三四少女、万感の想いでやり切った初ツアー東京公演 Haze、アンと私と共に繰り広げた熱狂のステージ
大阪出身の4ピースバンド・三四少女(サンスーガール)。彼女たちの1stアルバム『恋してる・コンティニュー』リリースを記念したツアー 『▷はじめから』東京公演が、12月19日、下北沢SHELTERにて開催された。本ツアーは、東名阪の3カ所で開催。それぞれ2組ずつのゲストが迎えられており、初日の愛知・CLUB ROCK'N'ROLL公演にはmuk(ザ・シスターズハイはメンバーがインフルエンザにかかったためキャンセル。彼らに代わりmukが急遽出演)とパキルカ、ファイナルの大阪・LIVE SQUARE 2nd LINE公演には猫背のネイビーセゾンと超☆社会的サンダル、本稿でレポートする2日目の東京・下北沢SHELTER公演にはHazeとアンと私が、それぞれ出演した。今、三四少女が共演したいと思う面々を招いた愛のあるツアーだったのだろう。三四少女の川田羽撫子(Vo/Gt)は、東京公演のMCで共演のHazeとアンと私について、「自分のサブスクの視聴回数のチャートにも入っているくらいファンなんです」と語っていた。
東京公演は、3組のバンドによる熱い対バンだった。トップバッターのHazeは、鋭く、観る者を突き刺すようなパフォーマンスを披露。吐き捨てる唾を歌にまで昇華してしまうようなKATY(Vo/Gt)のカリスマティックな存在感と、彼女の美しき揺らぎを膨張させて解き放つバンドサウンドのたくましさとポップセンス。そこにヒリヒリとした緊張感と繊細なバランス感を感じた。続いて登場したアンと私は、ステージ上で蠢く獣のような獰猛さと生々しさで観客たちを飲み込んでいくような激しいパフォーマンスを見せた。鋭利なギターロックもあればグルーヴィなファンクロックもあり、漆黒の中にも鮮やかな色彩を感じさせる音楽性はもちろん、人間味があふれまくる二口(Vo/Gt)のキャラクターにも人を惹きつける魅力を感じさせた。
2組の怒涛の演奏を受け継ぎ、ステージに登場したトリの三四少女。アルバム『恋してる・コンティニュー』の1曲目でもあるインストゥルメンタル曲「▷つづきから」をSEにして、あんどりゅー(Dr)、さっちゅー(Ba)、サポートギターのササキソラ(Gt)、そして川田が、華やかで独創的な衣装に身を包み、ひとりずつポージングをしながらステージに登場する。三四少女には本来、多くの楽曲で作詞作曲も担当するギタリストのたみ(Gt/Vo)がいるのだが、彼は現在、局所性ジストニアの治療に専念するために活動休止中。今回のツアーも残念ながら不参加となった。この日、MCで川田は、本当ならたみも含めたメンバーの4人で今回のツアーを回りたかったこと、しかし今、三四少女の活動を止めるべきではないというたみの意志もあり、サポートメンバーを迎えたツアーに踏み切ったことを語っていた。
演奏は「たのしいさんすう」からスタート。ミュージックビデオなどで三四少女の音楽に触れると、その楽曲のポップさや4人のヴィジュアルの華やかさに目が行くが、生で聴くと、その演奏のずっしりとしたヘヴィネスに驚く。屈強な演奏だ。あんどりゅーのドラムには精密さとダイナミックさが混ざり合う大きなスケール感があるし、さっちゅーのベースにも重厚な存在感がある。そして、川田は長い前髪の奥からしっかりと観客たちを見つめて歌を届けているようだ。続く「大丈夫」では観客たちからのハンドクラップも巻き起こり、早くも空間に一体感が生まれる。この会場に集まった人々の心と体に、三四少女の音楽は浸透しているのだ。この浸透は、この先より規模を大きくしていくのだろう。3曲目の「trouble!!」では川田とサポートのササキでツインボーカルを見せる。ふたりのボーカリストによる彩りも三四少女の醍醐味のひとつ。たみの代役として歌うササキは見事にその役割をまっとうしていて、サポートと言えど、強い信頼関係と愛情の中で今回のツアーに臨んでいることが窺えた。