G-FREAK FACTORY、迷える時代に変化したマインド “人”が輝くためにロックバンドができること
「群馬でやってきたことを〈正解に変える旅〉」
――ちなみに「EVEN」は今の茂木さんにとってどんな曲ですか。
茂木:当時すごい曲ができたなと思って。バンド名よりも「EVEN」という曲名の方が有名だったと思うし、それを超えたいなと思っていろいろチャレンジして、塗り替えられた時にそっと「EVEN」を下げたいんだよね。今でいうところの「ダディ・ダーリン」かな。実は「ダディ・ダーリン」をなくしてライブを完結させたいって、みんな思ってて。チャレンジするんだけどやっぱり超えられない。そういうバンドの軸となるアンセムとして、「この曲の結末を見てみたい」と思える曲が「EVEN」とか「ダディ・ダーリン」なんじゃないかなって思う。実際「EVEN」は含みを持たせて答えを出していない曲でもあるから。
――含みのある歌詞だからこそ、歌い続けることで新しい解釈が生まれる余白がありますよね。
茂木:確かに。削ぎ落として、あの言葉数でまとめられたのは奇跡だなと思う。ビートロックバンドの先輩に言われたのが、「茂木は言葉を並べられることはもうわかってる。そうじゃなくて、どれだけ言葉を減らせるかをやってみろ」ということで。今回もチャレンジしたけど結局できなかった(笑)。「HARVEST」は少しやれたけどな。冒頭の朗読の部分なんて、レコーディングの30分前に「やっぱりこっちにしよう」とか言って、ワンテンションで一気に書けた。
――「Parallel Number」は少ない言葉数で書かれた美しい情景と旅の歌だなと思いましたけど、これはどのように生まれたんでしょう?
茂木:実は特定の1人に向けて書いた曲なんだけど、書いているうちに自分にもちゃんと歌ってるなと思えたから、じゃあ進めようってことになって。コロナ禍で出会ったサッカー選手のことなんだけど、何度もコミュニケーションを取るにつれて本当にすごいヤツだなと思ったし、それが自分にとってもモチベーションになったから。俺もそいつみたいだな、似てるなと思ったし。
――それはどういう点で?
茂木:そのサッカー選手は日本代表として世界を渡ってきたヤツなんだけど、今の所属である地元の群馬に帰ってきていて。俺と出会って、事あるごとに電話をくれたり、ライブを観に来てくれるようになったから、これは何かの運命だなと。俺は群馬でやることを自分で選んだはずなのに、やっぱりもどかしいなと思う時期もあったから、すごくわかるんだよ。
――もどかしさというのは?
茂木:さっき言ったような都会のスピード感でやれていたら、もっと早く何かになれていただろうし。群馬にいると(東京より)ディレイしたものしかないから、すごく遅れてるんだよね。その選手ももともと群馬を舐めてただろうけど、それでも日本代表から群馬を選んで帰ってきて、J2に入って、何かを思ってサッカーを続けているわけだから。しかも「俺やっぱりサッカー好きなんですよ」って言う太陽みたいな男なんだよ。そのタイミングで出会えたから、俺にとってもそいつにとっても、群馬でやってきたことを〈正解に変える旅〉だなって。
――G-FREAKは現役バリバリなバンドですけど、主宰フェスの『山人音楽祭』には若手のバンドがたくさん集まってくるわけですよね。そうなった時に、その選手の方も感じたであろう、焦りみたいなものって茂木さんの中にあるんでしょうか。
茂木:いや、焦りは全くないんだけど、俺が迷ってるのは「今の若いヤツらと俺の感覚は違うんだな」ってことをはっきり感じるようになってきたからで。今まではあまり感じなかったんだよ。だから焦りというよりも、「じゃあどこで勝つんだ?」っていうのが難しくなってきてる。どうやってもそのスピード感には敵わないからね。まあ最近の若いヤツって言ったら、若い世代に順応できない自分ですと言ってるみたいで言いたくないんだけど(笑)、でもライブの現場だったらそんなの関係ないから。年齢もバックボーンも性別も関係ない。キャリアが長いからカッコいいというのも違うし、若いから青くて勢いがあるというのも違う。こいつらと渡り合っていかなきゃいけないんだっていう相手がすごく近くにいる中で、「じゃあどういうところを俺らは磨くべきなんだろうか」と探っている途中ではあるかな。今まではあまり考えずにやってきたから。
――でも逆にいうと、ライブなら若手もベテランも同じ土俵で、対等に戦えるということでもありますよね。
茂木:本当にそう。だから「予習なんかしないで来いよ。そんなのいらないから!」って言いたい。まあ俺なりの楽しみ方だから古いのかもしれないけどさ。名前も見たことないバンドがフジロック(『FUJI ROCK FESTIVAL』)のGREEN(STAGE)に出てて、「何でGREENなんだろう」と思って観に行ってみたら、「なるほど、これを見せたかったんだな、フジは!」と思うわけじゃん。そこが面白いよね。あとさ、betcover!!知ってる?
――知ってます。カッコいいですよね。
茂木:ヤバいの出てきたよな、天才すぎる。しかもちゃんと渋い。あれもカウンターだよね。ただのコピーみたいになっていくよりも、今っぽさがしっかり乗った古いものってめちゃくちゃカッコいいんだよ。betcover!!みたいなのが出てくると、これから楽しみだなって思う。
茂木洋晃の夢「海外でツアーやってみたい」
――「Parallel Number」の中に〈Make a GOAL〉という歌詞があるじゃないですか。今、茂木さんが思い描く夢とかゴールってどのようなものですか。
茂木:夢を持つことが夢なんだよ。特に俺ら世代はそうで、10代の頃は経済的にも豊かだったはずなのに、夢を持ってる人、夢を語れる人がすごく少なかったんだよね。ライブして、それで生活したいっていうのは漠然と思ってたんだけど、「そんなことできるわけないじゃん」ってみんなから言われてさ。でも今はそんな生活してるわけだからね。うーん、夢か……どこまでやれるのか、何を持ってゴールになるのかって想像がつかないよね。「もう歌えないな」って思うのかもしれないし。でも、もし70代になってもライブができるなら、G-FREAK FACTORYでやりたいという夢はあるな。けどそれには「カッコよくいられるなら」っていう条件があって。今のままのやり方じゃできないかもしれないけど。あと、海外でツアーやってみたいっていうのは思うかな。
――それは意外ですね。どうしてですか。
茂木:アメリカと台湾くらいしか行ったことがなくて。アメリカには昔住んでたけど、あの頃のイメージのままなんだよね。『“RED EYE BLUES”TOUR 2023-2024』で福井県に行ったことで最後の日本地図を塗れたこともあって、海外に行ってみたらどうなるんだろうなって。韓国とかベトナムとか、アジアにも行ってみたい。ベトナムのバンドを1回こっちに呼んで仲良くなって、今度そっちに呼んでくれっていうやり方もありかもしれないし。とにかく、もう1回外から日本を見てみたいなと思ってる。
――G-FREAKの音楽性がこの土地に合うだろうとか、そういう感覚とはまた別ということなんですね。
茂木:というより、俺たちが(現地から)何かをもらってきたいなと思ってる。きっと価値観が変わるんだろうな。長くバンドをやってきたとはいえ、まだ30周年経ったわけじゃないから。今からまだまだ勉強できることがあるんだと思ったら、めちゃくちゃ最高じゃん。
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◾️リリース情報
G-FREAK FACTORY
New Album『HAZE』
2024年9月4日(水)リリース
配信:https://lnk.to/yQAH7B
・初回限定盤(CD+DVD)
3,630円(税込)/BDSS-0062
・通常盤(CDのみ)
2,970円(税込)/BDSS-0063
<CD収録内容(初回生産限定盤、通常盤共通)>
M-01. YAMA
M-02. HARVEST
M-03. voice
M-04. アメイロ
M-05. WHO UNCONTROL
M-06. RED EYE BLUES
M-07. ある日の夕べ
M-08. STAY ON YOU
M-09. ALL FOR SMILE
M-10. Dandy Lion
M-11. Parallel Number
M-12. 巡-meguru-
<DVD]収録内容(初回生産限定盤のみ)>
『山人音楽祭2023』(2023年9月23日、24日 日本トーターグリーンドーム前橋)
<DAY.1>
1. Jam
2. SOMATO
3. Too oLD To KNoW
4. GOOD OLD SHINY DAYS
5. SUNNY ISLAND STORY
+オフショット
<DAY.2>
1. らしくあれと
2. RED EYE BLUES
3. ダディ・ダーリン
4. Fire
5. 日はまだ高く
+オフショット
◾️ツアー情報
『G-FREAK FACTORY “HAZE” TOUR 2024-2025』
TICKET:前売 4,000円(税込、ドリンク別)
※2025年5月17日(土)東京公演のみワンマン、他公演はゲストバンドあり。
<日程/会場>
2024年10月19日(土)千葉 千葉LOOK
2024年10月20日(日)栃木 HEAVEN'S ROCK宇都宮VJ-2
2024年11月2日(土)鹿児島 鹿児島CAPARVO HALL
2024年11月3日(日)福岡 小倉FUSE
2024年11月16日(土)兵庫 神戸太陽と虎
2024年11月17日(日)滋賀 滋賀B-FLAT
2024年11月30日(土)青森 弘前KEEP THE BEAT
2024年12月1日(日)秋田 秋田CLUB SWINDLE
2024年12月7日(土)三重 松坂M'AXA
2024年12月8日(日 岐阜 柳ヶ瀬ants
2025年1月18日(土)福岡 福岡BEAT STATION
2025年1月19日(日)広島 広島LIVE VANQUISH
2025年1月25日(土)宮城 仙台Rensa
2025年1月26日(日)山形 山形ミュージック昭和セッション
2025年2月1日(土)京都 KYOTO MUSE
2025年2月2日(日)石川 金沢AZ
2025年2月8日(土)静岡 静岡UMBER
2025年2月9日(日)愛知 名古屋DIAMOND HALL
2025年2月15日(土)岩手 盛岡CLUB CHANGE WAVE
2025年2月16日(日)宮城 石巻BLUE RESISTANCE
2025年2月23日(日)群馬 高崎芸術劇場 スタジオシアター
2025年2月24日(月・祝)群馬 高崎芸術劇場 スタジオシアター
2025年3月2日(日)福島 郡山Hip-Shot Japan
2025年3月8日(土)茨城 水戸LIGHT HOUSE
2025年3月9日(日)神奈川 F.A.D YOKOHAMA
2025年3月20日(木・祝)北海道 函館club COCOA
2025年3月22日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
2025年3月23日(日)北海道 苫小牧ELLCUBE
2025年3月30日(日)新潟 新潟LOTS
2025年4月5日(土)大阪 GORILLA HALL OSAKA
2025年4月6日(日)香川 高松MONSTER
2025年4月12日(土)長野 長野CLUB JUNK BOX
2025年4月13日(日)山梨 甲府KAZOO HALL
2025年4月19日(土)山口 周南RISING HALL
2025年4月20日(日)岡山 岡山CRAZY MAMA KINGDOM
2025年5月17日(土)東京 Zepp DiverCity(TOKYO)