NOAがすべてを投じて生み出す音楽と空間 『Primary Colors』ツアー最終公演で予感させた5周年への道

NOA、全国ツアー千秋楽レポ

 ライブも終盤を迎え、カジュアルな衣装にチェンジして歌われたのは「Fell in love in NYC」。東京とニューヨークの遠く離れた距離感を描いたドラマチックな映像をバックに披露された。熱気にあふれた「Always and Forever」では、表情を確かめるように客席を見つめていたNOAの姿が印象深い。さらにミラーボールの細かい光が観客を照らした「Last Letter」へと続き、ジャンプとシンガロングで会場はますますひとつになっていく。

 本編最後の曲は「Red Light」。このパートのみ撮影が許可されたが、客席のファンは撮影しながらも全力でタオルを回しペンライトを振り、ステージのNOAとこの時間を惜しむように情熱をぶつけ合っていたのが印象的だった。

 しばらく続いた“NOAコール”に後押しされるように、ライブTシャツに身を包んだNOAが再び登場。アンコール1曲目は「HIGH WAY」だ。ハンドクラップで客席がひとつになり、曲の途中で再び客席に降りてファンとハイタッチを交わしていく。アッパーなチューンも相まって、会場は最高にポジティブで幸せな空気感に包まれていった。

 今回のツアーではルーレットで日替わり楽曲が披露されたが、ファイナル公演に残された候補は残り4曲。客席からの「全部!」の声が鳴りやまないなか、ルーレットが指し示したのは「Bad At Love」だ。ポップな映像とチャーミングな表情がスクリーンに映し出され、リラックスした空気が流れる。さらにダンサーたちが再び登場。候補に残っていた「To Be Honest」も披露された。

 ここで最後の曲を前に、スタッフ、家族、ダンサー、そしてファンへの感謝を告げる。「客席降りをさせていただく時にはみんなの笑顔をより近くで見ることができたりして、今回のツアーはとにかくみんなの笑顔が記憶に残っていて、僕にとっては今までにない思い出になりました」と晴れやかな表情で語り、「これからも人間としてもより強くならないといけないし、なんといっても来年は5周年。5周年らしいすごい一年になると思うので、皆さんにはぜひ楽しみにしていただきたいです。グレードアップして皆さんのもとに戻ってきたいと思います」と次への意欲を表明。大きな拍手が巻き起こった。

 「すべての想いを込めて歌わせていただきます」と告げて始まったのは「00:02(You & I)」。リリックビデオをバックに歌い上げられたが、〈1秒1秒大切にしたいから Together forever you and I〉の歌詞の通り、ライブを作り上げるすべての人たちとの時間を噛みしめるようなボーカルが胸を打つ。最後はNOAがバックスクリーンの向こう側に消え、ライブツアーの幕が下りた。

 作曲、作詞、振り付けとマルチな才能を持ったアーティストらしく、自身の作品を最大限魅力的に魅せるパフォーマンスに終始したステージだった。ソリッドでストイック、品性を感じさせる姿勢、余計なものを削ぎ落とした純度の高い身体表現、充実した内容のセットリストでコンパクトにまとまりながらも密度の濃い時間を作り上げていた。来年には5周年を迎えるNOA。これからも作品とパフォーマンスを通してさまざまな景色と物語を見せてくれるだろう――そう確信させられたライブだった。

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