ZANPA、結成11年でたどり着いた風景 生バンドによるワンマンライブで堂々届けた“SUPER KAYOU”


ここからの中盤戦はアコースティックコーナーだ。再びアカペラで「白夜月」をしっとりと歌い上げた後は、ピアノ伴奏での「アシタテンキニナレ」で観客をうっとりとさせる。バンドメンバーの紹介を挟んで、ハイチェアに座っての「SUPER KAYOU」と「キメテ!」。今までと違うアプローチでその楽曲に迫りたいというメンバーたっての希望でミニアルバム『YOU&ME』に収録されたアコースティックバージョンを2曲連続でのライブ初披露だ。令和の最新サウンドと歌謡とを掛け合わせたEn-POPシリーズ第4弾となった「SUPER KAYOU」は、彼らの現在地を示す楽曲だ。SUPER BANDの骨太な演奏とも相まって、ライブタイトルでもある“SUPER KAYOU BAND LIVE”を体現する。BANDメンバーの紹介を兼ねた圧巻のソロパートを経て「キメテ!」へ。ピアノ演奏をバックに情感豊かにソロパートを歌い上げる義文、孝介、航そしてYOMA。個性豊かなソロシンガーが歌い継いでいくかのように、楽曲の世界を彩っていく。
「次の曲はお客様をひとりステージにあげて歌いたいと思います。本日、4月12日誕生日の方、手をあげてください!」(航)
ライブの冒頭にメンバーが板付いていたステージ中央に、本日誕生日を迎えたお客様代表のために椅子がしつらえられる。恥ずかしそうにステージに歩を進めたそのお客様が椅子に座るやいなや、メンバー全員で彼女を取り囲む。「焦がしてやるぜ」を歌いながら寄り添うように手を差し伸べ、奪い合うように歌う。波族からすると垂涎の光景だ。そんな手厚い特別サービスを気持ちよく共有する波族の表情も笑顔であふれている。


そんな余韻の中、ステージにはマイクスタンドが立てられ、次の曲「SAIAI」が始まる。En-POP第6弾、レゲトン×歌謡。各ソロパートの個性が際立ち、YOMAの演歌調のコブシボイス、航のラップがそれに絡んでいく。続いて「十四夜の夢」。義文の切なさ、孝介の色気と包容力。光と影、静と動。歌と踊り。それぞれが好対照を描いて楽曲の世界観を盛り上げていく。そして、「Rain」。ミニアルバム収録曲でメンバー初となる本格的なロックバラード。魂の咆哮のようなメンバーの力強くエモーショナルなボーカルが出色だ。バンドの演奏にもより一層の熱がこもる、アウトロでメンバーが退場し、そのままバンドセッションに移行していく。
気がつくと、カラフルな衣装に身をまとったメンバーが“ラウンド”を始めていた。“ラウンド”とは、彼らのステージの名物コーナーで、メンバー全員が客席に降りたって、お客様一人ひとりに握手をしたり、ハイタッチをしたりするZANPAライブならではのムーブだ。楽曲は2022年のシングル曲「文明開花」、そしてバブルガム・ブラザーズのカバー「WON’T BE LONG」。ゆっくり時間をかけて今日という特別な日に会場を訪れたファンとの交流を丁寧に積み重ねていく。
「楽しんでますか!?」(YOMA)
「次の曲は撮影OKです!」(義文)
ミニアルバムのタイトル曲である「YOU&ME」が、ここで満を持して披露される。携帯撮影OKのハッピーな空間が現出する。〈沸いて笑いっぱなしの人生いつまでも YOU&ME〉、あなた(波族)がいるから僕(ZANPA)がいる。ファンと歩んだ11年の集大成。ZANPAのライブが体現するポジティブなパワーに満ちたメッセージがこの歌詞にも込められている。
そして「FACE OF THE SEA」。シティポップ×演歌のマッチングで制作されたEn-POP第2弾楽曲。会場に爽やかな風が駆け抜け、ミラーボールがステージから客席を眩しく反射させていく。ZANPAのライブもここでひとつの頂点に達したかのようだ。

「ZANPAは今年で結成11周年を迎えることができました。その間いろんなことがありました。時には、僕達のステージで元気づけなきゃいけないのに、僕達が皆さんに元気をもらったこともありました。今もこうやってたくさんの方の前で僕達の大好きな歌を歌うことができています。ちょっと、僕達の背中は頼りないかもしれませんが、あなたとワタシ、“YOU&ME”でこれからも素敵な物語を一緒に紡いでいけたらいいなと思います!」YOMAが代表して感謝と決意の言葉を述べる。
本編最後の曲は、ミニアルバム『YOU&ME』のダウンロード版に収録された「Lights」。“光照らす方へ、ファンのみんなと歩んでいきたい”そんなメッセージを込めて本編最後を締めくくった。
アンコールの声が会場に鳴り響く。I♡ZANPA Tシャツに身を包んで再登場し、歌うは「言羽」。2020年1月にリリースされた3rdシングルだ。
「次の曲でフィナーレでございます。あっという間でしたが、また皆さんと楽しい時間を作っていけたらと思いますので、最後是非一緒に盛り上がってください! みんな思い残しがないよう楽しんでくれますか!?」
YOMAの絶叫と共にラストナンバー「未来横丁」のイントロがスタートする。長らくライブのみでしか聴けず、2023年発売の1stアルバム『ZANPACTDISC』に初めて収録されたファンと共にライブ会場で育ててきた楽曲だ。笑顔のSUPER BANDのメンバー達を紹介するYOMA。波族とバ族とともに紡いだ一夜限りの素敵な夢。再会の抱擁と出会いの喜び。11年間やってきたからこそたどり着いたこの風景。ZANPAの『SUPER BAND LIVE KAYOU』の夜はこうして素敵な余韻を残しながら更けていった。



























