ゴホウビ、バンドの“5歳”記念ワンマンで届けた心からの演奏 目標に向けて加速するエネルギー

ゴホウビ、結成5周年記念ライブレポ

 ゴホウビが11月2日、SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて『ゴホウビ 5th ANNIVERSARY ONEMAN LIVE ~GOHOBIRTH 2023~』を開催した。結成5周年を記念したアニバーサリーライブだ。

  筆者はゴホウビのライブを観るのがこの日で3回目だったが、結論から言うと、過去最高のライブだった。定刻になると、鼓動のようなSEが開演を告げる中、cody(Vo/Gt)、スージー(Vo/Key)  、405(Ba)、むんちゃ(Dr/Cho)、サポートメンバーの山崎裕也(Gt)がステージにやってきた。〈ハッピーバースデートゥーユー〉〈君がいてくれてよかった〉〈出会ってくれてありがとう〉〈君がいてくれてよかった〉〈これからもいっしょにいようね〉とメンバーがハーモニーを重ねる、ライブタイトルに因んだオープニングだ。この日ならではの“とっておき”を準備しているのも、まず初めに集まったファンへ感謝を伝えようという姿勢も、実にこのバンドらしい。最初のブロックで披露されたのは、「いつまでもそばにいたいなら」「XYZ」「ラブ≠∞」「ゴキゲンなLOVER」の4曲。ファンク、ディスコ、EDM、ジャズ、ドゥーワップといったジャンルを軽やかに縦断しつつ、鮮やかなグラデーションを描く楽曲群に、ゴホウビ5年間のディスコグラフィの豊かさを感じた。タイトなリズムと楽器隊のグルーヴを打ち出した踊れるアレンジで、例えば「ラブ≠∞」はむんちゃの4つ打ちがひたすらに気持ちよく、405のパーカッシブなベースラインが楽曲全体のアクセントになっている。バンドの肉体的なアンサンブルと、楽しみながらそれを乗りこなすcody&スージーのツインボーカル。このしなやかかつポップな存在感が“5歳”のゴホウビの現在地だ。オーディエンスはメンバーのファインプレーに高ぶりつつ、ノリノリで手拍子をしながら楽しんでいる。

 MCに入るや否や、「めちゃめちゃ楽しい!」とcody。「この5年いろいろなことがあったけど、笑顔で今日という日を迎えることができたのは、あなたがいてくれたからです。ゴホウビの積み重ねてきた5年間を全部出しきって、ありったけのありがとうをあなたに届けたいと思います。最後までよろしく!」と観客に伝えると、客席からはテンションの高い歓声が返ってきた。そんなMCのあとに演奏されたのは、ゴホウビが最初に発表した曲「ミッドナイトコンビニドラマ」。〈いつまでもずっと笑いあえたらいいな/君と〉と歌いながらcodyが観客のいる方を指し、アウトロではスージーがソウルフルなスキャットを披露した。以降も様々な楽曲が演奏されたが、特にライブアレンジが冴えていたのが、最新曲の「ヤコウチュウ」だ。山崎が前に出てきてギターソロを披露したあと、バンドが合流してイントロへ……というアレンジが施されていたのだが、これがあることで、codyのボーカル&ベース&ドラムのみになった1番Aメロの静けさがより際立つ。〈君のためなら死ねる〉という歌い出しにゾクッとさせられる。抑制していた感情が溢れ出す様を体現するバンドサウンド、ツインボーカルは、聴く人の心をざわつかせるような表現力だ。

 ここからはアコースティックコーナー。“この5年間で印象的だったこと”をテーマにトークしたあと、スージーが「小さいこと忘れがちだけど、考えて、思い出して、くすくすっと笑える時間は宝物」とまとめ、「そういうことを考えながら書いた曲」であり、メンバー4人が初めて合わせた曲「ドラマになれない僕らの日々は」を披露。温かいサウンドを鳴らすメンバーの姿は、自分たちの歩んできた道のりを愛おしんでいるようであり、観客も「ラララ」と歌声を重ねながらバンドに寄り添った。スージーがイヤモニを外しながら「聞こえてるよ!」と笑う。1番はcodyの弾き語り、2番は4人一緒に鳴らした「雨やどり」も素晴らしかった。かつて別の形で音楽活動をしていたメンバーの集まりであるゴホウビ。後のMCでスージーが「大人になってから出会った4人なので、まとまるのに時間がかかりました。お互いを尊重することって難しいと、大人になってから学ぶとは思っていなかった」「最近、本当の意味でバンドになりつつあると感じています」と語っていたが、この曲で歌われている身近な人に助けられている実感や、“だからこそ自分も、誰かに愛を渡せる人になりたい”という感覚とは、4人が今、互いに対して、そしてリスナーに対して抱いているものなのだろう。そんなことが伝わってくる演奏だった。

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