the cabs、12年ぶりの活動再開でバイラルチャートイン 現在も支持されるスリリングなアンサンブル

Viral Chart Focus

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの1月15日付のTOP10は以下の通り。(※1)

1位:中島健人「CANDY ~Can U be my BABY~ (New Vocal Mix 2024)」
2位:the cabs「二月の兵隊」
3位:平賀晴、竹下天馬、尾上右近、松田元太、「I Always Wanted A Brother」
4位:V「Winter Ahead (with PARK HYO SHIN)」
5位:Kaneee「Life is Romance」
6位:ANAIS & KO「Super Girl」
7位:yung kai「blue」
8位:ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ「みむかゥわナイストライ」
9位:ローラ・ヤング「Messy」
10位:the cabs「キェルツェの螺旋」

 今回はthe cabsを取り上げる。2006年に結成され、2013年に解散したロックバンドである。2025年1月9日公式X(旧Twitter)が開設され、再結成と活動再開が発表された。この発表を受けて1月15日付デイリーバイラルチャートの2位に「二月の兵隊」(2011年)、10位に「キエルツェの螺旋」(2011年)がランクインしてきた。the cabsは、首藤義勝(Ba/Vo)、高橋國光(Gt/Vo)、中村一太(Dr)からなる3ピースバンドである。解散後も各メンバーが、他バンドやソロ名義で音楽活動を継続し、それぞれが音楽シーンでしっかり存在を発揮してきたからこそ、今回の再結成にあたり、バイラルチャートのアクションに繋がったと考える。

 今回のチャートリアクションには、活動中はもちろん、解散してからも根強い人気があったことが窺える。Spotifyでは1月20日現在で「二月の兵隊」が245万超え、「キェルツェの螺旋」「僕たちに明日はない」が110万超えの再生数を記録しているのも、彼らの音楽性が多くの人に支持されていた証拠のひとつといえるだろう。

 the cabsは、2011年に1stミニアルバム『一番はじめの出来事』、同年12月に2ndミニアルバム『回帰する呼吸』、そして2013年に1stフルアルバム『再生の風景』を残響レコ―ドからリリースしている。残響レコ―ドは「10000人の耳を変えるレコ―ド会社」を掲げ、ポストロックを軸にしたインストゥルメンタルバンドのté・河野章宏(Gt)が設立したインディーズレーベルだ。ポストロック、エレクトロニカ、ポストハードコア、オルタナティブロック、インストゥルメンタルなど、メジャーシーンとは一線を画した前衛的なバンドの作品を多くリリースしてきた残響レコード。“残響系”という言葉も生み出し、後にはひとつのジャンルになるまでに至った。レーベルのファンも多く、1990年代半ばから2010年代にかけ、ひとつのシーンを作り上げた。

 the cabsの音楽性は、ポストロック、ポストグランジ、ポストハードコア、オルタナティブロックといったジャンルが当てはまると思うが、曲調は非常に幅広い。そこに共通しているのが、変拍子をふんだんに取り入れたバンドアンサンブルだ。そのスリリングさが、そのまま楽曲のスピード感になっている曲もあれば、楽曲の深度を増す役割を担う曲もある。

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