Base Ball Bear、トーク&ライブで新年の幕開け 特別編成、図書館戦争セット……バラエティに富んだ『ちゃん祭り』レポ

Base Ball Bear『ちゃん祭り2025』レポ

 Base Ball Bearの、2025年の初のライブ『新春ベースボールベアーちゃん祭り2025』が1月5日に行われた。初回は、コロナ禍の最中の2021年1月11日にZepp DiverCityにて、配信限定で開催。次は2024年1月7日にEX THEATER ROPPONGIで行われ、今年で3回目である。

 会場は、堀之内大介(Dr)の地元、大井町のきゅりあん(品川区立総合区民会館)が選ばれた。なお、タイトルの『ちゃん祭り』は、同じ所属事務所の先輩バンドたちが、1990年代から行ってきたイベント『SMAちゃん祭り』の伝統を受け継いだ、と思われる。

 前回と同じく、Base Ball Bearの3人のほかに、MCでグランジ・遠山大輔が出演。ステージ左半分が4人のトークスペース(緋毛氈に金屏風)、右半分がドラムやアンプ等が並んだ通常の演奏スペースになっており、それを行き来する形でイベントが進行していく。

Base Ball Bear(撮影=AZUSA TAKADA)

 小出祐介が歌とギター、関根史織がコーラスとベース、そして2人の間に仁王立ちした堀之内が、「はっ!」と声を発しつつ和太鼓を叩きまくる、という特別編成による「Endless Etude」でスタート。2024年1月公開のホラー映画『みなに幸あれ』の主題歌として、書き下ろされた曲である。その1曲が終わったところで、ステージ左へ移動、遠山が加わって1回目のトークコーナーが始まる。

Base Ball Bear(撮影=AZUSA TAKADA)

 遠山が3人に「自己紹介と今年の目標を」と振ると、小出は「健康ですね、一番は」と、まっとうなコメント。関根は「30代最後の年なので、サンキューという感じで、感謝を忘れずに。でも、30代最後なので、めっちゃ羽目はずしていきたいと思います」と、とっちらかったことを言う。

Base Ball Bear(撮影=AZUSA TAKADA)

Base Ball Bear(撮影=AZUSA TAKADA)

 今日が39歳最後のライブだという堀之内は、「大井町がさらに発展していけるように」と、生まれも育ちも結婚して家庭を持ってからも、ずっと大井町に住み続ける男ならではの目標を掲げた。成人式の時にもこの会場に来たという。「20年後にここに立つとは思わなかったんで、精一杯頑張ろうと思います」。なお、今年の新日本プロレスの1・4&1・5のテーマソング「tobu_tori_」をBase Ball Bearが担当した縁で、前日は3人とも東京ドームへ行った、という話も出た。

Base Ball Bear(撮影=AZUSA TAKADA)

 次は、3人それぞれが選曲した3曲を演奏するライブコーナーから、その選曲の理由などを語り合うトークコーナーが続くゾーン。最初は堀之内で、「風来」「ダビングデイズ」「ホワイトワイライト」が演奏された。次は小出で「image club」「changes」「初恋」の3曲。最後は関根、「school zone」「動くベロ」「ストレンジダンサー」だった。ライブで聴けるのがレアな曲だらけであり、ゆえに小出、演奏に入る前に、「今回はだいぶつらい」「自分のやつはまだいいけど他の人の選んだやつがしんどい」などと愚痴りまくる。

 堀之内は、「地元なんで」学生時代の自分から、ツアーを回ったりするバンドマンになった今の自分までを、つまり己の青春を照らし合わせた3曲にした、という。その3曲を、1人で金屏風の前で聴いた遠山、思わず涙する。「いや、早速良すぎたよ。成人式の話も聞いた上だったから……」。

Base Ball Bear(撮影=AZUSA TAKADA)

 ちなみに「ホワイトワイライト」は、高校生の堀之内がタイトルを付けた曲だそう。堀之内は「歌詞も書いて持って行ったんですけど、人生を坂にしか喩えられなくて」、小出は「人生っていうか、すべての比喩が坂しかなかった。恋愛も勉強も全部坂」ということで、小出が書き直した、というエピソードも明かされた。

 小出の3曲は“『図書館戦争』セット”。「changes」と「初恋」は、TVアニメ/アニメ映画『図書館戦争』のエンディングテーマ/主題歌。そのアニメ『図書館戦争』の時、最初に「図書館戦争のテーマ」という仮タイトルの、インストゥルメンタルの曲を作って提出したが、ポップな方がいいのでは、という話になり、新たに作った「changes」が採用された。残ったそのインスト曲に、あとから歌をのっけたのが「image club」なのだという。

Base Ball Bear(撮影=AZUSA TAKADA)

 小出、「だから今回は『図書館戦争のテーマ』として、インストでやりたい」。初めての『日比谷ノンフィクション』(2009年6月27日、日比谷野外大音楽堂)の時、1曲目に演奏したら“お客さん全員ポカーン”状態の大事故になって以来、「image club」はライブで演奏していない。でも元のインストのバージョンの方を、ライブでやってみたいという夢があった──と説明する小出に、オーディエンスは拍手で応え、最初に演奏された「図書館戦争のテーマ」に、じっと耳を傾けた。

Base Ball Bear(撮影=AZUSA TAKADA)

 関根が当初選びたかったのは、「ギターのチューニングを半音下げでレコーディングした3曲」。半音下げなので、ライブでやりたくてもセットリストに入れづらい曲が、思い当たるだけで3曲ある、だからここでまとめてやってやろう──と、提案したら、小出に「だるい」と却下され、そのうちの1曲だけが許された、とのこと。それが「school zone」で、「動くベロ」は「巳年だから」、「ストレンジダンサー」は「これは別に特に意味はありません」。一同コケる。

 というトークを経て、最初に演奏された「school zone」の、メロディと小出&関根のハモリの美しさは、確かに関根がライブでやりたかったというのが頷ける輝きを放っていた。そして「ストレンジダンサー」は、3人だけで演奏したのは、初めてだそうである(以前はサポート/ギターの弓木英梨乃がいた)。ならば「別に特に意味はない」ことはないのでは、という気がしないでもない。

Base Ball Bear(撮影=AZUSA TAKADA)

 この3曲を終えて小出、「3曲ずつってもっとやりやすいって思ってたんだけど。緩急がすごすぎて、サウナ入ってるみたい。あったかいとこに入って、冷たいとこに入って、みたいなことが起きてるから」とコメントした。

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