NMB48、雨の日比谷野音で見せた確かな自信 15年の歴史を胸に新たなステージへ

野音で見せた“これがNMB48”という自信

 NMB48が、『This Is NMB48 2024』を9月21日に日比谷野外大音楽堂にて開催した。大阪・難波を拠点としたNMB48が東京で行う単独コンサートとして、そのタイトルが示す通りに「これがNMB48」であり「今のNMB48」だということをはっきりと表した公演だったように思う。

『This Is NMB48 2024』ライブ写真 © NMB48

 まず、ポイントとして『This Is NMB48』が2年ぶりの野音での開催ということ。12周年記念ライブの一環として行われていた2022年は、コロナ禍の影響でまだ発声が制限されていた頃だった。現在はすでにアイドルシーンにおいてはコールが当たり前のものとして戻ってきているが、メンバーは改めてこの野音という場所でファンからの声援のありがたみを噛み締めていた。人一倍その思いが強かったのは、川上千尋だろう。2年前の開催時は、川上がセンターを務めた27thシングル『好きだ虫』のリリース期間であり、アンコールで披露された「好きだ虫」はファンとの一体感はもちろん、川上の笑顔が一段と弾けていたように感じる。

 初の試みとして用意された前方のスプラッシュSS指定席が食らう放水(といってもミストや水鉄砲だが)は、野音という野外の会場ならではの演出。皮肉にも途中からポツポツと雨が降り始めたことで、全席が濡れることになるのだが、それでもそんな雨を忘れさせるほどの楽しく、熱い2時間半、全27曲であった。

 冒頭の6曲は終わりゆく夏を感じさせるブロックであり、同時に今のNMB48を分かりやすく可視化していた。それは「ドリアン少年」の小嶋花梨、「虹の作り方」の塩月希依音、「ナギイチ」の坂田心咲、「イビサガール」の芳賀礼、「ワロタピーポー」は上西怜、「渚サイコー!」は再び小嶋といったエースがそれぞれ楽曲センターに立っていたことにある。ほとんどがセンター経験者の中で、一人だけ芳賀が混じっているのは、彼女がこれからのNMB48を引っ張っていくメンバーであることを感じさせる。

 コンサート全体としては、「世はまさに海賊時代」(CV:川上)といったナレーションのもと、NMB海賊団がまだ誰も見たことのないユートピアを目指すといったストーリー性の強い公演となっている。「NEW SHIP」「海を渡れ!」「山へ行こう」「星空のキャラバン」「スワンボート」「伝説の魚」といったように、披露した楽曲を列挙していっただけでなんとなくその物語が見えてきそうだが、合間合間に挟まれるコント調の芝居は最後には笑いに変えてしまう機転の良さも含め、NMB48としてのカラーが滲み出ていたように思う。物語のラストは会場のファンが掲げたタオルがユートピアに向かう地図という結末へと着地し、エンディングとして「僕らのユリイカ」を披露するというものだが、途中で雷と荒波を乗り越えた先に海賊団が思いを一つにするような演出での「欲望者」がパフォーマンスとして素晴らしかった。センターの小嶋率いる出演者30名でのダンスに振り切った「欲望者」は圧巻で、NMB48のパフォーマンス力の高さを改めて痛感した楽曲だった。

 ユートピアというところでは、NMB48にとって約10年半ぶりの新公演『天使のユートピア』公演が前提にあることは言うまでもない。山本望叶と新澤菜央によるメランコリックでエロティックなユニット曲「チュッてギュッてグッと♡」、ツービートのサウンドが疾走感を生む川上「全部抱きしめろ!」は『天使のユートピア』からの選曲だ。

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