キタニタツヤ、ゆず、Hey! Say! JUMP、ヨルシカ、Eve、ME:I……注目新譜6作をレビュー
ヨルシカ「太陽」
クラシカルなピアノの音色、一瞬、息を吸い込む音の後で聴こえてくる〈美しい蝶の羽を見た/名前も知らずに〉というフレーズによって、一気に曲の世界に誘い込まれる。映画『正体』の主題歌として制作された「太陽」は、太陽をモチーフに据え、蝶の羽と陽の光を重ねた楽曲。キラッとした光を感じさせるギターサウンド、壮大なスケール感を担うストリングスなどが有機的に混ざり合い、まるで讃美歌のような荘厳な世界へと到達している。曲の軸になっているのは、やはりsuisのボーカル。決して大袈裟にならず、まるで目の前の人に語り掛けるように綴られる〈ゆっくりゆっくりと彼方へ〉というラインは、この曲の普遍的なパワーと直結していると思う。(森)
Eve「lazy cat」
前作『廻人』以来、約2年8カ月ぶりとなるフルアルバム『Under Blue』の1曲目に収められた「lazy cat」。緻密な構築美と奔放な響きを同時に感じさせるビート、ディープで厚みのあるグルーヴを生み出すベースライン、気だるさや鋭さを交えたボーカリゼーションが一つになり(猫の声も聴こえてくる)、“怠惰な猫”というタイトルに象徴される世界観を映し出している。〈どうしようもない 変わんないさ/だけどもう少しなるようにはなるさ〉というリリックも印象的。憂いに満ちた今の世界を感じさせつつ、微かな希望の光を描き出すこの曲は、アルバム全体のムードと2024年という時代の在り方を象徴しているようだ。(森)
ME:I Featuring Te Vaka「ビヨンド 〜越えてゆこう〜(日本版エンドソング)」
映画『モアナと伝説の海2』の日本版エンドソング。原曲は主人公モアナ役を務める歌手、女優のアウリイ・クラヴァーリョの歌唱。ハワイ出身の彼女が大海原をイメージしてたっぷり歌い上げるバラードなので、それを日本語に訳し、ME:Iメンバーの歌声で分割していくと、楽曲のイメージがぼやけていくことは否めない。これを解消するのはフィーチャリングで登場するニュージーランド出身のグループ、Te Vaka。南太平洋で受け継がれてきた伝統的なコーラスやリズムを楽曲のバックに配置することで、スタンダードなJ-POPとは違う、いわゆる欧米の王道バラードともニュアンスが異なる、『モアナ』らしい世界観がキープされている。(石井)
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