連載『lit!』第126回:ILLIT、Billlie、SEVENTEEN……秋の夜長にピッタリなリラックスできるK-POP
全身が茹で上がってしまいそうな酷暑の日々から一転、今週は最高気温が20度を下回る日が増え、いよいよ秋が深まってきたことを感じる。秋の夜長はあたたかい飲み物を片手に、音楽を聴きながらリラックスするのも良いかもしれない。
そこで今回、「秋の夜長に聴きたい洗練されたサウンドのK-POP」をテーマに、10月以降リリースされた新曲を5曲紹介したい。
ILLIT「Cherish (My Love)」
サバイバル番組『R U Next?』(JTBC/ABEMA)を経て結成され、今年3月に1stミニアルバム『SUPER REAL ME』で鮮烈なデビューを果たしたILLIT。彼女たちが10月28日、2ndミニアルバム『I'LL LIKE YOU』でカムバックを果たした。
ILLITといえば、デビュー曲「Magnetic」がリリース直後から大ヒットを飛ばしたのは記憶に新しい。同楽曲は今もなお、多くのファンに聴き込まれているようである。筆者が11月6日に確認したところ、「Magnetic」はアメリカ・Billboardの音楽チャート『Global 200』で依然として170位にランクイン。その人気は冷めやらぬままである。
そんな彼女たちが今回世に放った「Cherish (My Love)」。これがまた、リスナーを“ILLIT沼”へと深く誘う、圧倒的な引力を持った一曲に仕上がっている。「あなたの気持ちが気になるけれど、それよりもあなたが好きな私の感情がもっと大切だ」というメッセージが込められたこの楽曲は、レトロな洋楽ポップスのようなサウンドが印象的。そこに乗るMINJU(ミンジュ)やYUNAH(ユナ)を筆頭とした5人の歌声は、前作からの大きな進化が感じられ、だんだんと“ILLITらしさ”の輪郭が明確になってきたように思う。“ゆめかわいい”雰囲気漂うキャッチーな振付ながら、細部まで意識の行き届いた難易度の高いダンスパフォーマンスは必見。ILLITの今後の活動に大きな影響を与える作品が誕生したと言えるのではないだろうか。
Billlie「remembrance candy」
独自の世界観を描いた、音楽性の高い楽曲で多くのファンを魅了してきた7人組ガールズグループのBilllie。昨年4月よりメンバーのムン・スアが、同年6月よりスヒョンが健康上の理由で活動を休止していたが、5thミニアルバム『appendix: Of All We Have Lost』を携え、10月16日に完全体で表舞台へと舞い戻ってきた。
ダブルタイトル曲の一つ、「remembrance candy」は韓国の歌姫 IUが作詞に参加した楽曲。イントロのメロディアスなピアノに興味をそそられると、曲中ではジャズとR&Bの要素がふんだんに散りばめられたサウンドが展開され、何度聴いても飽きの来ない一曲に仕上がっている。Billlieは、日頃あまりK-POPやアイドルグループの音楽を聴かない人でも、作り込まれた楽曲そのものを十分に楽しめるグループの一つ。この曲を入口に、まずは今作ミニアルバムを通して聴いてみてはいかがだろうか。
ちなみに、今作は発売直後から、世界の音楽ファンの支持を獲得している。アメリカ、イギリス、日本、ドイツなど世界9つの国と地域のiTunes「K-POPアルバムチャート」でトップ10入りを果たしたほか、日本やカナダ、シンガポールなどでは、iTunes「Jazzアルバムチャート」で1位にランクイン。ジャンルの垣根を超え、愛される作品となっているようである。