ちゃんみな、圧倒的な強さと求心力 今の最高到達点示した『AREA OF DIAMOND 2』東京公演

ちゃんみな、『AREA OF DIAMOND 2』レポ

 2023年3月のちゃんみなにとって初の単独アリーナ公演には『AREA OF DIAMOND』と名づけられていた。約2年ぶりの全国ツアー(6都市8公演)のタイトルは『AREA OF DIAMOND 2』。

 LINE CUBE SHIBUYAのステージにはピアノが置かれ、白い衣装をまとったちゃんみなは、まずサン=サーンスの「白鳥」を披露。続けて、ピアノの弾き語りで「In The Flames」へ。オーディエンスは、ちゃんみなが放つ言葉と音にじっと耳を傾ける。静けさをかき消すようにちゃんみながピアノから立ち上がり、バンドの爆音と共に「MY NAME」のラップを矢継ぎ早に吐き出した。衣装は黒のボンデージに変わっている。ステージに現れた檻を模したセットにちゃんみなが登り、客席エリアに身を乗り出しながら挑発するように「Baby」を歌った。圧巻のオープニングだ。

ちゃんみな(撮影=金谷 龍之介[田中聖太郎写真事務所])

 中盤、ちゃんみなは『AREA OF DIAMOND 2』の趣旨を説明した。「『AREA OF DIAMOND』は“あなたがやればなんでもかっこいい”というメッセージがあったけれど、『AREA OF DIAMOND 2』はツアーを走り切る頃には、私が過去に受けてきた最悪で許せなかったことが許せるようになって、前を向ければいいと思っている。その答え合わせはアリーナ(4月開催の追加公演・ぴあアリーナMM公演)でできる。まずはクソみたいな元カレ、元カノから成敗しましょう」と言って、「Call」を披露。オーディエンスはちゃんみなの意志に賛同し、「Call」を大合唱した。

ちゃんみな(撮影=金谷 龍之介[田中聖太郎写真事務所])

 「Never Grow Up」ではミラーボールがまわるなか、傷を葬り去るかのように感情を込めて〈愛してたよねもう終わりにしよう〉と歌った。その想いは、ちゃんみなのダイヤモンドペンライトを手にしたオーディエンスの傷に伝播し、大合唱が巻き起こった。同世代の代弁者、ちゃんみなの求心力をあらためて思い知った。

ちゃんみな(撮影=金谷 龍之介[田中聖太郎写真事務所])

 歌、ラップ、ダンス、言葉、演出……すべてを駆使し、極上のエンタメとしてメッセージを真摯に届けるちゃんみなのパフォーマンスは一瞬たりとも目が離せないし、一瞬たりとも飽きさせない。加えてちゃんみながすごいのは、伝えたいメッセージに応じて、自らのパフォーマンスの次元を何段階も上げるところだ。

 『AREA OF DIAMOND』では、多種多様な体型の女性たちがネイキッドな姿を披露するなかで、自らのメイクを落とし、「美人」に宿したメッセージを200%体現してみせた。今回の『AREA OF DIAMOND 2』では、ポールを使ってダンサー顔負けの見事な動きを見せながら、首輪をつけたふたりのダンサーを操り、「Love Face」を披露した。まるで、自らのトラウマを必死に追い出そうとしているかのように見えた。

ちゃんみな(撮影=金谷 龍之介[田中聖太郎写真事務所])

 ちゃんみながポールの前に倒れこむと、またもや檻のセットが登場し、「TO HATERS」に突入。檻のあいだから顔を出し、苦しそうに笑い声を上げ、ヘイターへの憎しみを口にした。ステージ中央の階段に座り、ちゃんみなは自分の半生と今回のツアーへの思いを話し始めた。

 小さい頃から音楽が好きで、お金がないなか、母親が苦労してピアノを習わせたくれたこと。「歌って踊れるアーティストになりたい」という夢があったから、大変でも何も怖くなかったこと。“ちゃんみな”というアーティストになり、夢を叶えたはずが、檻にとじ込められるような日々が始まったこと。「HIPHOPじゃない」と言われたり、「英語も話せるし、裕福で人生イージーだったんだろ」と言われたこと――。「すごく痛かった。だからこそ、私の曲を聴いてついてきてくれたみんなはどれだけ痛かったんだろうと思った。でも、忘れないでほしい。今ここにいるあなたたちが25歳の女の子を生かしてくれている」。そして、「自信がなくて弱い自分が消えてなくなってしまえばいい」という願いを込めて書いた「She's Gone」を歌った。

ちゃんみな(撮影=金谷 龍之介[田中聖太郎写真事務所])

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