德永英明、より一層深みを増す芳醇な歌声 音楽を介してファンと繋がった最新ホールツアー

德永英明、深みを増す芳醇な歌声

 この日の公演が、川口リリアでの通算30公演目で「改修工事に入るため、この空間でのライブは今日が最後」と德永が会場への思いを馳せる。生まれ変わったこのホールでの德永の歌が、どんな響きなのかも楽しみだ。そして「壊れかけのRadio」では「よかったら一緒に歌ってください」と德永が観客に促し、スクリーンに歌詞が映し出され全員で大合唱。後半は德永がコーラスパートを歌い、観客とハモる。ファンは一緒に歌うことで思い出を巡る時間にたゆたう。歌が重なり、自身の思い出、そして德永と共に歩いてきた思い出が感動になって、それぞれの時間を楽しんでいる。

 「最後の言い訳」の熱唱は思わず「絶品!」と取材ノートにメモしたほどだ。包容力を湛えた德永の歌が、物語を鮮やかに描き出しせつなさが増幅していく。名曲たる所以を存分に感じ取ることができた。「2020年、2021年はコロナ禍でコンサートが中止。そして2022年はイベントに出演しライブハウスツアー。2023年、万感の思いをこめて歌います」と、思うように歌を届けることができなかった日々を振り返り、この日歌えることへの感謝の気持ちを込め「Nostalgia」を披露。リズム隊が刻む熱くもクールなビートに乗せ、ソウルフルな言葉と歌を届ける。本編ラストの「魂の願い」は〈TRY AGAIN〉、そして〈頑張れ〉という言葉のリフレインは、德永が客席とそして自身を奮い立たせているようで、胸に突き刺さってくる。

 アンコールで、德永がアコースティックギターを手にすると客席から「待ってました!」の声がかかる。〈僕と君の夢〉と伸びやかな声で高らかに「夢」を歌い上げ、最後までファンに希望を与え続ける。ステージを去ろうとする德永に向け客席から「ありがとう」という言葉がたくさん送られる。久々のホールツアーの完走を目前にしたこの日、德永自身もファンの声援に支えられ、勇気を手にしたのではないだろうか。観客の德永への思いと德永の観客への思いが溢れる空間で、希望という名のかけがえのないものをそれぞれが手にした――そう強く感じさせてくれたライブだった。

 なお、同ライブは2月18日午後7時よりWOWOWにて放送される(2月19日~3月3日までアーカイブ配信あり)。ライブに足を運んだ人も、行けなかった人も同放送にて改めて德永英明の歌声に酔いしれてほしい。

※德永英明の「英」の正式表記は、草冠の間が空きます。
※写真は愛知公演の模様

■番組情報
『德永英明 コンサートツアー 2023 ALL BEST 2』
放送日:2月18日(日)19:00 <WOWOWライブ><WOWOWオンデマンド>
※WOWOWオンデマンドでは、2月19日(月)0:00~3月3日(日)23:59までアーカイブ配信があります。

楽曲:青い契り(セルフカヴァーVer.)、輝きながら…、夢を信じて(セルフカヴァーVer.)、時代、駅、誰より好きなのに、永遠の果てに(セルフカヴァーVer.)、レイニー ブルー、DAYS、情熱、Wednesday Moon、壊れかけのRadio、最後の言い訳、Nostalgia、魂の願い、夢

収録:2023年12月2日
収録場所:埼玉 川口総合文化センター リリア メインホール
詳細:https://www.wowow.co.jp/music/tokunaga/

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