UVERworld、ダイレクトな言葉で歌う愛の深さ 「MEMORIES of the End」に結実したリスナーとの信頼関係

 今年の4月クールのドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)の主題歌に起用されたUVERworldの新曲「MEMORIES of the End」。4月に先行配信された後、6月26日に同曲を表題曲としたシングルがリリースされた。ドラマの放送は終わったが、UVERworldの最新のモードを示すこの曲について改めて振り返っておきたい。

 まず、一聴して圧倒されるのは、この曲が誇る果てしなく広がっていく雄大なスケールだ。「MEMORIES of the End」は、「ENCORE AGAIN (feat.SHUNTO from BE:FIRST)」でタッグを組んだ辻村有記、伊藤賢とTAKUYA∞の共作曲。後半にハンドクラップが加わることで、その壮大さがさらに増していくダイナミックな展開に強く引き込まれるし、この曲がスタジアムやドームといった広大なライブ会場で響く光景をはっきりとイメージできる。昨年7月に日産スタジアム公演2daysという偉大な通過点を経たからこそ、今の彼らの中で、こうした壮大なスケールのサウンドを鳴らす上での自信と確信が今まで以上に深まっているのかもしれない。

UVERworld 『MEMORIES of the End』 Special MV【ACMA:GAME 】ver.

 また、スケール感のみならず、高濃度・高密度のアレンジが施されたサウンドも今まで以上に独自性を極めていて、それらがTAKUYA∞の歌と渾然一体となることで、総体として唯一無二のロックバラードへと結実している。改めて説明するまでもないが、UVERworldはデビューした時から、あらゆるジャンルの壁を果敢に越境していくミクスチャー精神、まだ誰も足を踏み入れたことのない前人未到の世界を目指すフロンティア精神、そして、ラフな遊び心を大切にしながら、日本の音楽シーンにおいて確固たる存在感を放ち続けてきたバンドである。筆者は、長年にわたり彼らの歩みを追い続けてきたが、特に近年、サウンドのアレンジが、あらゆる制約、もしくはシーンのトレンドから解き放たれたような自由さを感じている。上述したようなスケールの広がりを追求するだけではなく、同時に、重厚な轟きを誇るサウンドによって深みも追求していく。そして、その広く深く開かれた景色の中を高らかに突き抜けるように、TAKUYA∞の凛とした歌が響き、そんな歌のドラマチックさに呼応するように、サウンドがさらなる昂りを見せていく。最新鋭のミクスチャーサウンドと普遍的な輝きを帯びた歌が、互いに手を取り合いながら遥かなる高みを目指していく。その掛け合わせこそが、UVERworldの音楽が唯一無二たる理由だ。

 そして、サウンド面だけではなく、TAKUYA∞の歌を通して届けられる言葉にも、特に近年、何にも縛られることのない自由さを強く感じる。それは、単に歌われているテーマの幅が広がった、もしくは多様になった、ということだけではない。正しく、正確に伝えるための言葉選びや、誤解なく伝えるための言葉の補足といった手順を経由することなく、バンドが今最も届けたい言葉を、ある意味で無防備なままダイレクトに届けるようになったのだ。例えば、彼らの新たなライブアンセムとなった「EN」はその極みのようなメッセージソングだったし、「THEORY」をはじめとした、昨年リリースの最新アルバム『ENIGMASIS』の収録曲たちにも、メッセージ性が強いという表現では形容しきれない、もはやメッセージそのものとも言える高純度の言葉が並んでいた。

UVERworld『EN』

 歌に込められた想いを、一切の過不足なくありのまま伝える言葉たち。それは、今回の新曲「MEMORIES of the End」にも凝縮されている。これは、一切の衒いのない愛の歌だ。この曲の序盤では、〈君〉への想いを綴るパーソナルなパートの次に、現在の世界を広く見渡すかのような俯瞰的なパートが挟まれる。

〈そう 今日もこれまでのように/世界では残酷な事が繰り返されるだろう/離れた場所からそれを見て/人は哀しんで 心から無事を祈って〉

〈誰しも その後に自分の身に起こらず/胸を撫で下ろす世界で〉

 このパートで歌われているのは、決して綺麗事ではない。不条理や不平等に満ちたこの世界を生きる上で、誰しもが胸に抱く本心を容赦なく描写していく。様々な困難が無慈悲に降りかかる世界の中で自らの心の安寧を願うこと。自分にとって大切な〈君〉の幸せを願うこと。そのどちらも私たちが胸に抱くリアルで切実な想いであり、それを認めた上で、目を背けたくなるような現実と真っ向から向き合う、という意志を示すパートであるように思う。そして、こうした前提があるからこそ、その先で歌われる〈君〉へ向けた透徹でまっすぐな想いの強度が増す。

関連記事