名誉伝説、令和ポップスシーンに“伝説”を刻む新鋭バンド登場 ふくりゅうが初ライブを目撃
5ピースバンド、名誉伝説の登場は衝撃だった。デビュー作となった、昨年5月24日にリリースした1stシングル「ラヴィング」をご存知だろうか? ポップで耳馴染みの良い明るいメロディが心を打つピュアなラブソング。だがしかし、歌詞では“四季”というワードを“シキ=死期”へとダブルミーニングさせるなど、メタファーを駆使したレクイエムという二重構造を持つ。ただならぬ文学的ポップを解き放つ傑作だ。
「ラヴィング」のMVでは、音世界と呼応するレトロな風景や手書き歌詞とともに、切なさと儚さを醸し出すこたに(Vo)の歌声の美しさにも耳を奪われた。映像センスも抜群にお洒落であり、加えてこたに自身が映像に出演しているのも魅力だ。彼女はファッションも含めて名誉伝説のポップアイコンである。
同曲で繰り返し歌われる〈ツインレイ〉とは、「この世に存在するたった1人の運命の相手」という意味を持つ。スピリチュアル用語であり、前世でひとつだった魂が現世に転生する際にふたつに分かれ、その片割れのことを指すという。令和時代、ここまで純粋なポップネスを持つ作品を筆者は他に知らない。本人たちに確認したわけではないが、サザンオールスターズやKAN、もしくはスピッツやMr.Childrenなどの影響をオリジナルへと昇華した名誉伝説の登場は、現在の日本の音楽シーンをアップデートしていく。まさに伝説のはじまりである。
名誉伝説は、インディペンデントなニューカマーバンドと思いきや、こたにはソロとしても活躍するシンガーソングライターだ。ひだまりユトリ(Ba)、うたかず(Key)、大波メロディ(Dr)のほか、天才的センスで作詞作曲を手がけるけっさく(Gt)を加えた5人組。けっさくは、アーティスト写真でも顔がフラッシュエフェクトでぼやかされている。
名誉伝説はストリーミング時代らしく、これまで1年弱をかけて矢継ぎ早に5曲の配信シングルをリリースしてきた。筆者が選曲を担当するSpotifyの公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』(※1)でデビュー曲からTOPカバーを飾り、早耳なミュージックラバーからも注目されている。