EOW、草野華余子参加の最新EP『T.G.I.F!』に込めた“怒り”と“解放” 「世を憂えてる曲が多すぎる」
草野華余子から学んだこと
ーー草野さんとの制作を経験したことで、バンドとしてはどんな学びがありました?
Tomoaki:僕らはある種の音楽オタクみたいなところがあるんで、メロディとかも理詰めで作っちゃうところがあったんですよ。それを華余子さんはけっこうフィーリングで返してくるんで、「あ、そんなに難しく考える必要なかったんだ」と気づかされました。
Yutaro:それまで僕らは「これこれこういう意図でここはこの音程なんです」という作り方だったんですけど、華余子さんは「理屈はさておき、この音のほうが気持ちよくない?」みたいな感じで。実際、その1音が変わるだけで全然印象が違うんですよ。
Tomoaki:たぶん僕らには「手が込んでないとカッコよくない」みたいな思い込みがちょっとあったんで。
mamushi:そういうのいらねえんだなと。それこそ解放された。
Laco:華余子さんの言葉ですごく残ってるのが、「自分で感動できるメロ以外は全部捨てる」っていうもので。一見よくできたメロディだとしても、心が震えなかったら採用しないって言うんですよね。それは本当に大事なことだなと思って、すごい学びになりました。
Yutaro:そのあとに作り始めた「balloon」ぐらいから、トップラインへの意識が明確に変わったよね。
Laco:うん。とくに「balloon」は、EOW史上最も攻めたJ-POPが作れたなと思っている1曲ですね。
ーー皆さんにとって、かなり得るものの多い制作だったということですね。
Yutaro:そうですね。どんどん自由になっていってる感じがします。
Laco:本当にどんどん解放されていって、なんだったら本来の自分たちに戻っていっている感覚もありますね。
Tomoaki:この『T.G.I.F!』の制作期間に僕とLacoさんはニューヨークへ3週間ほど行かせてもらったんですけど、そのときの経験もすごく大きかったなと思ってます。
Laco:今年の頭に、たまたまスケジュールがぽっかり空いてたんですよ。で、ボスに「なんでもいいから今一番やりたいこと言ってみ」と言われて、ずっとゴスペルをやってきたのに本場のゴスペルを観たことがないっていうのがけっこうコンプレックスだったというのもあって、「ニューヨーク行きたいです」と言ったら「じゃあTomoaki連れて行ってこい」って本当に行かせてくれて。
Tomoaki:僕もアメリカには行ったことなかったんで、いい経験になりそうだなと思って。実際に行ってみたらすごく自由な街で、いろんな価値観を覆されました。
Laco:アポロシアターのオーディションにも参加できたんですけど、そこでいろんな固定観念がぶっ壊れたというか。スキルや年齢に関係なく、みんな当たり前みたいに受けに来てるんですよ。その人たちを見て、「心の底から歌が好き」という思いがあればそれだけでいいんだよなって。技術や年齢は関係ないと頭ではわかってるつもりだったけど、それを体現している人たちの姿にはけっこう目を覚まされましたね。
Yutaro:俺も行きたかったなあ(笑)。まあ、そういういろいろなことがあって、音楽に対して構えることが少なくなったとは思いますね。すごく気が楽になりました。
Tomoaki:結局、自然に出てくるものが一番いいっていうか。僕がEOWの中でとくに好きな曲って、Lacoさんがメロも歌詞も原型を作ってきたものばかりだっていうことに最近気づいたんですよ。それはやっぱり、Lacoさんが個人的に歌いたいこととか強い思いとかがストレートに出ているからなんじゃないかと思ってて。華余子さんに言われて学んだと思っていたことを、実はすでに感覚としては知ってたんだと気づいて感動しました。
爆発的に売れると決めた
ーー今後、バンドとしてはどんなスタンスで動いていきたい感じなんでしょうか。
Laco:やっぱ売れたいっすね。
一同:(笑)。
Laco:しかも、欲を言うなら爆発的に売れたい。最近決めたんですよ、「爆発的に売れる」って。結果売れなかったとしても、まず決めることが大事だなと思って。爆発的に売れることで1人でも多くの「生きててよかった」を引き出したいし、腐った絶望をひっくり返したいんで。私は小さい頃からプリンセスよりもヒーローになりたかったタイプで、なんかもう希望を持たずに生きるのが当たり前みたいになってる今の若者たちの世界をひっくり返してあげたいんですよね。「人生なめんなよ!」って。
ーーLacoさんの場合、“世を憂えている”を通り越してもはや怒ってますよね。
Laco:怒ってますね。っていうか、憂えてる曲が多すぎるんですよ。「ロクでもない恋愛の曲ばっか書くな! 売れるからって、しょうもない!」と思ってます。
Yutaro:それはホンマにそう!
Laco:その怒りが創作の源にもなってますね。
ーーLacoさん以外の皆さんも同じように怒ってるんですか?
Tomoaki:僕は全然怒ってないです(笑)。怒ってないけど、僕の一番の目標が「自分の作った曲を地元の横浜アリーナでプレイすること」なので、Lacoさんの怒りに乗っかっていけばそれも叶うんじゃないかなと。
Yutaro:ブチギレるにも自由が必要なんですよね。今の時代、過度に炎上を恐れて「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」状態になってるじゃないですか。今後バンドを自由にやっていくためにも、自分が我慢していないかどうかをちゃんと見極める必要があると思ってます。
Tomoaki:自分が我慢していることに気づいていない人もめちゃくちゃ多いから。
Yutaro:そうそう。それをちゃんと自覚して、「みんなが我慢してるんだから自分も我慢しよう」みたいなのをやめていこうよっていう。
Otake:「無理なものは無理なんだから」って最初から望みもしない人も少なくないので、その思い込みを取っ払うための一端を僕らの曲が担えたらいいなと思っています。
mamushi:……もしかして、このバンドの目標って啓蒙だった?
Yutaro:啓蒙です。
Laco:目覚めよ、日本人!
一同:(笑)。
Tomoaki:一番強いやつ出たなー。
Otake:強いなー。
mamushi:僕の目標は、Lacoちゃんが“教祖さま”にならないよう見張ることですね(笑)。
Laco:よろしくお願いします(笑)。でも一緒にブチギレたい人はきっとたくさんいると思うので、そういう方だったり「生きててよかった」と思いたい方はぜひ私たちのライブに来てもらいたいです。11月30日からバンド史上最大規模のワンマンライブツアーがありますので、この記事を読んでEOWにちょっとでも興味を持ってくれたそこのあなた! ぜひお待ちしております!
■リリース情報
2024年11月13日(水)配信
3rd EP『T.G.I.F!』
各種配信サービス:https://orcd.co/eow-tgif
■ライブ情報
EOWTIONAL TOUR 2024 『Boooooster!!!』
・11月30日(土)enn3rd[宮城]
・12月1日(日)ell.SIZE[愛知]
・12月6日(金)CONPASS[大阪]
・12月7日(土)toonice[香川]
・12月8日(日)QUEBLICK[福岡]
・12月13日(金)WWW X[東京]
詳細はこちら:https://weeklub.com/news/RFbep7t6iezJJ2hWUFHG7W
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