LE SSERAFIM、NewJeans、ILLIT……デビュー時はなぜ黒髪? 派手髪主流のK-POPシーンで際立つコンセプト

 こういった特徴は、HYBEが手掛けるボーイグループにも共通していると言えるだろう。たとえば、2023年5月に歌手兼音楽プロデューサーとして活躍しているZICOが率いるHYBE傘下のレーベル・KOZ ENTERTAINMENTからデビューしたBOYNEXTDOORは、「隣の少年たち」というグループ名の通り、近所にいる男の子たちのように親しみやすい印象を抱かせてくれるグループだ。デビュー前に公開された1stシングルアルバム収録の「But I Like You」のMVでも、大半のメンバーが黒や茶色といった暗髪のビジュアルで登場。もう子どもではないけれど、まだ大人の一歩手前にいる――そんな可能性を秘めた青年たちの姿として映し出されている。

BOYNEXTDOOR (보이넥스트도어) '돌아버리겠다' Official MV

 また、今年1月にHYBE傘下のレーベル・PLEDIS EntertainmentからデビューしたTWSは、1stミニアルバム『Sparkling Blue』の名にも代表されるように、清涼感や爽快感がたっぷりと詰まったコンセプトで瞬く間にリスナーを集めた。HYBEが手掛けるボーイグループのなかでは最年少の年代ということもあって、「自分の周りで起こることにどう向き合うのか」と葛藤する繊細なティーンらしさを隠さず表現できるTWS。こういった純粋な雰囲気をまっすぐに作品に投影するうえでも、自然な暗髪のビジュアルは欠かせないだろう。

TWS (투어스) '첫 만남은 계획대로 되지 않아' Official MV

 HYBEが誕生させたグループのコンセプトを作り上げていくのに重要な役割を果たしてきたとも言える暗髪は、派手で奇抜なヘアスタイルをある意味では主流としてきたK-POP市場のアーティストブランディングに「ありのままの自分」、「自然体の姿」という見せ方を開拓し、新たな風を吹かせている。コンセプト、世界観、楽曲、パフォーマンス、ビジュアル……とグループを取り巻く要素は数多くあるが、こういった流れのなかでは、世界観を視覚的に表現するうえで欠かせないヘアメイクの意味合いや重要度もさらに増しているようだ。

 日々目まぐるしく移り変わるトレンドは、この先どこに向かい、人々の価値観にどういった影響を与えていくのか。今や世界のトレンドとも直結/連動しやすいK-POP市場には、そういった興味深さもある。映像やステージを観る際には、今回言及した部分にもより注目してみると新たな発見があるかもしれない。

※1:https://realsound.jp/2024/02/post-1574758.html

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