連載『lit!』第127回:ONE OK ROCK、King Gnu、クリープハイプ……2024年“最高”を更新したバンド新譜5選
go!go!vanillas『Lab.』
今年メジャーデビュー10周年を迎え、昨年12月のレーベル移籍発表後、第1弾となったアルバム。個人的に、今年は彼らのライブを観る機会に多く恵まれたのだが、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2024』のステージで怒涛のメドレーを披露したり、今作のリリースを記念して両国国技館でフリーライブを行ったりと、今まで以上に自由で無邪気に音楽を楽しんでいる印象を受けた。そして、そのモードはアルバムにも表れているように思う。
実験室を意味する“Laboratory”と愛=“Love”を掛けたタイトルの通り、実験的な試みと音楽への愛が本作には詰まっている。目まぐるしくシーンが切り替わっていくようなインストナンバー「Lab.」、コーラスワークの美しさも際立つミドルバラード「Leyline」、『Qrosの女 スクープという名の狂気』(テレビ東京系)のオープニングテーマで不穏な空気を漂わせる「Persona」、カントリーやロックンロールといった彼らの音楽性が凝縮した「Moonshine」など、収録曲はバラエティ豊か。バンドのこれからがますます楽しみになる一作だ。
Omoinotake「ラストノート」
〈「ありのまま生きる」 たったそれだけが/できない僕らは 泣きたいのに 笑う〉という冒頭のフレーズから惹きつけられる本作は、『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』(日本テレビ系)のために書き下ろされた新曲で、今年ロングヒットを記録中の「幾億光年」以来のドラマ主題歌となる。タイトルの「ラストノート」は香水をつけてしばらくしてから最後まで漂う香りのことで、ベースノートとも呼ばれる、香りの印象を左右する重要な部分。一聴した際に、シリアスなストリングスの響きが、まるで深い海の底に潜っているようだと感じた。サビ前に登場する細かく上下するメロディや藤井怜央(Vo/Key)のファルセットは、そのなかでもがいて這い上がろうとする悲痛な叫びに聴こえ、本心を欺きながら生きていく葛藤が鮮やかに表現されているように思う。年明けには同曲や「幾億光年」も収録されたメジャー2ndアルバム『Pieces』のリリースが控えており、彼らの音楽が来年以降もさらに広がっていくことに期待している。
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