キタニタツヤ、ゆず、Hey! Say! JUMP、ヨルシカ、Eve、ME:I……注目新譜6作をレビュー

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はキタニタツヤ「ウィスパー」、ゆず「Chururi (feat. 松たか子)」、Hey! Say! JUMP「Donkey Gongs」、ヨルシカ「太陽」、Eve「lazy cat」、ME:I Featuring Te Vaka「ビヨンド 〜越えてゆこう〜(日本版エンドソング)」の6作品をピックアップした。(編集部)

キタニタツヤ「ウィスパー」

 ソニーとソニーミュージックによる新プロジェクト「PLAY the MUSIC」への書き下ろし楽曲。このプロジェクトは「もっと、音楽で遊ぼう。」というテーマを掲げ、不特定多数を巻き込んでいったものなので、キタニの心もかつてないほどオープンに開かれていたのでは。爽やかなメジャーコード進行、言葉を極力詰め込まない聴き取りやすい歌、さらに全員参加型のコーラス。まさに“みんなの歌”の理想型と呼べる一曲だ。彼の歌詞は「大多数に溶け込めない自分」を主役にしたものが多いけれど、今回は「そんなふうに感じている僕たちを確かに繋ぐもの=音楽」という希望が先にある。〈誰にも聞こえない叫び〉〈透き通る翼〉〈秘密の逃げ場所〉など、選ぶワードが秀逸。(石井)

キタニタツヤ「ウィスパー」 - 『JUST ONE PLAY』プロジェクトムービー supported by LinkBuds Fit【ソニー公式】

ゆず「Chururi (feat. 松たか子)」

ゆず「Chururi (feat. 松たか子)」

 松たか子が出演する日産サクラのCMソングとしてゆずが書き下ろした「Chururi (feat. 松たか子)」は、「ちゅるるちゅっちゅーるっちゅ」という親しみやすいコーラスから始まるミディアムチューン。ノスタルジックな雰囲気のメロディに乗せて描かれるのは、日々の生活を営む街の風景、そして、そのなかで経験した出会いや別れ。サビのパートで少しテンポが上がり、新たな日常へと踏み出す前向きな意志を鮮やかに表現している。ゆず、松の世代(1976〜77年生まれ)を含め、大人のリスナーの感情を切なく揺さぶり、ナチュラルな元気を与えてくれる質の高いポップソングだ。生楽器の響きを活かした、風通しのいいサウンドメイクも魅力的。(森)

Hey! Say! JUMP「Donkey Gongs」

Hey! Say! JUMP「Donkey Gongs」

 最新アルバム『H⁺』からのリードトラック。作曲はスウェーデンの音楽クリエイターチームによるもので、重低音の動きがかなり刺激的。山田涼介が中心になってプロデュースを進めていったグループの新境地とも言える。メロディのないパートも多いため、一聴したところは初のヒップホップ路線だが、ボースティングを筆頭とする攻撃性が削ぎ落とされているのは着目したいポイント。言葉の意味よりも破裂音の勢いや8人による連帯感が重要で、個々が〈Di di di da da da〉〈Boom!!〉などのフレーズをパスし合いながら、濁音を連呼するサビのユニゾンになだれ込んでいくのだ。初コラボとなる振付師 KAITAによるダンスと、MV後半の美しい揃い方にも注目。(石井)

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