三阪咲、“自分らしさ”への葛藤を経た新曲「tamerai」 昭和歌謡に惹かれたポイントも語る

三阪咲「tamerai」インタビュー

昭和歌謡やルーズさを意識して完成した「tamerai」

三阪咲(写真=林将平)

――そして、三部作を経た新曲「tamerai」なんですが、まずイントロでびっくりしました。昭和歌謡やニューミュージックのようなイントロですよね。

三阪咲 - tamerai (Official Music Video)

三阪:ちょうどデモを集めているときに昭和の曲にハマっていて。松本伊代さんの「センチメンタル・ジャーニー」とか、杏里さんの「悲しみがとまらない」とかを聴いて、いいな、カッコいいな、やりたいなと思ってたんです。そういう曲を今やるといいんじゃないか? っていう提案をして。私はもう、「tamerai」のイントロを聴いた瞬間から、これがやりたいって。

――どうして昭和の曲にハマったんですか?

三阪:さっき、最近の曲はテンポが速いっていう話をしたんですけど、ちょっと自分の心の余裕が欲しい時期だったっていうのもあって。昭和の曲とか、急かされないような曲、ちょっと落ち着くような曲を聴いていましたね。実際に聴いてみると、昔のアーティストの方は歌が上手いし、今みたいにクリックを聴きながらやってないし、今ほど直すこともなかっただろうし。

――パソコンで一瞬でピッチを直せる時代じゃないから、生っぽいですよね。

三阪:いい意味で、私にはすごくルーズに聞こえて、それがめちゃめちゃいいなと思って。今はきっちりした感じがあるので、もう少しルーズな曲がいいよなって。歌詞もすごく素直だけど、言葉自体にセンスを感じて。そういう歌を作ってみたいと思っていたし、この曲がちょっと違う世界に連れて行ってくれるんじゃないかなと思って、わくわくしながらリリースを迎えました。

――作詞はご自身で手掛けてますが、“手紙”がモチーフになってますよね。

三阪:今ってLINEで連絡を取れたり、すぐに会えたりするけど、昔はそうじゃなかった。それが、私達が“エモい”と思う感情だったりするんですよね。だから、手紙をベースにして歌詞を書こうと思って。

――SNS世代の三阪さんも手紙を書いたりしますか?

三阪:私は手紙が好きで、何かを渡すときにちょっと添えるとか、結構、書きますね。やっぱり文字って性格が出るじゃないですか。“好き”という文字をスマホで打つのと、手で書くのとでは、重みも愛の大きさも違うと思う。手書きの文字って自分らしさみたいなものを表現できるし、レターセットからもその人の人間味とかセンスが出たりするじゃないですか。そういうのが私、すごく好きなので、この曲では手紙をベースに、“ずっと一緒にいるんだけど、あなたはどうなの?”みたいな心情を書いていて。主人公は言えずにいて、ずっとずっとためらって、最後の最後まで自分の気持ちを伝えられずにいる。例えば、友達同士で、この関係を壊したくないからずっと言えないってこともあるし、好きってことをただ伝えられないこともあるし、ためらうって恋愛だけじゃなく、人生においてもあることだなと思って。すごく好きな歌になりました。

三阪咲(写真=林将平)

――タイトルをアルファベットにしたのはどうしてですか。

三阪:最近の自分のベースとして、“いなたさ”っていうのを大事にしてて。ファッションでも1カ所、いなたい部分を作るとか、 Instagramの写真とかもそう。投稿するときに文章や写真の中でいなたさを出すのを大事にしてるんですけど、今回の“いなたさ”はアルファベットで小文字のタイトルに出しました(笑)。このタイトルで、あのイントロが始まったら、良い意味で、結構“ヤバい”なと思ってます。

――歌入れはどうでしたか? 応援ソングや洋楽系のR&Bとも違うアプローチですよね。

三阪:楽しかったですね。昭和の曲をめちゃくちゃ聴きまくっていたら皆さん、柔らかさの中に野太さとか、芯がある歌声の方が多くて。それを表現したいなと思ったんです。Aメロはいつもはっきり目に歌ったんですけど、優しいところから入って、サビはしっかり歌う、みたいな。松田聖子さんを参考にしたりしました。

――恋愛三部作ともまた違うサウンドに挑戦した楽曲が完成して、ご自身ではどう感じましたか?

三阪:私はこの曲、過去1レベルで好きです。自分がやりたいサウンド感を表現できたし、歌詞も自分で書いたし、ジャケットも今回、自分で決めたり、MVも監督に自分が作りたいもののイメージを伝えて。私の頭をそのまま表現するみたいな。自分の“やりたい”を詰め込んだ曲になったんで、意思のある、愛のこもった曲になったかなと思います。

――MVはどんな思いを監督に伝えたんですか。

三阪:昭和っぽい感じのMVを作りたいなと思って。簡単に言うと、昭和のアイドルが楽屋入りして、打ち合わせして、リハして、テレビの音楽番組の本番を迎えるっていう流れを一発録りみたいな感じで作りたい、と。その間に、好きな人に手紙を書いてるんだけど、私にはやることがあるから会えない。でも、最後にテレビから引いていくと、テレビの前で彼が見てくれている、みたいな。

三阪咲(写真=林将平)

――改めてになりますが、この4曲を通して“三阪咲”らしさとはなんですか?

三阪:自分で言うのもあれですけど、“歌力”は自分の強みとして持っておきたいなと。でも、それを一番の武器にはしたくないっていう気持ちがいつもどこかにあるんですね。だから、曲なのか、歌詞なのか、MVなのか、アートワークなのか。1曲のなかで表現できるものはいろんなところにあるので、そういう部分で、歌とは別に1つ、突き抜けるものを作っていきたいって思っていて。今回の「tamerai」は、全部を含めた表現にこだわった最初の曲になったので、まだまだ開拓中ではあるんですけど、これを続けていけば、それが“三阪咲”らしさになるのかなって思ってます。あとはもう継続あるのみ、ですね。

三阪咲(写真=林将平)

――そして、3月末にはワンマン『SAKI MISAKA ONE MAN LIVE 2024 “一心同体メモリーズ”』が控えてます。

三阪:もともと、高2のときに回るはずだったツアーのファイナルの会場がEX THEATER ROPPONGIだったんですよ。それがコロナの影響でできなくなってしまって。無観客の配信ライブはできたんですけど、有観客では初めてなので、3度目の正直みたいな感じで、「一心同体メモリーズ」っていうタイトルをつけて。やっとみんなと一心同体になってできるし、いい思い出を作ろうっていう意味でつけました。セトリも演出も決めたし、あとは詰めていくだけなんですけど、実はもう1曲、新曲を作っていて。

――え!? どんどんリリースされますね。

三阪:自分で「毎月リリースしたい!」って言ったんで、頑張れるところまで頑張りたいと思ってます。ある作品に向けた書き下ろしなんですけど、「tamerai」と同じくらい気に入ってる曲ができていて。それもちょっとリバイバルというか、タイムスリップ感がある曲なので楽しみにしていてほしいですね。

――去年の8月のワンマンからもう5曲も新曲ができていることになりますね。

三阪:それだけで前回のワンマンと本編の3分の1くらいは曲が変わることになるので、去年とはまた違う、新しいものを見せられるんじゃないかなと思ってますね。

――その後はどう考えていますか?

三阪:このライブが自分にとっての節目になるので、まずは、そこまでを全力で突っ走っていきたいなと思ってます。後は、10歳くらいからライブをしてきて、なんやかんや10年経つので、「やりたいこと」や「楽しいこと」よりも、「やらなきゃ」や「楽しませるには」みたいな思考になってしまう瞬間がどうしても多くなってきてしまったかなと感じていて。

――求められることとやりたいことのギャップですよね。

三阪:その中でも音楽はやっぱり大好きなので、もちろんやっていきたいっていう気持ちなんですね。プラスして、「もう20歳なんだ」って思う瞬間も多かったんですよ。それは、「まだ小学生だもんね」「中学生だもんね」って言われ続けてきたからだと思うんですけど、いや、自分はまだ20歳なんだなって思えるようになって。もっと失敗してもいいし、もっと挑戦してもいいし、ある意味他のことを始めたっていい年齢って思っているので。

――そうですね。20歳からスタートする人も多いですし、可能性しかないですよね。

三阪:やっと自分でそう思い始められたので、いろんなことに挑戦していこうかなと。やりたいこと、好きなことはいっぱいあるんですよね。サッカーも好きだし、編み物もやっているし、ファッションも大好きだし、もちろん音楽も大好きだし。周りからはいろんなことをやっている子って思われてしまうかもしれないけど、私はいろんなものを追って、その中から1個突き抜けるものが見つかればいいのかなって。

 音楽活動ではまずは人のため、お客さんのために歌っていきたい。けど、人生ベースでは、いろんなことに挑戦したり、好きなものを探したり、自分がやりたいことをどんどん見つけていける、好奇心と向上心でいっぱいの1年にできたらいいなと思ってます。

三阪咲チェキプレゼント

三阪咲のサイン入りチェキを1名様にプレゼント。応募要項は以下の通り。

<X(旧Twitter)からの応募>
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リアルサウンド公式X

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※当選後、住所の送付が可能な方のみご応募ください。個人情報につきましては、プレゼントの発送以外には使用いたしません。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
※チェキはランダムでの発送となります。指定はできません。
※当該プレゼントは、応募者が第三者へ譲渡しないことが応募・当選の条件となります(転売、オークション・フリマアプリ出品含む)。譲渡が明らかになった場合、当選は取り消され賞品をお返しいただく場合がございます。

<締切:3月22日(金)>

■リリース情報
Digital Single「tamerai」(読み : ためらい)
ストリーミング・DL:https://SakiMisaka.lnk.to/tamerai

Digital Single「冬だより」
ストリーミング・DL:https://SakiMisaka.lnk.to/Rely_on_winter

Digital Single「2」
ストリーミング・DL:https://SakiMisaka.lnk.to/Digital_2

Digital Single「恋の計画」
ストリーミング・DL:https://SakiMisaka.lnk.to/PlanningofLove

■ライブ情報
『SAKI MISAKA ONE MAN LIVE 2024 “一心同体メモリーズ”』
各プレイガイドにてチケット販売中
イープラス:https://eplus.jp/sakimisaka/
ローソンチケット:https://l-tike.com/misakasaki/
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/sakimisaka-2024/

日程
3月31日(日)
開場 / 開演
開場:16:00 / 開演:17:00

場所
東京・EX THEATER ROPPONGI

チケット
5,500円(税込)+ 1ドリンク別
詳細はこちら:https://www.kyodoyokohama.com/schedule/detail/1535

■関連リンク
公式HP:https://sakimisaka.com
X:@saki_misaka0423
Instagram:@misaka_saki
TikTok:@saki_misaka423
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCKHd-s4qVyDZDZ32Q23vpOA

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