ハロプロ、大所帯グループ増加で描かれる未来 卒業ラッシュとオーディション大量合格が示すもの

 2月7日、「ハロー!プロジェクト25周年記念」新メンバーオーディションの結果がYouTubeの『ハロ!ステ』スペシャルにて発表。つばきファクトリーに3人、ハロプロ研修生に9人の新メンバーが追加された。

【ハロ!ステ#515】「ハロー!プロジェクト25周年記念」新メンバーオーディション 合格発表スペシャル!!

 つばきファクトリーに加入したのは石井泉羽・村田結生・土居楓奏。15歳・13歳・13歳という年齢で、出身地は神奈川県・愛知県・大阪府と、綺麗に分かれている。

 “みはね”または“みは”こと石井泉羽は、「パフォーマンスしてみたいハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)の楽曲は?」という質問に「最上級Story」と答えた。この曲はつばきファクトリーの2021年リリースのアルバム『2nd STEP』収録曲。2022年秋の『つばきファクトリー CONCERT TOUR ~Fomalhaut~』のセットリストでのオーラス曲だったので、もしかしたらその印象が強かったのかもしれないが、こういった質問にアルバム曲を挙げるのはなかなかマニアックだ。さらに、「ハロプロ内での憧れの先輩メンバーは?」という質問には、誰か一人を挙げるのが定石なところを、佐藤優樹(元モーニング娘。)・石山咲良(Juice=Juice)・秋山眞緒(つばきファクトリー)・福田真琳(同)の4人を挙げていた。これらのことから、彼女は結構なハロプロファンなのでは? という可能性が垣間見えて、ファンからの好感度も高くなりそうだ。

 “ゆうちゃん”または“ゆー”こと村田結生は3人の中で一番長身で、ポニーテールが印象的。ダンスを5年間習っていたという発言もあり、今後のパフォーマンスに期待がかかる。“ふうちゃん”こと土居楓奏は、「特技は何?」という質問に「囲碁・ソーラン節」というなかなかインパクトのある回答をしてみせた。14歳のプロ囲碁棋士・仲邑菫などが話題を集める昨今、囲碁ブームにフィットする未来も考えられる。

なぜ今回はつばきファクトリーと研修生だけだったのか?

 昨年6月より募集されていた「ハロー!プロジェクト25周年記念」新メンバーオーディション。募集時は、合格者はどのグループに加入するのかは明記されていなかった。そのため、今回の発表前には、ハロプロのどのグループに何人入るのか、その予想自体がファンの楽しみにもなっていた。

 各グループの現状をおさらいすると、モーニング娘。'24は、昨年5月に井上春華・弓桁朱琴の17期2人が加入し、同年11月に譜久村聖が卒業して現在13人。アンジュルムは、昨年5月に後藤花・下井谷幸穂がハロプロ研修生からの昇格という形で加入し、同年6月に竹内朱莉が卒業して現在11人(佐々木莉佳子は今年春に卒業予定)。Juice=Juiceは、昨年5月に川嶋美楓がハロプロ研修生からの昇格という形で加入し、現在11人(植村あかりは今年春に卒業予定)。BEYOOOOONDSはデビュー以来メンバーの増減がなく、現在12人。OCHA NORMAも同じくデビュー以来メンバーの増減がなく、現在10人。

 このように、メンバー数が10人以上になっているのが現在のハロプロ各グループの基本的な編成である。それに対し、つばきファクトリーは昨年4月に浅倉樹々が卒業した後、同年11月に山岸理子・岸本ゆめのが卒業し、メンバー数は9人となった。さらに今年1月、リーダーの新沼希空の今春での卒業が急遽発表され、卒業後はメンバー数が8人になる予定だった。こう考えていくと、今回のオーディション合格者がつばきファクトリーのメンバー数補強にあてがわれるのは至極自然な流れとも言える。

 いつの間にか、ハロプロ各グループのメンバー数は10人前後が当たり前という前提になっているが、振り返ってみると昔は必ずしもそうではなかった。通称“モベキマス”体制と呼ばれ、、モーニング娘。・Berryz工房・℃-ute・真野恵里菜・スマイレージの5組でハロプロを構成していた2011年頃は、モーニング娘。こそ12人だが、Berryz工房・℃-ute・スマイレージはそれぞれ7人・5人・6人、真野恵里菜はソロで1人と、メンバー数自体に個性があったように思える。さらにその前の2000年代では、平家みちよや松浦亜弥のソロ、太陽とシスコムーンやメロン記念日などの4人前後のグループといったメンバー数が一般的だった。モーニング娘。も1997年の結成当初こそ5人だったが、2000年に4期メンバーが4人加入して11人になった頃を境に、10~15人前後の編成が(一時的な例外はあるにせよ)常態化していき、現在に至っている。

 2010年代後半に結成されたカントリー・ガールズ(最大7人・最小4人)やこぶしファクトリー(最大8人・最小5人)が活動を終了して以降、2020年代に入ったあたりから、現在の“全グループメンバー数10人前後体制”が定着したように感じる。昔のハロプロでは、モーニング娘。とそれ以外のグループの間に明確な線引きがあった。それはつまり、①10人以上のメンバーで構成され、②メンバーの卒業と加入を繰り返しながらグループ名を保持しつつ進化していくという特徴がモーニング娘。だけのものだった頃だ。スマイレージ(現アンジュルム)やJuice=Juiceが追加メンバーを受け入れた時点で、この専売特許は各グループにも適用されるようになったと言える。

 こう考えた時に今後注視せざるを得ないのが、BEYOOOOONDSとOCHA NORMAに卒業、加入システムが適用されるかどうかという点だ。結成からまだ2年と少しのOCHA NORMAはともかく、結成から5年以上メンバーチェンジがないままここまで来たBEYOOOOONDSの今後がどうなるのかは、まだわからない。

【ハロ!ステ#516】つばきファクトリー新メンバーお披露目の様子!! Hello! Project 2024 Winter「悔しいわ」「Wonderful World」キッチン MC:川名凜・松永里愛

 今回のつばきファクトリーへの3人加入は、前述①②の特徴が今後も継続していくということを意味する。ハロプロのどのグループもモーニング娘。と同じシステムになっていくのは面白みに欠けると言うこともできそうだが、実際には、底抜けのポジティブな明るさとパワーが信条のアンジュルム、歌唱スキルの高さが光るJuice=Juice、演劇的パフォーマンスおよび楽曲で異彩を放つBEYOOOOONDSなど、どのグループも確固とした個性を持っているのは明白。それは時を経るごとに研ぎ澄まされていっているという印象を受ける。

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