、新たな歴史を刻んだ13回目の『バスラ』を振り返る

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』レポ

46分ノンストップメドレー、期別リレーが紡いだ物語

 今回のバスラにおいてハイライトと言えるのが、2ndブロックで披露された“46分ノンストップメドレー”だろう。13年にわたる歴史をたった2日間で振り返るために用意されたこのメドレーは、2日間それぞれ選曲や構成はまったく異なるものだった。DAY1はデビュー曲「ぐるぐるカーテン」から36thシングル表題曲「チートデイ」まで計28曲、DAY2は2ndシングル表題曲「おいでシャンプー」から37thシングル表題曲「歩道橋」まで計26曲を、それぞれ時系列に沿って矢継ぎ早にパフォーマンス。メンバー構成も期の違いや選抜/アンダーの枠を超えた組み合わせであり、メイン&サブステージにスタンド席通路、トロッコやフロート、リフターなどさまざまな場所と演出を用いて、観る者を驚かせ続ける。

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

 シングル表題曲だけでも現時点で38曲、そこに人気の高いアンダー楽曲やユニット曲、ライブの定番曲やバスラでしか聴けないレア曲を2日間でいかに多く聴かせるか--その結果がこの試みなのだろう。曲によってはサビを繰り返すのみで終わってしまうなど、「しっかり聴きたい!」と消化不良を起こしそうなものだが、そんな不満を漏らしていられないほど次々と展開していく構成に、筆者は思わず「とはいえ、贅沢なメドレーだな」と本音をこぼしてしまった。

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

 にしてもこのメドレー、センターの選出やメンバーの組み合わせにも作り手側のこだわりが散りばめられていたのが非常に興味深い。たとえば、「扇風機」ではリリース当時最年少だった齋藤飛鳥から5期生の最年少メンバー・小川彩がセンターを継ぎ、白石麻衣に憧れてグループに加入した梅澤は「世界で一番 孤独なLover」のセンターを受け持つ。また、自身同様芸術方面に長けた伊藤万理華にシンパシーを抱く池田は「ここにいる理由」でセンターに立ち、山下美月を敬愛する一ノ瀬美空は「僕は僕を好きになる」のセンターを引き継いでいる。

 そのほかにも、白石&橋本奈々未による「孤独兄弟」を遠藤&賀喜が見事に継承し、与田祐希に寵愛を受けてきた筒井あやめ&川﨑桜は「逃げ水」でWセンターを務めるなど、要所要所でメンバーのサイドストーリーやグループとしての物語の“続き”を感じ取ることができた。もちろん、ここに挙げた以外にも注目すべきポイントは豊富だったので、気になる方は映像作品化された際になどにぜひチェックしていただきたい。

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

 大きな見せ場となったメドレーのあとに控えていたのは、遠藤や中西を中心とする青組、賀喜や井上を筆頭とした赤組の2チームに分かれてのパフォーマンス。それぞれチームカラーの衣装を着用し、青組は「Actually...」「ごめんねFingers crossed」、赤組は「おひとりさま天国」「I see...」という対照的な選曲で会場を沸かす。

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

 その様相は月と太陽とでも言ったところだろうか。乃木坂46が持つ二面性をここで強調すると、続く「インフルエンサー」では井上&中西のWセンターで二組が交わり始め、二色が混合すると乃木坂46のイメージカラーである紫色が会場を覆い尽くして、「きっかけ」(DAY1)や「君の名は希望」(DAY2)でこのブロックを締め括った。

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

 ここまで乃木坂46の多面性をさまざまな形で見せてきたが、ライブ後半は期別によるカラーの違いが提示される。ここでいよいよ、多くのファンが待ち望んだ6期生が「タイムリミット片想い」でステージに立つ。センターの矢田萌華を筆頭に、DAY1こそ緊張で表情が固かった11名だが、DAY2は多くのメンバーから柔らかな笑みも見え、5万人以上が集まったこの大舞台を早くも楽しんでいるようにも見えた。

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

 以降、5期生が「バンドエイド剥がすような別れ方」、4期生が「ジャンピングジョーカーフラッシュ」で場の熱気を上昇させ、同期の相次ぐ卒業で5名となった3期生は原点である「三番目の風」で気を吐く。これに続く、「設定温度」での3期生、4期生、5期生、6期生が順々に加わっていく演出は、『真夏の全国ツアー2017』や昨年『12th YEAR BIRTHDAY LIVE』とリンクするものがあり、こうして歴史は継承されていくのだなと強く実感させられた。

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

『乃木坂46 13th YEAR BIRTHDAY LIVE』(撮影=鈴木健太(KENTA Inc.))

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