the cabs、12年ぶりの活動再開でバイラルチャートイン 現在も支持されるスリリングなアンサンブル
「二月の兵隊」は、イントロのロマンチックなギターのアルペジオ、メランコリックなメロディが印象に残るミディアムチューン。手数の多いドラムが楽曲の展開にダイナミズムを加え、複雑なバンドアンサンブルが、大きくうねるように楽曲に波を作っていく。その波にジャストでライドオンするのが、首藤のボーカルだ。バンドサウンドの波の上をすべるように滑らかに、旋律を紡いでいく。彼の持ち味であるクリアな歌声を活かし、シンプルなメロディの輪郭をしっかりと残していく。歌う部分とバンドアンサンブルで聴かせる部分の音数のコントラストも魅力の1曲だ。
「キェルツェの螺旋」は、イントロからカオスなバンドアンサンブルが炸裂するアップチューン。変拍子で一気に押し切る1曲で、「二月の兵隊」に比べ、首藤が歌う部分が圧倒的に少ない。しかもトーンはほとんどなく、彼は刻むように歌っている。つまり、メロディが極端に少ないのだ。それなのに2曲とも、共通したthe cabsらしさがあるのがお見事だ。
活動再開とともに、8月に東名阪ツアー『the cabs tour 2025 “再生の風景”』が開催されることも発表された。リリースから約12年の時を経て、今まさにthe cabsの“再生の風景”が始まる。

























