King Gnuは感情のままに駆け抜ける ブッとんだ演奏で5万5千人を熱狂させた東京ドーム公演
井口が万感の表情を浮かべて「最高!」と言った後、「皆さんが今日を迎えるためにどんな気持ちで臨んできたか伝わりました。ありがとう!」と口にした。「BOY」では、MVに登場していたKing Gnuの子供時代を演じた子役4人が演奏する姿がビジョンに映る。今のKing Gnuの4人が演奏する姿も映り、「バンドとは自由で楽しいものである」というメッセージにも、「バンド活動は永遠の青春である」というメッセージにも思えた素敵な演出だった。
『THE GREATEST UNKNOWN』の終盤に置かれたエレクトロのインスト曲「仝」が流れ、ライブが終盤に差し掛かっていることを示した後は、アルバムの曲順と同じく「三文小説」へ。ビジョンに熱唱する井口の姿とエンドロールが流れる。アルバムのラストを飾る「ЯOЯЯIM」が響き、興奮が混じった拍手の中、ビジョンには再び「THE GREATEST UNKNOWN」のロゴが映った。
スマホライトが照らされる中、満面の笑顔で井口が登場し、「ありがとう!」と感謝を伝えた。しばし間を空けて、しみじみかつ誇らしげに「良いバンドだね」と口にした。常田はそれに賛同するかのように、右手を高々と掲げ、4人の間に感慨深い空気が流れた。
常田が「あと2曲やります。今回はアルバムのツアーだから普段と違う始まり方で普段と違う終わり方をしたんだけど、アンコールの2曲はKing Gnuを代表する『Teenager Forever』と『飛行艇』です。この2曲は大勢で歌うことを考えて作った曲で、今日はたくさん歓声をもらったんだけど、その10倍くらいの大きさで歌いませんか? 全部歌って。俺も理も歌うから」と話すと、井口が「かき消して」と続けた。常田はさらに、「俺らもその分もっと歌うから。最後にここにいる5万5千人、限界まで歌って全部のエネルギーを置いて、明日お仕事頑張って(笑)」と話し、いたずらっ子っぽい表情で「やっちゃう?」とメンバーに呼びかけ、井口がハンドマイクで前のめりの姿勢で「Teenager Forever」を歌い出した。もちろんオーディエンスもイントロから大合唱だ。楽曲が宿すスケールに呼応するように、どんどん大きく育っていくKing Gnu。いつだって時代を司るのはそういうバンドだ。音楽はそのアーティストがいなくなった後も残り続け、その時代を生きる“THE GREATEST UNKNOWN”に継承される。
「Teenager Forever」「飛行艇」──King Gnuが放つ音楽を全身で浴びながら、その存在の喜びを思いっきり享受する人々の姿がそこにはあった。
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