9mm Parabellum Bullet、ライブハウスと化したBillboard Live公演 男性限定ライブ潜入レポート

9mm、男性限定ライブに潜入

 今年20周年を迎えた9mm Parabellum Bulletが、結成日である3月17日にBillboard Live TOKYOでライブを開催した。このステージに立つのは、2021年以来、約2年3カ月ぶり。前回は昼の部をアコースティック編成のAC 9mm、夜の部を通常のバンド編成で出演したが、今回は昼の部が男性限定/夜の部が女性限定というスタイルが取られていた。それぞれ趣向をこらしたセットリストが披露されたメモリアルな2公演から、昼の部のレポートをお送りする。

 Billboard Liveということで、開演前から食事を楽しんで賑わっている客席。しっかりジャケットを着込んだ姿もあり、いつもと違う環境でどんなパフォーマンスが観られるのか、期待と緊張を感じていたに違いない。ロックバンドがBillboard Liveに出演する際は、たいていビルボード仕様のアレンジが施されていたり、雰囲気を活かしたシックなムードのライブを行うことが多いのだ。

9mm Parabellum Bullet(撮影=西槇太一)

 しかし、9mm Parabellum Bulletは、そんな予想を鮮やかに裏切ってくれた。定刻に暗転すると、お馴染みのSE・Atari Teenage Riotの「Digital Hardcore」がけたたましく鳴り響き、赤い照明に染まるステージにメンバーが登場。ライブハウスとまったく同じオープニングだ。菅原卓郎(Vo/Gt)が「9mm Parabellum Bulletです。行くぜ、野郎ども!」と煽り、最新シングル「Brand New Day」で幕をあけるやいなや、遠慮なしの爆音が解き放たれた。

9mm Parabellum Bullet(撮影=西槇太一)
菅原卓郎(Vo/Gt)

 菅原の両サイドで滝 善充(Gt)と中村和彦(Ba)が、スペースの関係上いつもよりは控えめながら楽器を振り回し、かみじょうちひろ(Dr)は当然ツーバスを備えたセットで怒濤のドラミングを見せる。オーディエンスもさっそく拳を上げて応え、Billboard Liveとは思えない光景に圧倒された。間髪入れずなだれ込んだ「One More Time」「Termination」ではオーディエンスとの掛け合いコーラスも発生。突き上げられる拳の数がどんどん増え、一体感が広がっていく。

9mm Parabellum Bullet(撮影=西槇太一)
滝 善充(Gt)

 「20周年おめでとう!」と客席から声があがったインターバルでは、「すごく楽しい」と笑顔を浮かべる菅原が、「冒頭、歌ってもらう曲が続いたけど、大人の男たちの声がして(笑)。20年間ずっとそこにいたんだと思って、グッときちゃった。ありがとな!」と感謝を語った。そして、「エレガントに楽しもうと思ってるかもしれないけど、俺たちはこの調子なんで、自由にやってください。ここにいる、すべての元少年たちに捧げます」と「少年の声」へ。続く「ロンリーボーイ」も、男性限定だからこその選曲だろう。勇ましいメロディが会場を熱く包み込んだ。

9mm Parabellum Bullet(撮影=西槇太一)
中村和彦(Ba)

 「卒業シーズンにぴったりな曲」と紹介された「君は桜」で切ないムードに切り替えると、優しいミドルチューン「スタンドバイミー」を挟み、「キャンドルの灯を」では中村がアップライトベースで演奏。多彩なビートを操るかみじょうとの鉄壁のグルーヴを肌で感じられるのは、Billboard Liveの距離感と音響ならではだ。中村の指先やかみじょうのスティックさばき、曲間に即興でギターを爪弾く滝を食い入るように見つめる観客も多数目につく。菅原が「これまでのライブでいちばんエアギターがいる」と言っていたとおり、楽器経験者やコピーバンド経験者の確率は高かったはず。20年間、9mm Parabellum Bulletがどれだけバンドキッズを生み出し、彼らにとってのヒーローであり続けたか。ライブハウスと化したBillboard Liveの空気が、その絆を物語っていた。

9mm Parabellum Bullet(撮影=西槇太一)
かみじょうちひろ(Dr)

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