9mm Parabellum Bullet、“9”枚目のアルバムを携えたツアー東京公演 過去曲を織り交ぜ披露するライブバンドの最新形

9mm、ライブバンドの最新形

 会場のZepp Haneda(TOKYO)に足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのはフロアの中空に張り巡らされたロープ。そう、この日、10月2日は9mm Parabellum Bullet(以下、9mm)、記念すべき“9”作目のアルバム『TIGHTROPE』リリースツアー『Walk a Tightrope Tour 2022』セミファイナル。9mmのライブが最高なのは今さらいうまでもないが、全10曲・35分というコンパクトなニューアルバムの世界をきっちり表現しながら、そこに過去曲を織り交ぜることでさらにその世界を拡張し更新していく、まさにライブバンド・9mmの最新形がそこにはあった。

 青いライトに照らされて登場したメンバーを一転して真っ赤な光が照らし出し、アルバム同様「Hourglass」の重厚にして鋭利なサウンドが鳴り響く。滝 善充(Gt)の弾くギターソロが切ない感情を鮮やかに描き出していく。改めて、物語の幕開けにふさわしいドラマティックなオープニングだ。そして菅原卓郎(Vo/Gt)が「東京!」と叫んで「All We Need Is Summer Day」へ。かみじょうちひろ(Dr)のドラムが弾むようにビートを鳴らし、フロアからは次々と手が上がる。このド頭からの加速力、爆発力はやはりいつ観ても凄まじいものがある。

 ここでドラムとギターがスリリングなデッドヒートを繰り広げるような「Supernova」を投下してそのエネルギーをさらに増幅させると、さらに「反逆のマーチ」の破壊的お祭りビートがフロアを揺らす。菅原の煽りに応えて手拍子を打ち鳴らすオーディエンスも波のように揺れている。『TIGHTROPE』の楽曲たちが過去の曲たちに新たな光を当て、過去の曲たちは『TIGHTROPE』の生み出すムードをさらに補強していく、その美しい相互作用が、早くもライブを最高潮へと引っ張り上げていくのだ。

 「『Walk a Tightrope Tour 2022』へようこそ! むちゃくちゃいい眺めですよ、最高です!」。フロアに向けて語りかける菅原。この日は台風の影響で福岡公演が中止になったことを受けてインターネットでの生配信も行っており、「全国のみなさん!」と挨拶をしながら、福岡のファンのために、「いけるか、福岡!」と叫んでみせる。そしてちょうど15年前にリリースされたメジャー1stアルバム『Termination』の1曲目である「Psychopolis」でライブを再開、そこから「悪いクスリ」へつなげていく。まったく時期の違う曲たちがこうして当たり前の顔で並び、馴染んでいるということが、9mmというバンドが最初から確立させていた個性を証明するようだ。

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