valknee、MFS、LEX & LANA……ヒップホップらしい“新しさ”を感じた国内ラップミュージック
最後はLEXとLANAの兄妹コラボ曲「明るい部屋」を紹介したい。この楽曲は『POP YOURS』の企画の一環で制作された。LEXはMZ世代の感性をキャッチして、トラップのビートとともに瞬く間にスターに駆け上がった。その妹・LANAは今年4月に20歳になったばかりのブライテストホープ。こぶしを利かせた歌唱が特徴で、日本におけるソウルの表現方法を完全にアップデートさせた。2人はこれまでも共演してきたが、面白いのはプロデューサー。BAD HOPなどでおなじみのZOT on the WAVEと、ドラマ主題歌など数々の名曲を生み出してきたSTUTSが、STUTS on the WAVE名義で制作している。哀愁漂うシンセのメロディに、クラブ仕様の鳴りで響くベースとハイハット。そこに骨太のスネアが絡む。日本のヒップホップシーンのアイコンが集結した感がある。ありそうでなかった意外なコラボ。しかも細分化したヒップホップシーンを再集結させるようなメッセージも感じる。ZOT on the WAVEの曲が好きなリスナーは、STUTSを聴く機会は意外と少ないだろうし、逆もまた然りだ。別に誰が何を聴こうと自由だが、いろんな音楽をたくさん聴くことで気づける面白さもある。フェスの企画曲でこんな意味のある提案ができることにフレッシュさを感じた。
最初にも書いたが一般社会では新しさは違和感と捉えられることが多い。だがヒップホップでは歓迎される。ヒップホップが好きだからこそ、固定観念に縛られずオープンマインドに音楽を楽しみたいと感じさせられる4月であった。
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