Juice=Juice「プライド・ブライト」が首位獲得 2023年度ハロプロ楽曲大賞を振り返る

 ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)を愛する者たちの間で毎年恒例のファンイベントとなっているのが「ハロプロ楽曲大賞」。インターネット上で投票を募り、1年間に発表された楽曲に順位をつけてみんなで楽しく盛り上がろうという趣旨の催しである。昨年末も「第22回ハロプロ楽曲大賞'23」と銘打って開催され、大きな盛り上がりを見せた。

(総順位などの結果は告知サイトをご覧ください。https://www.esrp2.jp/hpma/2023/)

 リアルサウンドでは毎回順位に関する分析記事を寄稿しているが、今回もまた2023年版記事をここにお送りする。それでは早速順位を振り返っていこう。

(以下の論考は、下記URLのランキングと併せてお読みください。https://www.esrp2.jp/hpma/2023/comment/result/song.html)

楽曲部門1位:Juice=Juice「プライド・ブライト」

Juice=Juice『プライド・ブライト』Promotion Edit

 2023年の「ハロプロ楽曲大賞」は、Juice=Juiceのシングル曲「プライド・ブライト」が制した。

 作詞・作曲は女性シンガーソングライターの山崎あおい。ハロプロへは2018年のアンジュルムのシングル曲「泣けないぜ…共感詐欺」「Uraha=Lover」以降、多数の楽曲提供を行っている。Juice=Juiceへは2019年に「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」を提供しており、この曲はその年の「ハロプロ楽曲大賞」第1位を獲得した。そして4年後、再び同じグループ・同じ作家での大賞獲得となった。

 山崎が描く、女性の本音を吐露した歌詞世界と、Juice=Juiceの高い歌唱力は相性が良い。それは前述の「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」や、2020年のシングル曲「好きって言ってよ」などに顕著だ。「プライド・ブライト」も、2023年5月29日の日本武道館でのコンサート『Juice=Juice 10th ANNIVERSARY CONCERT TOUR ~10th Juice at BUDOKAN~』で初披露されたその瞬間から、今回の1位は約束されていたのかもしれない。

 また、その初披露されたライブ映像は、後日YouTubeにて公開されている。こういった施策はこれまでのハロプロでは珍しいのだが、ステージ上でのグループの実力を実証するかのようなこの動画も、本楽曲の評価をさらに高めたと言えるだろう。

楽曲部門2~3位:モーニング娘。'23「Wake-up Call~目覚めるとき~」/つばきファクトリー「間違いじゃない 泣いたりしない」

モーニング娘。'23『Wake-up Call~目覚めるとき~』Promotion Edit
つばきファクトリー『間違いじゃない 泣いたりしない』Promotion Edit

 第2位は、モーニング娘。'23のシングル曲「Wake-up Call~目覚めるとき~」。モーニング娘。楽曲はつんく♂が手がけることが多いが、この曲は作詞を星部ショウが担当。作曲が大久保薫と星部ショウの連名、そして編曲が大久保薫というクレジットになっている。つんく♂に次ぐ現ハロプロのメインコンポーザーである星部と、これまで多数のハロプロ楽曲のアレンジを担当している大久保、二人のタッグによる作品だ。

 アップテンポでスピーディーなサウンドフォルムがとにかく格好良い。また、ハロプロおよびモーニング娘。25周年という節目の時期にリリースされることも意識したのか、過去の楽曲キーワードがあちこちに散りばめられておりモー娘。ファンの心をくすぐる。

 第3位はつばきファクトリーのシングル曲「間違いじゃない 泣いたりしない」。作詞は西野蒟蒻、作曲はShusuiを含む複数人によるコライト制作で、近年のハロプロ楽曲に見られる王道パターンのひとつだ。

 つばきファクトリーの魅力の一面である、哀愁を帯びた曲表現スキルがここでも存分に発揮されている。また、サビ部分で聴くことができる福田真琳による英語詞ラップパートは、ハロプロ楽曲では珍しい手法だが、良い意味での驚きとなっている。

楽曲部門4位~

 以下はグループ別に見ていこう。

【モーニング娘。'23】

モーニング娘。'23『すっごいFEVER!』Promotion Edit

 グループ最高位は、2位の「Wake-up Call~目覚めるとき~」だったが、その次に高順位だったのが6位の「すっごいFEVER!」。つんく♂作詞・作曲によるお得意のディスコファンク曲だ。譜久村聖の卒業曲という位置づけの「Neverending Shine」は10位にランクイン。その他、ベストアルバム『モーニング娘。ベストセレクション ~The 25周年~』に収録されていた新曲「なんざんしょ そうざんしょ」は11位、「HEAVY GATE」は13位と、いずれも高順位となった。

【アンジュルム】

アンジュルム『アイノケダモノ』Promotion Edit

 アンジュルムのグループ最高位は、2023年6月リリースのシングル曲「アイノケダモノ」の5位。なお、2023年12月13日リリースのシングル『RED LINE/ライフ イズ ビューティフル!』は集計のレギュレーションにより、来年度のノミネートとなる。

 「アイノケダモノ」は、ハロプロ楽曲では編曲を多数手がけている平田祥一郎が、「次々続々」以来久々に作曲も担当した。ジャングル・テラーと呼ばれるジャンルに基づいて制作された、非常にアグレッシブでアンジュルムらしさにあふれる一曲である。

 アルバム『BIG LOVE』収録曲では、「ぶっ壊したい」の23位が最高位。その後に29位「Sister Sister」、31位「Survive~生きてく為に夢を見んだ」と続く。

【Juice=Juice】

Juice=Juice『ロマンスの途中(2023 10th Juice Ver.)』Music Video

 1位の「プライド・ブライト」に次いで高順位だったのは、19位「ロマンスの途中 (2023 10th Juice Ver.)」。メジャーデビューシングルだった原曲を、ベストアルバム『Juicetory』収録用に新編曲でセルフカバーした楽曲だ。山下達郎カバー3部作の最後となった「FUNKY FLUSHIN'」は24位だった。

【つばきファクトリー】

つばきファクトリー『妄想だけならフリーダム』Promotion Edit

 3位の「間違いじゃない 泣いたりしない」に続き、9位には「妄想だけならフリーダム」がランクイン。曲調のみならずMVの作り込みも楽しい一曲だ。明るくハッピーな「スキップ・スキップ・スキップ」は21位、山岸理子・岸本ゆめの卒業コンサートでラストに歌われた「勇気 It's my Life!」は30位となった。

【BEYOOOOONDS】

BEYOOOOONDS『求めよ…運命の旅人算』Promotion Edit

 2023年のBEYOOOOONDSは、『演劇女子部「ビヨサイユ宮殿」』用のミュージカル楽曲を除けば、4月リリースの両A面シングルの2曲のみがノミネート対象だった。そんな事情もあってか、「求めよ…運命の旅人算」は4位、「夢さえ描けない夜空には」は8位と、どちらも高順位を記録した。とはいえ、他にノミネート曲が多くあったとしても、やはりこの2曲は上位に入っただろうな、と思わせてくれる良曲ではある。

 『演劇女子部「ビヨサイユ宮殿」』用の曲では、山﨑夢羽演じるマリーアントワネットが歌うソロ曲「マリーのテーマ」が48位で最高位だった。

【OCHA NORMA】

OCHA NORMA『ちょっと情緒不安定?…夏』Promotion Edit

 OCHA NORMAは7月に4曲入りのクアトロA面シングルをリリース。その中で一番高かった順位は、「ちょっと情緒不安定?…夏」の12位だった。広瀬香美の作詞・作曲ということで話題を集めたこの曲が最高位というのは納得感がある。もっとも、他の「シェケナーレ」は18位、「オチャノマ マホロバ イコイノバ ~昭和も令和もワッチャワチャ~」は20位、「ヨリドリ ME DREAM」は32位と、そこまで順位に開きはないので、評価もバラけているというわけでなさそうだ。

【その他】

宮本佳林『バンビーナ・バンビーノ』Promotion Edit
佐藤優樹『Ding Dong』Promotion Edit

 正規ハロプログループ以外の楽曲でも、ハロプロに関連していれば投票対象になるのが「ハロプロ楽曲大賞」のレギュレーションとなっている。ではその中でどんな曲がランクインしたのだろうか。

 最高位は、加賀楓「Give me 愛」の7位。2022年12月10日にモーニング娘。'22を卒業した加賀が、その卒業コンサートで歌って翌日に配信リリースしたのがこの曲。モーニング娘。の2011年のアルバム曲のカバーである。

 他には、宮本佳林「バンビーナ・バンビーノ」が15位、佐藤優樹「Ding Dong」が17位、鈴木愛理「最強の推し!」が28位だった。特に宮本が2023年にリリースしたシングル『バンビーナ・バンビーノ/Lonely Bus』からはAdditional Track含む4曲が、佐藤『Ding Dong/ロマンティックなんてガラじゃない』に至っては収録6曲すべてが50位内にランクイン。ハロプロ卒業後も根強い強さを見せた。

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