ammo、満員のZepp DiverCityで理想を現実に この先も続く自分たちにとっての“ライブハウス”を探す旅
1月に『re:想-EP』『re:奏-EP』をリリースしたammoの単発単独公演『reALITY』。“理想”を“現実”にする1日だ。そんな現実は、3月3日、ソールドアウトしたZepp DiverCity(TOKYO)にて迎えられた。開演前には場内にグッズを求めて長蛇の列ができていた。ammoというバンドが、音楽だけでなくライブやライブハウスというカルチャーを大切にし、継承し、そして彼らなりのライブハウスという文化を作り上げてきている証拠だろう。
岡本優星(Vo/Gt)が優しくギターでメロディを紡ぎ、「大阪、ammo始めます。Zepp DiverCityよろしくね!」とフロアに声をかける。そして川原創馬(Ba/Cho)と北出大洋(Dr)の繰り出す軽やかなリズムに乗せ、〈愛したからあなたに愛されたわけじゃない 僕ら愛し合うために出会った気がするんだよ〉と歌う「やまない愛はある」で、ライブは温かくスタートした。改めて岡本が「Zepp、お待たせ! ライブハウスやろうぜ!」と声を上げ、バンドは「未開封」「深爪」とパンキッシュなナンバーで一気に熱狂の渦へと連れていく。フロアにはいくつもの拳がつきあがり、どこもかしこも衝動で溢れかえっていた。そんなフロアを見て岡本が「みんな、大丈夫? あの……ライブハウスの基本中の基本なんですけど……苦しいほうが楽しいです」と笑い、「Chill散る満ちる」「おもしろい方へ」とさらに続けた。
そんな熱狂を鎮めるように場内が暗転。無音になる。観客がじっと息を飲むと、岡本がギターを鳴らしながらハミングでメロディを奏でて「紫春」へとつなぐ。そこからゆったりした「おやすみ」や「不気味ちゃん」を続け、Zepp DiverCityに情景を描いていく。「Zepp DiverCityに歌います」との前置きから始まった「寝た振りの君へ」は、〈君に歌を歌いたいと思えた〉で結ばれる。彼らの楽曲も、ライブ中に発される言葉一つひとつもリアルだ。
「これ全部、人ですもんね。すごい。こっち来て見てほしい」と、満員のフロアを見回した岡本。「みんなが目の前にいてくれるから実現できています」と感謝を口にしたあと、「今日もライブハウス。Zeppでライブハウス。ammoをやる。精いっぱいやって帰ります。最後までよろしくお願いします」と言うと、3人は向かい合って丁寧に「わかってる」を奏でる。曲中、音が止まると「こっち来て見てほしいって言ったけど、やっぱ違うわ、バンドやってたからの特権。続けてきてよかったです」と噛みしめる。そして「ライブハウスやろっか!」と声をかけると、テンポを上げ、静かに聴き入っていた場内のテンションを再び引き上げた。
勢いづいた岡本は、ギターをかき鳴らしながら「縁もゆかりもない、お台場という街に俺たちは何をしに来た? 『ライブハウスやろうか』って何だよ? 『ライブハウスする』って何だよ? まだ探してる。まだゴールじゃない。まだここじゃない。この景色を見て思ったよ。この景色を見ても、思った。『ここまで来たんだ』、違う。『まだここか』、違う。今日もいつもと一緒。『今日はここか』」と言葉を重ねる。そして改めて「ライブハウスやろうぜ!」と焚きつけると、バンドはツービートの「星とオレンジ」「これっきり」「包まれる」とファストチューンを連投。場内は再びヒートアップしていく。さらに曲を終えてMCに入ろうとすると、フロアから「もっとやれー!」とヤジが飛び、川原が「もっと?」と言いながらベースを弾き始め、予定になかった「後日談」を始める一幕も。そんな気軽さも、彼らの言う“ライブハウス”だ。
「もっともっとでっかいとこでやりたいから、これからもよろしくね」と、今後への意志もしっかり口にしたあとには、“生き様の歌”「CAUTION」を丁寧にプレイ。拳と共に大きなシンガロングが発生した「歌種」のあと、「ハニートースト」が優しく届けられ、約1時間半で22曲と、たっぷり楽曲を届けた本編は幕引きとなった。