秋元康プロデュース・MATSURI、シングル首位獲得 『アヴァンチュール中目黒』が映す“昭和歌謡”を紐解く

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参考:https://www.oricon.co.jp/rank/js/w/2025-02-03/

 2025年2月3日付(1月28日発表)のオリコン週間シングルランキングで首位を獲得したのはMATSURI『アヴァンチュール中目黒』で、推定売上枚数は51,481枚だった。続く2位はBUGVEL『Order In The Court』で売上枚数は7,021枚。ほか、トップ10圏内の初登場作品としては、5位 ZIPANG OPERA『KAMIYAGURA』(4,874枚)、7位 AiScReam『愛♡スクリ~ム!』(4,781枚)、8位 WANDS『Shooting star』(4,419枚)、9位 イルミネーションスターズ『THE IDOLM@STER SHINY COLORS ECHOES 01』(3,933枚)、10位 SAY-LA『星空シャンデリア』(3,525枚)があった。

 今回取り上げるのは首位のMATSURI『アヴァンチュール中目黒』。MATSURIは先駆けて2024年9月にデビューシングルをリリースしたSHOW-WAとともに、avexなどが共同で主催した『夢をあきらめるな!男性グループオーディション』から誕生した秋元康プロデュースの昭和歌謡男性グループ。コンセプトは「昭和歌謡・ポップスを現代にリバイバル」(※1)だという。表題曲「アヴァンチュール中目黒」は“令和のムード歌謡”とも銘打たれており、たしかに恋の駆け引きを描くストーリーや、ところどころに挿入されるコーラスには、そうした要素が感じられる。とはいえ、アップテンポで軽快さを強調したアレンジは、しっとりとしたムード歌謡というよりも、アイドルソング的な勢いがある。

MATSURI / アヴァンチュール中目黒 -Music Video-

 SHOW-WAにも通じることながら、MATSURIはリバイバルを掲げつつも、忠実なリバイバリストとして“昭和歌謡”に取り組んでいるわけでもないし、かといって“昭和歌謡”を現代的に再解釈&アップデートする、といった方向性を採っているわけではないように思う。むしろ、ここで2グループが再演しているのは、先行する世代のパロディや、あるいはノスタルジーを含めたオマージュに彩られた70年代末から80年代の感覚なのではないだろうか。ムード歌謡や歌謡曲を直球で蘇らせるというよりは、両グループと同じく秋元がかかわったものを例に挙げるなら、そもそもがムード歌謡のパロディであった、とんねるず「雨の西麻布」をやっている、というか。

 それは実際、同作のカップリングにてオールディーズにオマージュを捧げたチェッカーズから「ジュリアに傷心」をカバーしているところにも見て取れる。あるいは、時代がかった言葉選びや曲に一世風靡セピアを思わせる、SHOW-WAとの合同曲「汚れちまった涙」も同様(ちなみにSHOW-WAはデビューシングルでラッツ&スター「め組のひと」をカバーしていて、同じラインで考えられよう)。

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