きばやし、憂いを帯びた歌で高まる注目 分かり合えない世界でも肯定していく“心の奥底にある感情”

きばやし、憂いを帯びた歌で高まる注目

 人の心を揺り動かす歌を評価され、最近のきばやしは、下北沢や大塚でのサーキット、横浜でのフェスなどに出演。さらに関東圏に留まらず、全国各地からのオファーに応えて様々な街に歌いに行っている。そんななか、5月21日には、新曲「ラブソング」が配信リリースされた。「ラブソング」という直球のタイトルがつけられているのは、その名の通り、相手を思う気持ちを歌った曲であると同時に、“ラブソング”をモチーフとして扱っている曲だから。そして、ささくれだった心を表現するような冒頭のエレキギター、Cマイナーの暗い響き、〈2人で聞いたあの曲の/恋人たちと同じ別れ〉という歌い出しからわかるように、この曲は失恋ソングでもある。

 一緒に聴いたあの曲と相手との思い出がセットになって記憶されているから、忘れられなくて困っているのだ、曲に罪はないが正直つらいのだ、と「ラブソング」の主人公は心情を吐露している。この曲に出会った人の多くは日常的に音楽を聴いているリスナーであるわけだから、〈Bメロあたりの気持ちがもう/今の私にピッタリなの〉〈Cメロに差し掛かったとこで/涙がこぼれそうで〉という感覚にきっと心当たりがあるはずだ。なお、この曲のCメロでは、相手との楽しかった思い出が歌われている。〈あなたがくれたCDとか/半分ずつ耳に当てたヘッドフォンが〉という回想部分では明るい響きのE♭メジャーキーに移るが、夢は束の間、わずか4小節で元の暗いキーに戻るのが切ない。

きばやし「ラブソング」

 すべての歌詞を歌い終えても主人公は立ち直れておらず、ラストのフェイクは悲しみのため息のように聞こえる。だが、それでいいのだと――時にはあなたも音楽にもたれながら、泣いたり沈んだり浸ったりすればいいのだと、この曲は伝えてくれている。あなたの人生はあなただけのものであり、生きていて後回しにしていい感情などない。そのことを伝えるために、きばやしは自分の、そしてあなたの心に勇気を持って触れながら、歌を歌っているのだろう。

※1:https://www.barks.jp/news/?id=1000236982

きばやし「ラブソング」

■リリース情報
きばやし「ラブソング」
レーベル:SLIDE SUNSET
配信:https://nex-tone.link/A00184381

オフィシャルHP:https://kibayashi-sing.com/
X:https://x.com/7939lv/
Instagram:https://www.instagram.com/kibayashi_sing/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCHh5oK7XtCVYRZItVZOonvA

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる