花譜、山田涼介、MOROHA、PEOPLE 1、ALAN SHIRAHAMA、りりあ。……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は花譜「代替嬉々」、山田涼介「SWITCH」、MOROHA「やめるなら今だ」、PEOPLE 1「DALMATIAN」、ALAN SHIRAHAMA「MINE FOR LIFE」、りりあ。「ずるい君。」の6作品をピックアップした。(編集部)

花譜「代替嬉々」

花譜「代替嬉々」

 1年9カ月ぶりとなる4thアルバム『寓話』。花譜の“喪失”と“獲得”を描いたという本作の中心をなす曲の一つが、大森靖子の提供曲「代替嬉々」だ。リズミカルなピアノのフレーズと〈代替代替代替嬉々/だいたいだいたいだいたい危機〉のリフレインからはじまり、獰猛にして美しいバンドサウンドとストリングスによるサウンドが出現。感情の上下動とリンクするようなメロディラインとともに放たれるのは、“ちょいマシな最悪”を駆け抜けようとする“僕(たち)”の日々。裏切られるのが怖くて誰にも本心を見せられないのに、何かの代替ではない、本当の喜びや悲しみを求めてしまう――。あまりにも切実で真っ当な欲望をストレートに叩きつける歌声に打ちのめされる。(森)

山田涼介「SWITCH」

Ryosuke Yamada "SWITCH" [Official Music Video]

 Hey! Say! JUMPの山田涼介、なんと12年ぶりとなるソロ作品。プロデュースはTINYVOICE PRODUCTIONの今井了介、制作にはD&H(PURPLE NIGHT)、久保田真悟・栗原暁(Jazzin’park)が参加。日本の敏腕プロデュースチームが総力を尽くした、という言い方が正しいのではないか。繰り返されるオリエンタルなフレーズが印象的なこの曲は、あらゆる音の配置、ひとつひとつのビートにまで“新しさ”と“エレガンス”を感じさせるダンスミュージックの金字塔。ただ挑発的なわけではないが、わかりやすく大衆に寄せたものでもない。あくまでメロディアスな歌で聴かせ、同時にビートミュージックの快楽にもたっぷり酔わせる。余韻を残さない幕引きもかなり痺れる。(石井)

MOROHA「やめるなら今だ」

 12月21日の恵比寿 The Garden Hallの単独公演をもって活動休止したMOROHAの現時点における最後の楽曲「やめるなら今だ」は、すでにライブで何度も披露され、ファンの間で大きな反響を呼び起こしていた。2022年に行われた日本武道館公演のときに抱いた思いをストレートに描いた楽曲なのだが、その内容は「芸術とは何か」「音楽をやるとはどういうことか」を根源から徹底的に問い詰めた末に生まれたものだ。空間を切り裂くようなUKのギタープレイとともに押し付けられるアフロの言葉には、活動を続けるなかで生じる自己嫌悪や後悔、葛藤がこれでもかと生々しく刻み込まれ、楽曲が進むにつれて「おまえはどうなの?」と突き付けられる気分になる。この先のMOROHAがどうなっていくかはわからないが、この曲はいつまでも聴き継がれるだろう。(森)

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