ハンブレッダーズは“ロックバンド”として青春を歌い続ける 結成15周年で初の日本武道館ワンマン

ハンブレッダーズ、初武道館ワンマンレポ
ハンブレッダーズ ライブ写真(撮影=渡邉一生)
(撮影=渡邉一生)

 彼らはプレイヤーであると同時に、生活者、いち音楽ファンとしての心をずっと忘れずに持っている。MCでは、でらしが「まとまってなくて、長くなるけど」と前置きしながら、「武道館につれてきてくれてありがとうございます。本当にみなさんのおかげです」と観客に感謝を伝えていたのが印象的だった。定型句の使い回しではなく、本当に思っているからそう言っているのだと分かる真摯な語り。さらに、普段MCをしないukicasterも、観客と同じように九段下駅から歩いて会場入りしたこと、監視カメラで来場者の様子を見て「放課後みたいだな」と思ったこと、「みんなすごい気持ちを抱えて来てくれているんだな」と実感したことなどを語り始めた。「(城ホールの)木島くらい長い(笑)」とメンバーにツッコまれたり、「いいこと言いたいわけじゃないんよ(笑)」と自ら軌道修正したりするも、感情が抑えきれていない。このバンドの持つ純粋性が表出したシーンの一つだった。

ハンブレッダーズ ムツムロ アキラ ライブ写真(撮影=渡邉一生)
(撮影=渡邉一生)
ハンブレッダーズ ライブ写真(撮影=渡邉一生)
(撮影=渡邉一生)
ハンブレッダーズ ukicaster ライブ写真(撮影=渡邉一生)
(撮影=渡邉一生)

 ライブの終盤では、ムツムロが「今日来てるロックリスナーに聞きたい。来てくれている先輩とか友達のミュージシャンにも聞きたい。ロックバンドって何なんでしょうか?」と投げかけた。ギターがいてベースがいてドラムがいるという体制の話ではない。奇抜な見た目、物言いをしているかという話でもない。「声を出せない人の声を代弁するのがロックバンド」だとムツムロは語る。「改めて、もう一度言います。スクールカーストの最底辺から青春を歌いに来ました」というムツムロの名乗りを経て、鳴らされた「グー」のサウンドは非常に頼もしく、“ハンブレッダーズここにあり”といった佇まい。漫画だったら確実に「ドーン」という効果音の付くシーンだ。彼らは日本武道館に対して、「教科書で見た、ビートルズがライブをやった場所」という印象を持っていたという。また、「日の目を浴びていなくても、素晴らしいミュージシャンはいっぱいいる」と実感しているからこそ、大舞台に立てる有り難さを噛み締め、仲間の分も背負いながらステージに立っている。ここに立つからには「自分たちがどこからやってきたのか」「何者で、何ゆえにロックバンドであるのか」を真っ向から歌い鳴らそうと腹を決めてきたのだろう。城ホール然り、今回の武道館然り、15周年記念ライブが素晴らしかった理由はそういうところにあったように思う。

ハンブレッダーズ ライブ写真(撮影=渡邉一生)
(撮影=渡邉一生)

 そんな名場面もありつつも、メンバーがカメラスタッフを振り回すレベルで走り回っていた「フェイバリットソング」のわちゃわちゃ感、木島が銅鑼を鳴らす本編ラストシーンからは、泣きの演出で終わらせない関西スピリッツを感じたし、「最後、全部台無しにして帰りましょう!」とアンコールで「チェリーボーイ・シンドローム」を爆音で鳴らして帰っていったのもよかった。とはいえ、今の4人によるMVセルフオマージュ演出はさすがに感動的で、泣き笑いのテンションが生まれていく。「ここが人生の最高到達点ではない」(木島)、「(武道館に立つのは)絶対に1回じゃない」(でらし)、「もっと素晴らしい景色が待っていると思うので、これからも、頑張るぞ!」(ukicaster)とそれぞれの言葉で語られたように、ハンブレッダーズの歩みはこれからも続いていく。彼らは20年後、30年後もきっと「楽しい」と笑いながらバンドをやっているはずだ。

ハンブレッダーズ ライブ写真(撮影=タマイシンゴ)
(撮影=タマイシンゴ)
ハンブレッダーズ ライブ写真(撮影=タマイシンゴ)
(撮影=タマイシンゴ)
ハンブレッダーズ ライブ写真(撮影=渡邉一生)
(撮影=渡邉一生)

 なお、3月に行った大阪城ホール公演とこの日の日本武道館公演をパッケージした映像作品のリリースが予定されていることもアンコールのMCで発表された。発売日などは後日発表される予定なので、続報を楽しみにしていてほしい。

■セットリスト
01. DAY DREAM BEAT
02. ギター
03. ワールドイズマイン
04. 再生
05. いいね
06. 常識の範疇
07. 席替え
08. 十七歳
09. 見開きページ
10. 名前
11. AI LOVE YOU
12. DANCING IN THE ROOM
13. サレンダー
14. フィードバックを鳴らして
15. 弱者の為の騒音を
16. 東京
17. CRYING BABY
18. ⚡️
19. 光
20. はじめから自由だった
21. グー
22. フェイバリットソング

<ENCORE>
01. BGMになるなよ
02. ライブハウスで会おうぜ
03. チェリーボーイ・シンドローム

■関連リンク
ハンブレッダーズオフィシャルサイト:http://humbreaders.com/
ハンブレッダーズ | TOY'S FACTORY:https://www.toysfactory.co.jp/artist/humbreaders/

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