蒼井翔太「ストーリーはここからが本番」 5年ぶり声出し解禁ツアーファイナルに響いた未来に繋ぐための歌

蒼井翔太、5年ぶり声出し解禁ツアーレポ

 昨年11月にリリースされた約6年ぶりのアルバム『DETONATOR』を携え、1月からスタートしたツアー『蒼井翔太 LIVE 2024 WONDER lab. DETONATOR』。蒼井翔太にとっては1年ぶりのツアーであり、コロナ禍による様々な制限が解除され、声出しOKのツアーとしては5年ぶりとなる。大阪、愛知で多くのファンを熱狂の渦に巻き込みながらたどりついたファイナル東京2DAYS。その2日目となる2月25日 TOKYO DOME CITY HALL公演は、最新アルバム収録の「Freestyle Lover」で勢いよく幕を開けた。

 生バンドによるパワフルなサウンドに導かれ、蒼井がステージに登場すると、蒼く輝くペンライトの光がフロアを美しく染め上げ、大きな歓声が会場を揺さぶる。満員の客席を隅々まで眺めながら力強くも艶やかな歌声を放ち、時には客席を荒々しく煽ることで、その空間が目に見えてひとつになっていく。間髪入れずに「Eclipse」、「イノセント」までの3曲が圧巻のボーカリゼーションで届けられたことで、“DETONATOR=起爆”というタイトルを掲げたツアーにふさわしいオープニングとなった。

「今回のセットリストは、過去一あっという間で。疾走感がテーマになっているので、拍手する暇もないかもしれない。それくらいハイスピードで進んでいきますので、本当に一秒一秒、今日持ってきた気持ちをぶつけ合いながら、確かめ合いながら、大切に過ごして行きましょう!」

 ド派手なEDMチューン「Existence」や「もっとみんなの笑顔を見たいです!」と客席に呼びかけてスタートした「SMILE SMILE SMILE」では、男性ダンサー4人とともにダンスを披露しながらオーディエンスを魅了していく。一転、ミディアムナンバー「Key to My Heart」ではスタンドマイクを使ってあたたかなボーカルを。その緩急がライブへの没入度を限りなく高めていく。

 バンドメンバーの紹介を経て、衣装チェンジした蒼井。疾走するロックナンバー「BAD END」、随所に織り交ぜられるオペラのような歌唱が印象的だった「PSYCHO:LOGY」、ダンサーとの息の合ったパフォーマンスで力強い景色を描き出した「硝子のくつ」、青春を感じさせる爽やかな風を会場に吹きわたらせた「Harmony」、「Tone」と、自身に内在する多彩な表情を次々と露わしていく。

 最初の予告通りハイスピードで駆け抜けてきたライブはここで一旦、小休止。学校のチャイムの音をきっかけに「DETONATOR学園」と題したトークパートが始まる。バンドメンバーやダンサーとともに繰り広げられる会話からは、素の蒼井翔太が滲み出ているようだ。その後、大切な人に向けたポジティブな応援ソング「Alright」がファンに向けてまっすぐに届けられた。曲中ではバトントワリングにもチャレンジ。ラストにはバトンを空中に放り投げてキャッチする技・エーリアルを成功させ、会場は大歓声に包まれた。

 ダンサーによるパフォーマンス中に、蒼井は2度目の衣装チェンジ。そこからライブは新たな表情を感じさせるキラーチューン「J-E-A-L-O-U-S」で後半戦に突入していく。情熱的なダンスナンバー「Virginal」、曲中のフレーズを合唱することで楽曲の世界観を共有した「絶世スターゲイト」で再び会場のテンションは急上昇。「僕にとっては再会と新しい出会いが重なってできた曲です」と告げたのち、女王蜂のアヴちゃんが書き下ろした「8th HEAVEN」を。心に染みわたる感動的な歌声を全身全霊で響かせた。「知っている人は歌ってください」という一言に続いてプレイされた「glitter wish」では、大合唱を巻き起こしながら柔らかな光に包まれる印象的なシーンを描き出した。

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